熱烈なアプローチ
「甚内さん、今日も素敵ですね!」
「……ありがとうございます。接客行ってもらえますか?」
「怒ってる感じもいいですね!」
「…早く接客してください」
そんなやり取りを繰り返しているのは、私と身界さんだ。
あの日報の時以来、どういうわけか懐かれてしまったらしい。嬉しいやら悲しいやら。
今のご時世、セクハラで訴えることもできるが少ないスタッフが減っては困る。
「今日も身界さんは絶好調だねー?」
そして、ニヤニヤと茶化してくるのは先輩である佐々木さんだ。少しは止めに入ってくれてもいいだろうに。
「ほんとだよねー、愛されてるね。じんちゃん」
そして、満面の笑みで言ってくるのは後輩のおかぴーだ。全く、この職場にはまともな人が居ないのかと呆れ返る。
「愛されてるってなに…」
「身界さんに想われてるねー…」
「……」
本人がいるまえで流石に反論が難しい。何も言葉にできないまま、私は逃げるように接客に入った。
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「そういえば、甚内さん。明日は休館日ですね!明日の予定はありますか?」
「あー、明日。そうですねー…」
「え、あの。どこか出かけません? 2人で」
「いやぁ………」
今日一日を乗り切り、疲れた身体で帰路に向かっている最中、身界さんからの熱烈なアプローチを濁しながら、チラリと横を見るが案の定、佐々木さんは何も聞いていない。
「じゃあ、部屋行っていいですか?」
「!? え、あの、無理です」
「あの…」
「あー、はいはい!身界さん。お疲れ様ー!またねー!」
やっと身界さんの言葉を遮ってくれた。なおかつ身界さんとは別方向の電車のため、強制的に別れることになった。
「………、遅くないですか?助けに入るの」
「えー、だってちょっと面白くて」
「ひど…」
「いや、でも流石に最後のはダメだからね」
本当にちょっと面白がりながら言ってくる佐々木さんに殺意が芽生える。
「……身界さんこのままだとやばいよね…」
「そうですね…」
佐々木さんのぽつりと呟いた言葉に、私も静かに頷いた。




