魔物狩りの饗宴
俺は21の時、あるものを手に入れた。それは魔物目、いわゆる千里眼だ。これによって、俺は魔物の存在を視認できるようになったが、その代償として、魔物に狙われることも多くなった。俺は魔物狩りを始め、彼らの魂を食べることで生計を立てるようになった。元々暴食の俺は、普通の食事では満足できず、いつしか魔物を食べることが楽しみになっていた。
だが、俺にも食えないものがあった。それは見た目が美しい魔物だ。外見は魅力的でも、味は最悪で、ぐちょぐちょの魔物は珍味とは言えなかった。そんなある日、俺は魔物狩りのプロに出会った。
「私はネクロマンサー、よろしくね。噂では聞いてるよ、暴食ハンターがいること。あれ、君だよね?」
彼女の名は原よしこ。俺は少し戸惑いながら答えた。
「まあ、美味しいから。」
彼女は笑いながら、ぐちょぐちょの魔物を指さした。
「これ、食べる?」
我慢できずに、俺はその魔物を口にした。味はやはり最悪だったが、彼女の目が期待に満ちているのを見て、なんとか飲み込んだ。
「君、悪魔を食ったことがあるかい?」
「一度だけ。」
「上出来だ。」
その時、後ろから現れたのは、馬鹿でかい男だった。彼は俺に尋ねた。
「キミ、なんでも食えるのかな?」
俺は少し考えた後、答えた。
「前に美しいやつ、バンパイヤを食ったが、くそ不味かった。でも、慣れれば美味しいものだ。」
男は笑いながら、俺の言葉を受け入れた。
「話が逸れるが、なんでも食えるぜ。君に依頼したいものがある。」
俺は興味を持った。依頼とは何か、どんな魔物を狩るのか。原よしこが続けた。
「実は、最近、特定の魔物が街を襲っている。そいつは、見た目は美しいが、味は最悪だ。君の力を借りたい。」
俺はその言葉に引き込まれた。美しい魔物を狩ることは、俺にとって一種の挑戦だった。原よしこは、依頼の詳細を説明してくれた。
「その魔物は、街の人々を魅了して、魂を吸い取る。見た目は美しいが、実際は非常に危険だ。君の千里眼を使って、そいつを見つけてほしい。」
俺は頷いた。美しい魔物を狩ることは、俺の新たな目標となった。原よしこと共に、俺たちは街へ向かった。
街に着くと、魔物の影がちらほらと見えた。俺は千里眼を使い、周囲を見渡した。すると、遠くに美しい姿をした魔物が見えた。まるで人間のような形をしているが、その目は冷たく、何かを企んでいるようだった。
「見つけた。」俺は声を上げた。
原よしこは頷き、俺の後を追った。魔物は俺たちに気づき、逃げようとしたが、俺はすぐに追いついた。千里眼のおかげで、そいつの動きは手に取るようにわかった。
「待て!」俺は叫びながら、魔物に近づいた。
魔物は振り返り、俺を見つめた。その瞬間、俺はその美しさに魅了されそうになった。しかし、俺は自分を奮い立たせ、魔物に飛びかかった。
「食べるぞ!」
俺は魔物の体に噛みついた。だが、味はやはり最悪だった。ぐちょぐちょの感触が口の中に広がり、俺は思わず顔をしかめた。
「どうだ?」原よしこが笑いながら尋ねた。
「最悪だ。」俺は答えた。
「でも、君はそれを食べることができる。君の力は本物だ。」
俺はその言葉に少し自信を持った。美しい魔物を狩ることができたのは、俺の成長の証だ。原よしこは、俺の背中を押してくれた。
「これからも一緒に狩りをしよう。君の力を借りたい。」
俺は頷いた。魔物狩りのプロとして、原よしこと共に新たな冒険が始まる。美しい魔物を狩ることは、俺にとって新たな挑戦であり、楽しみでもあった。
「次はどんな魔物を狩る?」俺は尋ねた。
原よしこは微笑みながら答えた。「次は、もっと強力な魔物だ。君の力を試すチャンスだよ。」
俺はその言葉に胸が高鳴った。魔物狩りの饗宴は、まだ始まったばかりだ。