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獣は生まれた時から獣だった。
獣は本能を持った時から獣だった。
獣は力を認識した時から獣だった。
獣はどこまでも獣であり、本能は在れど理性はない。
獣はいつまでも獣であり、種族は在れど名前はない。
獣の存在意義はいつだって生存であり、生存する為には食らい続けるしかない。
獣が存在する為にはひたすら強者であれ。
獣が食われない為には弱者であってはならない。
獣はいつ何処にいようと弱肉強食の連鎖の中にいる。
いつしか。
獣は食物連鎖の中で『理性』を得た。
生存する為に食い、食われない為に強さを求め、強さを得る為に食らい続けた。
果てに獣は己の存在を認識し、己が唯一個体である事を知り、己の証たる『名前』を得た。名とは己を肯定する『証』である。
己が生存競争の果てに得た証。
己が強さによって勝ち得た証。
己が自我を得た証。
己が食物連鎖の頂点に立った証。
だからこそ余は証と共に己を冠して称す。
魔獣王――アザ。




