01 何が起きたの?
初心者です。生暖かく見守って下さると嬉しく思います。
「ずっと一緒に居たいよー。」
毎日繰り返されていた言葉。
変わらない日々で繰り返されていた言葉。
小さな呟きが大きな力になるなんて、誰も想像もしていなかった。
◇◇◇◇
「はなー!行くよ~!」
そう玄関から母の声が聞こえて少し気持ちが急く。
「は~い!すぐ行く!」
そう返事して急いで玄関に向かった。
毎日続く犬のプーちゃんのお散歩。夜の涼しくなった時間に3人で行くのが日課だった。
玄関に行くとリードをつけて貰ったプーが母と一緒に待っていて、私を見つけると嬉しそうに尻尾を振る。
『待ってたよ~☆』
話せなくても気持ちが伝わってくる動きに自然に頬が緩んだ。
「お待たせ。行こ?」
声を掛けて一緒に玄関を出ると忘れずに鍵をかける。
本当にいつもの、いつも通りの日常だった。
◇◇◇◇
「「は???」」
声が出たのは二人同時だった。
いやいや、だっておかしいでしょ?だって、普通に家の門を出ただけだよ?
庭を横切って門出た瞬間に道路なくなった!!!!!
…は?……はぁぁあ!!!????
目の前にあるはずの向かいの家の駐車場、どこいった?
その前に、なんか建物の中にいる?
え、後ろは普通にうちの家の門。
普通に意味不明なんですけど!!?
思わず隣の母の服の裾を握りしめる。
母も混乱しているみたいだけど、周りの様子を観察しているみたい。
ナニコレ…
「ねぇねぇ、あの銅像、イッヌやん!めっちゃ可愛い!
え、近くに行っても大丈夫かねぇ?」
まだ状況が呑み込めていないのに隣の母が声を掛けてくる。
言われて見てみたら確かに犬の銅像がある。しかも滅茶苦茶キラッキラしてる。
既に行くのを決めたのか、プーを抱っこし、少し警戒しながらもその銅像に近づいてみる。
私?勿論、母の服を握ったままだから付いていきますけど!?
だって、怖いもん!
もともと母だってそんな好奇心旺盛な感じで行くタイプじゃないじゃん!
めっちゃクールなタイプじゃん!
そんな私の心の中の叫びも知らず、直ぐに銅像の前に着いてしまった…
うん、可愛い。
銅像なのにモコモコ感が凄い。なんだろう、この技術。
観光地とかである銅像みたいな感じじゃない。
しかも、プーちゃんに似てる!
ナンデ?え、ナンデ??
あぁ~、でも母が可愛いって言うのはプーちゃん関係しかないから、可愛いって言った時点で似てるのか…
トイプードルで片手で抱っこ出来てしまうサイズのプー。
産まれてすぐに母犬に後ろ脚を踏まれて折れてしまっている。
それが原因でブリーダーさんからうちの子に迎え入れられた、大切な家族だ。
赤ちゃんの時から見ているのに、今ではお兄ちゃん的存在なのだ。
二人でお留守番の時なんて、母はプーに私の事をお願いしてる。
おかしい…
しかも娘の私より溺愛してる、絶対。
…おかしい。けど、可愛いのは、…わかる。
なんだろう。同じトイプーでもよその子とは全然顔が違うんだよね。
トイプーならどこの子でも可愛いんじゃなくて、うちのプーちゃんが可愛いのよ。
寂しい時は傍にも居てくれるし、悲しい時も一緒に居てくれた。
本当に大切な家族。
なんて脳内語りをしていたら唐突に音がした。
コンコンコン
ノックの音と共に扉を開ける音がしたと思ったら、家の門とは反対方向にあった扉(今気づいた)が開いて誰かが恐る恐る入ってきた。
「ほ、本当に開いた。ほ、本当にいるんですか~?せ、聖獣様~???」
読んで頂きまして、ありがとうございます。
早めに続き、書いていきたいです。
次も読んで頂けたら泣いて喜びます。