第一章_異世界の案内と学校間大戦について★
――――ザーザザ
――――――――ザーザーザザッ
モニターには背広を着た人物が急に映りだす。
ん?なんかシルエットに違和感を感じる。
俺はよく目を凝らして見てみた。
「!?!?」
そして驚く。首から上がヘビだ……。深緑色で光沢のある皮膚。口元からはチロチロと長細い舌が伸びている。黄色に光る鋭い双眸に思わず背筋が凍る。
ヘビ人間はにっこりと微笑んでいる。
まだ喋らない。
俺達が自分に注目が集まるタイミングを待っているようだった。
「………」
やがてクラス中の視線が集まりヘビ人間は話し始める。
『こんばんは、高校生の諸君、僕の名前はクチナワさ。よろしくね★』
沙也加は怖がり俺と恭二の後ろに移動していた。クチナワは話し続ける。
『君達は真夜中に学校で全員揃って眠りこけていたことに不安と驚きでいっぱいでしょう?でも大丈夫!これからオリエンテーションをさせてもらうね。君達にとって大切な内容なのでしっかり聞いてね』
前置きをし、クチナワはゆっくりと喋り始める。
『まずここはね…この世界について話すね。ここは君達の住んでいた世界とはまったく違う世界になる。要するに異世界なんだ。名前はNightm@reさっ★』
Nightm@re…?
この世界の名前なのか?
『この世界、君達の住んでいた世界と今のところはそっくりだけど、実は全くの別世界。凄いでしょう。君達、異世界転生しちゃったわけさ★』
クラスがざわつく。
すげー!異世界とかまじファンタジーじゃん!とか歓喜の声が聞こえたりする。異世界には確かに憧れがある。それはもうゼ○の使い魔にはハマりましたね。ルイズとシエスタに迫られる人生を夢見てましたよ。大好きです。
しかし、そんな呑気な話でもないことを俺達は知らしめられる。
『さて本題。この世界に君達を連れてきた理由はね、端的に言うと学校の存続をかけて殺し合いをして欲しいんだよね。名前は…そうだなー…【学校間大戦】ってことで。今考えた★』
学校の存続?学校間大戦?殺し合い?話が突拍子もないこと過ぎて頭が追いつかない。
クラスのざわつきが一段と強くなる。
『ふふふ、混乱してるねー。まあ、さらに簡単に言うなら「学校」対「学校」で戦争をしてくれってこと。そして領土の奪い合いをしてほしいんだ。楽しそうでしょー★』
クラスの何人かが文句や疑問を口々に叫んでいる。だが、大半は理解が追いついていない。唖然としている。
クチナワの話はまだ続いている。
『僕からのプレゼントで個人宛にそれぞれ武器を支給させてもらったよ。廊下に届いているので開けてみてね。武器はDランクからAランクまであるよ。良いのが届いているといいね★』
武器まで届いているのか…。
なんか、バトロワみたい…。
『それとね。君達にはMSPという通信機器も机に届いてるはず。これには色々な機能があるので後で確認してね★』
MSPとはこの黒い箱の中の物だろうか。教室の皆が黒い箱をゴソゴソと開袋する。プチプチの袋に包まれた掌サイズのタッチパネル型通信機が入っていた。これくれるの?
クチナワの説明はまだ続いていた。
『次にLevelについてだね。MSPからはマイステータスを確認することができるよ。この世界ではLevelが大変重要。Levelが上がるほど身体能力の向上や技の取得ができたりするよ★』
なんか、ゲームみたいだ。
Level上げとかってどうやってやるんだろうか?スライムとかがその辺にいるのか?そのあたり気になったがクチナワの話は次に進んでいた。
『これは少し先の話になるけど、この世界は君達で好きに学校を創り変えることができる。学校をお城のようにしても良いし、基地みたくしてもいい。好きにこの世界を使って良いよ。詳しい説明はMSPと一緒に入ってる【Nightm@re_攻略本】を確認してね★』
クチナワは役目は終えたとばかりに立ち上がる。
『では僕の説明は一旦ここまで★さっそくだけど戦争の開戦日は明日の深夜0:00だ★』
え?明日?
クチナワはバイバーイと言いながら手を振る。
気づけばモニターもスイッチが切れ、画面は真っ暗になっている。
『……』
『………………』
教室には沈黙だけが残った。