表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/40

09

ミコちゃんの部屋で30分ほど休んでから再び大総統のいる謁見の間(そういう名前の部屋らしい)に戻ってきていた。


 「しっかり休むことはできたか?エナジースーツを使いこなせるようになったからには本格的に我が組織の一員として働いてもらう事になるぞ。これから二人には大幹部として早速ある重大作戦を実行してもらうのだからな」


 大総統のセリフに俺は思わず息をのむ。


 成り行きで流されるままに悪の組織の大幹部になったが、いざ悪の組織から作戦を実行すると言われればやはり躊躇するものがある。


 「わが暗黒闇悪軍団の戦力増強のための大事な作戦だ。ハッキリ言ってこの作戦に今後の暗黒闇極悪軍団の未来がかかっているといっていい」


今まで大総統からは感じられなかった威厳のある言い方に俺は緊張する。ただの発明とコスプレ好きの面白いおっさんじゃなかったのかと改めて思う。


 戦力増強作戦・・・いったいどんな事をするつもりなんだ。


 大総統がスーツの使い方についてわざわざ言及すると言うことは間違いなくこのスーツを使用した作戦なんだろう。


 このスーツの力を使えば大規模な破壊活動も楽々できるだろう。防御力に関して言えば地球上の通常兵器では傷一つつかないし、スピードもマシンガンの弾を簡単に避けることができるし、バーチャル戦闘では最新鋭の戦闘機数十機を相手にしても無双して見せたくらいだ。攻撃力にいたってはパンチの一撃で都庁くらいのビルは吹き飛ばすことができる。しかもそれは全力のパンチではないのだ。


 さすがに大規模破壊に加担するのは気が引ける。というか人命にかかわるような事はしたくない。


 これはさきほどミコちゃんの部屋で話し合った時にも確認した事だ。


 俺はこの謁見の間に戻る前にミコちゃんとはこれからの事を話していたのだ。


                                *


 俺がミコちゃんに暗黒闇極悪軍団入りの意志を確認された後、ミコちゃんからお願いされた事があった。


 「もし、比呂君が嫌じゃなかったら大総統の作戦に付き合って欲しい」


 「でも、さっきも言ったけど、俺は世界征服には反対だよ」


 「それは私も反対。大総統・・・お父さんは科学に関しては超天才だけど、カリスマ性はないし、政治的に人をまとめたり、実務的に管理することは出来ない人だから仮に征服したとしても統治に向かないと思う」


 ミコちゃん、真面目な顔して実の父親にかなり辛辣な事を言っている。


 「そうかな。政治の事はわからないけど、なんとなくカリスマのようなものは感じたけど」


 と俺が気をつかって一応ミコちゃんのお父さんである大総統をフォローするが、


 「ない。カリスマ性はない。カリスマ性があったらもっと組織の人員が増えてる」


 まあ、確かに本人と娘しかいない悪の組織だったもんな。カリスマ性があるとは言えないか。しかし、ここまで言うとはミコちゃんお父さんの事嫌いなのか?


 「とにかく作戦には付き合って欲しい。そうすればお父さんも満足すると思う」


 そうでもないらしい。


 この後ミコちゃんと色々話した結果から判断すると、


 ①『悪の組織の活動をしていても今のところ生活には支障が出ていないから、趣味としてお父さんには楽しんで欲しい』


 ②『悪の組織の世界征服には反対。理由は世界征服はできるかもしれないがまともな統治ができないから』


 ③『お父さんの意思は尊重したいが、最近一人でお父さんの相手をするのがしんどくなってきた。常識的な誰かに手伝って欲しい』


 ということらしい。


 だから大総統が本当にヤバい作戦を実行しようとするとミコちゃんが止めてくれることになっているが・・・。



                                  *


 「わかりました。暗黒大総統様。さっそく戦力増強作戦を開始します」


 ミコちゃんがこう答えたので俺もこの作戦は大丈夫だと判断して、


 「暗黒大総統様、私も作戦に参加いたします!」


 と答えたのだった。


 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ