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 でっち1号を手に入れてから一週間、なんだかんだと理由をつけて真面目にしないでっち1号に俺の代理で悪の組織の幹部も正義の味方もできるようにしっかり仕込み終わった(その間に30回は逃亡されたが)頃に大総統から「大事な話がある」と秘密基地の謁見の間に呼び出されていた。


 「よろこべ!極悪神官よ!ついに我々の仲間が増えることになったぞ!」


 大総統はウキウキした気分を隠せない様子でマントを翻している。


 「もしかしてエナジー力のある者が見つかったのですか?!」


 俺の驚きに、大総統は力強くうなづくと


 「そうなのだ。以前の幼稚園バスジャック計画を覚えているか?」


 「それは覚えていますけど・・・」


 あの計画って何か意味あったか?


 確かあの計画では子供たちを誘拐しようと狙った幼稚園バスで別口のバスジャック犯と遭遇してしまい、結果はバスジャックどころかバスジャックから子供たちを救い出す事になってしまった。つまり、作戦としては失敗したはずだったが。


 「あの時配ったステッカーから反応があったのだ」


 ああ、あのエナジー力を持った人間が触るとちっさい大総統が高笑いするやつか。カップ麺を作るのに俺も重宝しているが、一応本来の役に立っているんだな。


 「しかし、いくらエナジー力があっても幼稚園児ではさすがに役に立たないのではないですか?」


 エナジースーツを着たとしても幼児では悪の組織を理解させるのが大変だろう。子供に物事を理解させるのは難しい。いとこの子供で俺は嫌というほど知っている。彼らは味方が大好きなのだ。


 「いや、この度のステッカーに反応したのはその幼稚園児の兄だ。今は中学生らしい」


 なるほど。俺やミコちゃん同じくらいと言うことか。そうなると、自分たちがそうであるからには年齢では反対しにくいな。中学生なら逆に悪の組織の方が好きな場合もあるしな。


 ・・・実のところを言うと俺はあまり暗黒闇極悪軍団の構成員を増やしたくない。構成員が増えればそれこそ世界征服の野望が進んでいくだろうし、そうなると地球平和平等自由防衛隊の活動も活発になるだろう。それは両方に籍を置いている俺としてはあまり望ましくない事態だ。


 「中学生ですか。どんな人なんですか?」


 とりあえずそいつの情報を集めてなにか難癖をつけて反対しよう。なーに、このおっさんは悪の大総統のくせに、詐欺にすぐ引っかかりそうなほど人の言うことを信じやすいからうまく誘導してやればすぐに前言撤回して「今回は採用を見合わせよう!」とか言うはずだ。そうできる自信もあるしな。


 「はっはっは。そうがっつくでない。今、闇巫女がスカウトに行っておる。じきにここに来るはずだ」


 お、おそかったかあ。い、いや、まだわからないぞ。ミコちゃんがスカウトに行ったからといってすぐについてくるとは限らない・・・。


 ミコちゃんがスカウト・・・。相手は中学生男子か・・・。


 来るな、そいつ。


 俺は自分の時の事を思い出してそう確信するしかなかった。

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