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「これが・・・エナジースーツ訓練装置」
「驚いているようね、赤井君。これが私たち地球平和平等自由隊の誇る最新鋭のエナジースーツ訓練装置よ」
訓練場に案内された俺が呆然としていると、青原さんが「フフンッ」と鼻で笑ってくる。その姿は自分の方が地球平和平等自由隊についてよく理解しいしているという優越感を隠さしていない。やたらマウントとってくるなあ。青原さんってこんな人だったのか。少し残念だな。
「まあ、びっくりはしたよ」
青原さんが言うように確かに俺は驚いている。しかし俺が驚いているのは地球平和平等自由隊のエナジースーツ訓練装置がスゴいからではなく、むしろ思っていたよりもしょぼすぎるから。
暗黒闇極悪軍団のエナジースーツ訓練装置は暗黒大総統の超科学によるバーチャルリアリティーシステムを使った、まさにテクノロジーの粋を集めたものだったが、正義の味方のエナジースーツ訓練装置はかなりアナログだ。
一言で言えばサ〇ケ。
まあ、サ〇ケと言ってもジャンプして超える壁の高さは30メートルは超えているし、飛び越える堀も50メートルくらいは幅がありそうだからエナジースーツなしの生身の人間には不可能なアスレチックになっている。
このアスレチックをクリアすればエナジースーツの扱いに慣れる事はできるかもしれないが、実戦的ではないような気がするなあ。
安全面に関しても暗黒闇極悪軍団と比べて段違いに悪い。申し訳程度にマットとか敷いているが、あの高さから落ちたら普通に死ぬだろ。まあ、エナジースーツの防御力があるから耐えられるという設定何だろうが、マットのほうに穴が開くんじゃないかな。・・・いや、空いてるな、穴。練習中に失敗したのだろうか。よく見るとマットにはところどころ大穴が空いている。
「あのマットの穴、あれでいいのか?」
あのマットで安全を担保できるとは全く思わないが、無いよりはマシだろう。できる事なら新しいものに変えておいてもらいたいと思って俺が言うと、
「それなら大丈夫。私たちが見ているからどこで落ちたか確認できますから」
青原さんが淡々と答えるが、ちょっと意味が分からない。落ちた所を確認するためってどういうことだろう。
「落ちたら助けてくれるって事ですか?」
「何を言っているの。あのマットはどこで失敗したかわかるようにおいているのです。穴があくからどこでおちたかわかりやすいでしょう?床も傷つかないで済みますから」
・・・・安全用の物ですらなかった。
本当に何も知らないのねという目でみんな見てくるが、俺が間違っているのか?本当に俺が間違っているのか?もっと今の現状に疑問を持とうよ・・・。
これがブラック基地で働くって事なのかもしれないな。
「ちなみに得点はかかったタイムとミスの回数で決まるのよ。私たちの中でも最高得点は青原さんの150点よ」
緑川さんが説明してくれる。なるほど、最高得点は青原さんか。やはりというかなんというか。
「赤井、がんばれよ!最初だから70点超えたらいい方だからな」
得点の参考を教えてくれながら応援してくるのは桃里だ。青原さんと対照的にこの二人は好意的だなあ。
「がんばれー」
気のない言葉をかけてくる黄田ちゃんは中立ってところかな。それでも応援してくれてるだけ青原さんよりはマシだな。
このエナジースーツ訓練装置、どのくらいのタイムで何点になるのか全く想像もつかないが、とりあえず青原さんの得点を超えないようにしよう。うっかり超えてしまおうものなら面倒な事になるのは間違いない。俺はそう決意したのだった。




