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バスジャック事件の翌日、俺は父さんたちに地球平等自由隊の秘密基地に連れてこられていた。暗黒闇極悪軍団も基地の事を『秘密基地』と言っていたが地球平和平等自由隊でも基地は『秘密基地』らしい。


 両方に所属している俺からしたらややこしい事この上ない。


 暗黒闇極悪軍団の時も思ったが、なにが『秘密』なのかわからない。ただ、父さんが『秘密基地』と言っていたので『秘密基地』なんだろう。


 『秘密基地』のあるビルの前にはデカデカと『地球平和平等自由隊 秘密基地』と書いてあるし。


 『秘密』ってなんだろうね?マジで。


 ・・・もう深く考えるのはやめよう。


 地球平和平等自由隊の『秘密基地』は暗黒闇極悪軍団の『秘密基地』と違って外見は普通のビルになっているが、その内部は暗黒闇極悪軍団の『秘密基地』と同じようにわけのわからない装置がカラフルな電飾をきらめかせている。もっとも、暗黒闇極悪軍団の『秘密基地』と比べると地球平和平等自由隊の『秘密基地』はやはり内装はかなり明るい色で構成されている。

 

 ・・・やっぱり、ややこしい。


 ここは一つ暗黒闇極悪軍団の秘密基地は『ホワイト基地』と呼んで、地球平和平等自由隊の秘密基地は『ブラック基地』と呼ぶことにしよう。


 普通、逆じゃないか?と思うかもしれないが俺はそうは思わない。


 ちゃんと根拠もあるのだ。


 地球平和平等自由隊の『ブラック基地』のあちこちに貼ってある場違いな標語のようなポスターを見たら誰だってそう思うはずだ。


 例を挙げると・・・。


 『今ある平和は正義の味方の先輩方のおかげで維持されています。それに日々感謝して活動しましょう。今の平和はあなたの実力じゃない事を肝に銘じよう!』


 『誰も見ていないから正義の活動をさぼってもまあいいやって思っていないかな?見てる人はいますよ。それはあなた自身です』


 『今日も一日がんばりましょう!元気がなくても無理やり元気を出そう!元気を出すのは正義の味方の義務だよ!たとえそれがカラ元気だとしても』


 『大変な任務は成長のチャンスだよ!どんなに無茶な任務でもお礼を言いながら喜んで自分から引き受けよう!』


 『やる気を出そう!出せないのは能力のない証だよ!』


 ・・・なんか全部ブラック企業にありそうなやつなんだが。見ているだけでやる気がだだ下がりになるな。これで隊員のやる気が出ると思っているならその発想がヤバすぎる。

 

 実際俺のテンションは地の底まで落ちているが、そんな俺の気持ちに全く気づかないのか父さんは嬉しそうに基地内を案内している。


 「これが、わが地球平和平等自由隊の秘密基地なのだ!」


 すごいだろうと俺を振り返る父さんはの眼はリアクションを期待しているが、俺は無理やり口の端を上げるので精一杯だ。さすがにこの光景を見てそれ以上のおべっかは使えそうにない。

 

 「ふうっ。薄い反応だな・・・。これだから若い者は・・・」父さんはぶつくさい言いながら俺に手帳サイズのカードを渡してくる。


 「それからこれを渡しておこう」


 「これは?」


 「地球平和平等自由隊の理念が書いてあるカードだ。これを毎朝復唱するといい」


 父さんはさも当たり前のように言っているが、もうヤバい感じしかしない。


 カードの中身を読むとまあいい事も書いてあるんだが(全くオリジナリティは感じないが)これを毎朝復唱するという精神がもうヤバい。


 ちなみにその(ヤバい)一部を紹介すると・・・・。


 『上官の命令は絶対。返事は『はい、わかりました!』』


 『いつも元気で明るい笑顔。それが出来ない人は正義の味方として失格』


 『正義の味方には休みなんてない。勤務時間外でも喜んで正義の活動を行おう。正義の気持ちがあれば全くつらくないはずだ』


 こんな感じだ。


 とにかく精神論で押してくる感じだ。


 ここにきて一時間もたっていないが、早くも暗黒闇極悪軍団の『ホワイト基地』が恋しくなってくる。


 ミコちゃん、いや、大総統でもいい。早く会いたいなあ・・・。


 しかし、俺はこの『ブラック基地』がまだまだ本気を出していない事をこの後、思い知るのだった。

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