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015

「もしかしてその装置を使うとうちの学校も創立記念日休みができるんですか?」


 「そうだ!この装置使うとその学校に通っている者はもちろん、その他の者たち全てがこの装置で指定した日が学校の創立記念日休みであることに疑問を持たなくなるのだ!しかもその効果範囲は地球丸ごとだ!だから、仮に外国から来た者がいたとしても『オー、キョウハコノガッコウ、ソウリツキネンビヤスミデス!』となるわけだ!」


 うーん、外国人の片言のマネが間抜けな感じがするが、装置自体はすごい発明だ!


 要は広範囲の洗脳装置なんだろうな。


 洗脳装置か。SFなんかではよく出てくるが地球丸ごとと言われるとさすがにスケールが大きくてあまりきいたことがない。まあ、実際そこまでチートな洗脳装置があると話がつまらなくなるだろうからな。


 ん?地球丸ごと洗脳できる?ってことは・・・。


 「その装置を応用すれば『世界の支配者は暗黒極悪軍団だ』と思わせる事も可能なのではないですか?そうすればあっという間に世界征服できますよ」


 「はーっ・・・」


 大総統はわざとらしく大きなため息をつく。


 「これだからシロウトは困る。地球丸ごとに暗黒闇極悪軍団が支配者だと思わせるほどの装置が開発できると思っているのか?地球丸ごと洗脳するとなれば創立記念日だと思わせるのが関の山だぞ?」


 だからなんで洗脳の基準が創立記念日なんだよ!もっと他にあるだろ!


 そんな俺の心のツッコミもむなしく大総統は説明を続けていく。


 この後大総統がつらつらと説明することの意味の大半はよくわからなかったが、同じ洗脳でも思い込ませる内容によって設定できる効果範囲が違うって事らしい。


 「というわけでだな、世界の支配者が我が暗黒闇極悪軍団だと思わせる事の出来る範囲はせいぜい日本国内くらいだろうな」


 十分だと思うけどな、それ。もうそれでいいんじゃないのか?とりあえず日本支配して、それを足がかりにして世界征服をする方が効率的だと思うが。


 俺はそう思うが本気で実行されても困るからここはツッコまないで心の中に留めておこう。この大総統は超天才だがアホなのでこんな簡単な事に気付いていない可能性がある。


 「そもそもなんでこんなものを作ろうと思ったんですか?」

 

 すごい発明だが役に立たない事この上ない。創立記念日だと思わせるだけの機械を学生でもないおっさんの大総統が作る意味が分からない。


 「作ったのはわしが高校生の頃だ」


 それなら一応話は分かる。大総統はアホがだが昔から頭が良かったんだな、アホだが。


 しかし、このおっさんにも高校生の頃があったのか。当たり前のことだがなんか違和感あるな。高校生の大総統は全く想像できない。そんな俺の反応に気づかずに大総統は回想を続ける。


 「高校生のわしはある日気付いたのだ。よく漫画やゲームの中である『創立記念日』で休みってなかなかないって事に!」


 そんな力強く言わんでも・・・まあ、気持ちはわかるが。実際、俺の学校にもなかったし創立記念日休みがあればいいのにって思ったこともある。ここまではわかる。


 「だから作ったのだ。この『創立記念日だと思わせて休みつくり機』をな!」


 うん、ここでおかしいよね。だいぶおかしい。


 そんな力強く「・・・をな!」って言われても今度は「なるほど、そうだったんですね!」とはならない。明らかにおかしいだろ。


 『収納スペースに困ったから日曜大工で棚を作りました』くらいのノリじゃないか。そんな「必要だからちょっと作ってみた」で作れる装置じゃないだろ。しかも高校生が。


 「わしはこの装置を作って学校を『創立記念日休み』にするとある女の子を遊びに誘う事を計画したのだ」


 ん?まだ続きがあるのか?しかもちょっと面白そうな展開になってきたな。


 あれ、これもしかして大総統の甘い青春の1ページなのか?少し期待して聞いてみよう。



 



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