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Ep2.狩り

がんばれケイ!

 おきた時、あたりは一面の暗黒世界だった。

 そんな暗黒世界の中で、わずかに木炭から漏れ出す明かりだけが光っていた。


 美しい、赤ともダイダイともつかない色が私を照らしている。

 そうやって木炭を見ているうちに朝日が登り出した。

 美しく光っていた木炭は太陽の光に負け、しだいに見にくくなって行く……


 もう朝である。

 今日は、野鹿を狩る日だ。


 野営の跡を片付けた後、私は横に置いてある袋の中を確認した。

 中には弓と矢が入っている

 この弓も物々交換で貰ったもので、ある冒険者に貰った、なんでもいろいろな素材を合成して作った弓らしい。

 一方矢の方は自分で作ったものだ、折れないことを祈っている。


 私は、馬にまたがり東の草原へと大急ぎで向かう。

 日が完全に登り切り、野鹿が移動する前に。



 移動しているうちにだいぶと空が明るくなってきた。

 夜に鳴く虫と、朝になり飛び立った小鳥達の鳴き声が聞こえる。

 やがて東の草原に着いた、草原の草花は昨日となんら変わることなく青々と茂っている。


 馬を少し離れた所に停め、弓矢を持ち、人の背丈ほどある草の間に入り込み、そこから昨日の場所を除く。


 ………居た。

 そこには数頭の野鹿が草をはんでいた。


 弓を構え、野鹿の首元目掛け矢を飛ばす。

 空を飛ぶ、猛禽類の羽で出来た矢は、かつて生きていた頃を思い出し野鹿めがけて飛んでゆく。


 ………命中。

 その瞬間周りに居た野鹿達は四方八方へと逃げて行く。

 当たった野鹿はその場に倒れ込み、血をどくどくと流す。


 動かない。近距離ということもあり急所に当たったのだろう。

 私は野鹿の元へと駆け寄り、野鹿を担ぎ馬を停めている所へと持ってゆく。


 東の草原は静まりかえっていた。



 野鹿を一頭仕留めた。

 しかしこいつ一頭だけでは長くは持たないだろう。

 生きるにはさらに狩りをする必要がある。


 しかし杞憂だろうか。

 野鹿はこの大地にやってきていたのだ、例年の生息域が広い野鹿のことだから、他にも探せば各地で見つかることだろう。

 つまり、もう食料の心配をすることはないのだろう。


 私は野鹿を馬に乗せ、しっかり、何があっても落ちないよう慎重に固定する。昔は不器用だったから、縄を結ぶのすら苦労したが、今はしっかり結べているはずだ。


 自分を信じ、馬を走らせる。

 馬は大地をかけてゆく。

 その頃には虫の鳴き声も消えうせ、小鳥の鳴き声が心地よく聞こえていた。


 やがてテントと人が見えてくる。

 仲間達が駆け寄って来て、次から次に質問を飛ばしてくる……あまり話すのは苦手だ。


 でも、良い土産が出来て本当によかった。


前回に引き続き、読んでくれてありがとう!

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