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第二話


 女の子はお医者様に診てもらい、薬を飲ませたら熱が下がったので一安心。


 お父様が言伝を頼んだ人から、診療所に行った事を聞いたご両親が駆けつけた時には、薬が効いて穏やかな寝息を立てていたので、安心された様子でした。

 ご両親のアランさんとティナさんは商いをしていて、朝から体調が悪かったジュディちゃんを部屋で1人寝かせていたら、ご両親がお店に出ている間に1人で外に出てしまい、道の真ん中で倒れていたようです。

 たぶん、熱のせいで意識が朦朧として、そばに親御さんがいなかったから探しに出てしまったのかな。


「大変申し訳ありませんでした!それに、なんとお礼を申し上げたら……」

「うちの子が、ご迷惑をおかけしました」


 ジュディちゃんのご両親が何度も頭を下げます。


「お気になさらず、当然のことをしただけですから」

「しかし、お嬢様のお召し物が……」


 咄嗟に道の脇に転がってしまったので、ドレスが汚れて破れてしまい、気づけば髪飾りも無くしてました。


「いいんですよ。ジュディちゃんはお二人の唯一無二の宝、替えの利くドレスなら新しく買い直せばいいんですから」


 まぁ、お金に余裕は無いから買い直すのは無理だけどね!


 ――ぐきゅるるるー……。


 やだ、お腹鳴っちゃった。

 

「あ、あはは……お腹空いちゃって」


 夜会でたくさん食べるつもりだったから、朝から何も食べてないんだよね。


「でしたら!少々お待ちください」


 そう言ってアランさんが駆けて行き、少ししてカゴにいっぱいのリンゴを持ってきました。


「良ければこのリンゴをどうぞ」

「えっ」

「あ、あなた!貴族様にリンゴを丸齧りしろっていうの⁉︎」

「――あっ!」


 突然差し出されたリンゴにびっくりしていると、ティナさんが慌ててアランさんを怒鳴ります。


「いえいえ!大丈夫ですよ!うちはよく丸齧りしてますから!綺麗なリンゴですね、いただきます!」


 カゴから1つリンゴを取り、ハンカチで軽く拭いてからひと口齧りました。


「ん~~っ!蜜もたっぷりで、甘くて美味しいです!いくらでも食べれちゃいそうです!」


 口の中に、爽やかな甘さと香りが広がります。


「じゃあ、私達もいただこうかな」

「そうね、リタもいただきましょう」

「はい!」


 お父様、お母様、リタもリンゴを丸齧りします。

 他の貴族が見たら眉を顰めそうだけど、うちは家庭菜園で収穫した採れたて野菜を丸齧りする事も日常茶飯事だから、全然気にしません!


「とっても美味しいですけど、このリンゴはアランさんが育てた物ですか?」

「いえ、弟夫婦が果樹園をやってまして、そこで収穫したものです」

「弟さんですか!うちにもリンゴの木があるんですが、どうすればこんなに美味しく育つのか、コツを教えていただけないでしょうか?」

「弟に話してみます!」

「ありがとうございます!」


 やった!

 これで、うちで採れるリンゴももっと美味しくなるかも!


「ふふ、なんだか貴族様らしくない貴族様ですね」


 ティナさんが笑みをこぼしました。


「「「「よく言われます」」」」


 親子3人とリタで、見事にハモりました。

 


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