月命日
土石流が原因で避難生活をしている人たちの、飼っているペットたちを預かっている人がいる。いまのところ三十匹未満だが、これから避難生活が始まる人たちがいるので、増えるのはこれからだと言っていた。避難所やホテルはペット不可なのだ。そして、仮設住宅もほとんどペット不可なのだという。ペットなんて、金持ちの道楽なんかではなく、基本的人権の範疇だと思うんだけれど。
さらに心を痛めるのは、土石流に巻き込まれて死んだ人がいるということは、同じように死んだ犬猫がいるということだ。中には地域猫なんかもいただろう。そして土石流の原因は、何年かに一度起こる仕方のない災害ではなく、温室効果ガスによる地球温暖化によるもので、私たちが考えもなしに便利な生活を享受してきた結果なのだ。そして今回は、森林の伐採も絡んでいるみたいだから、明らかに人災だ。
うちの猫が死んでもう二年以上が経つ。本棚の一画に仏壇のようなものを作って、お供えをしている。写真盾に若かったときの写真を入れて。近年の写真はスマートフォンで撮っているのでプリントしていないのだった。写ルンですで撮ったものだ。その前は簡単カメラを持っていた。本当は別の言い方をしていたのだが、人種差別に当たる言葉なので今は言えない。デジタルカメラのころは、使い方がよくわからなくて殆ど触らなかった。スマートフォンで撮るのは実に簡単だ。でも、加工とかはよくわからない。
横にはボッシュの祭壇画の紙模型も飾ってある。どんな宗派だかわからない。観光特急でもらったお絞りと箸なんかも飾ってある。同じ段には入りきらなかったが、猫が投げ飛ばすのが好きだったピンクの豚のぬいぐるみを下の段に置いている。
生きていたころに水を飲んでいたプラスティックのカップも置いているが、毎日のようには水をやっていない。お供えも殆ど供えっぱなしだ。ただ月命日には、好物だったものをあらためてお供えする。たいていは、鰹のお刺身だ。お供えという名目で、私もご相伴に預かれる。お刺身は数日経つとカチカチに硬くなる。乾燥するんだろう。本当は川にでも流すべきなんだろうが、ただ単に燃やすゴミで捨てている。燃やすんだから虹の彼方には届くだろう。猫自体も火葬にしたんだし。
私はいまだに猫に話しかける。でも、ひところのように鳴き声が聞こえたり、足元をすり抜けていくような感覚はなくなってきた。夢にもたまにしか出て来ない。今度夢に出てきたらここに書くことにするか。
市から、新型コロナウイルスワクチン接種のご案内が送られてきた。十六歳から五十九歳宛てのものだ。私はこの範囲に入っている。って、四十年を超えるずいぶん広い範囲だが。下の方はまだ高校生だね。クーポン券と予診票、それから説明書が入っている。最初ファイザー社製用と書いてるのを見たので、当市はファイザーなんだと思ったら、その下にモデルナ社ワクチン用と書いたものが出てきた、どちらともまだ決まっていないようだ。時期もまだ決まっていない。
例によって兵站は滞っているし。よりによってこんなときにひどく無能な政権に当たってしまって。いやいやそれを選んだのはあなたたちだ。今回の都議会選はまだましな結果だったみたいだが。衆議院選はどうなるんだろうねえ。秋には必ずあるわけだが。政権交代とまで行かなくても、与野党拮抗とならなければ政治はよくならない。振れ幅が広くなったのは小選挙区制のせいだし、もっと言えば選挙に行かない人たちのせいだ。バカに投票するバカがいるのは、民主主義の制度上仕方ないことだけれど、投票にすら行かない大バカだけは赦せない。




