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9話 お爺ちゃんの正体




「リュウ?お風呂入らないの??」


「あ、、ああ、入ろっか。」


俺は服を脱いで、新たに設置された棚に置かれている木製のバケットに服を入れた。


ついでに、脱ぎ方が分からず服を(やぶ)ろうとしていたニコちゃんの服を脱がせてあげる。


べ、別にやましい事を考えてたわけじゃないぞ!?



浴室への扉を開くと、皆がはしゃぎ始めたので、お風呂場での最低限のマナーを教えることにした。


体を洗ってから湯に浸かるとか、浴槽で泳がないとか、おしっこは浴槽の外で!とかね。



俺はニコちゃんから順に、パルちゃん、ルルちゃん、シールちゃん、ギン君・シバ君・ウル君の順にウォッシングした。


まぁ、レディファーストの精神です。


最後に自分を洗い、まずは広さ以外ノーマル湯船に浸かる。



「ふ〜っ♪いい湯だね〜っ♪皆、好きなお風呂に入ってきていいんだよ?」


「リュウと一緒が良いっ♡」

「パルもリュウさまとっ♡」

「ワフワフ〜ン♪」」」」」


「そっかぁ♪俺としては皆にも色々と経験してもらいたいから、順番に周ってみようかっ♪」


「お〜っ♡」」ウワォーンッ♪」」」」」



まずやってきたのは、ジェットバスだ。

浴槽の側面と底面から勢いよく水流が噴射されており、血行を良くし、筋肉をほぐしてくれる!


10台設置されているのを見ると、家族全員でも入れるように設計されているのだろう。



「それじゃあ、入ろっか。パルちゃん達は、体の背面が下に来るように入らないと、お腹に水流がきて苦しいかもだから、気をつけてね?」


「は、はいっ♡リュウさま、見たらダメですからねっ?」ポッ♡


「ん?あ、ああ〜、丸見えになっちゃうもんね。分かってるよ!ギン達も女性陣の入浴シーンは見ないように!!」


「ワ、ワフ〜ン、、。」」」がっくし、、


あからさまにガッカリしているのだが、紳士として女性を大切にしなくてなっ!!



「そ、それで、ニコちゃんはどうして俺の上に乗っかってるのかな?」


「ニコはリュウと一緒が良いっ♡」


ニコちゃんは俺に抱きつき、俺の胸に頬ずりしている。

それだとジェットバスの効果が楽しめないんじゃないのかしら?



「そ、、そか。」


「ニコさま!ズルいですっ!!パルも一緒に入ります〜っ♡」


「ワフ〜ンッ♪」ワフフ〜ンッ♪」


「あっ、ちょっ!待って!?」


俺の静止も虚しく、ザブーンッと勢いよく飛び込んできた。しかも、パルちゃんだけにとどまらず、ルルちゃんとシールちゃんも一緒に、、だ。


1人用のジェットバスの浴槽に、俺・ニコちゃんと大型犬くらいの大きさのシルバーウルフが3匹、、。


ぎゅうぎゅう詰めである。


しかも、ギン達の(うらや)ま視線が痛い!



ジェットバスを堪能?した俺たちが、次に向かったのは滝湯だ。


これは温かい本格的な滝という訳ではなく、直径5cm程のお湯が上から流れ落ちてくるので、その下に座って肩に当てたりするものだ。

お湯を使って指圧効果を得られ、地味に気持ちが良い!!


これもちゃんと10箇所設置されているね。



「これは1人1箇所じゃないと、、ニコちゃん?俺に抱きついてたら、滝湯に当たれないよ?」


「ふふふっ♡リュウにくっついてた方が良いっ♡」


「あっ!パルもリュウさまにくっつきたいですっ♡」


「ワフ〜ンッ♪」」


「ちょっ!待って!?」


またしても止まらず、俺の前面にはニコちゃん。おぶさるようにパルちゃん。右側面にルルちゃん、左側面にシールちゃんが抱きついている。


仕方ないので、俺はつむじに滝湯を浴びたのであった、、。



さ、さて!気を取り直して、次に向かったのは炭酸風呂。


炭酸ガスの気泡が毛穴の奥の汚れを綺麗にし、シュワシュワ感と相まって気分爽快!!


今度こそちゃんと堪能したいと思い、俺が入るより先に、皆を入れてしまう作戦を実行してみた。



「ほ、ほら〜。シュワシュワして気持ち良いから、入ってみて?、、ねっ!?」


「ワフ〜〜ッ♪」」」


ギン達男の子3匹は、素直に炭酸風呂へと浸かり、うっとりとした表情で満喫している。


しかし!女の子連中は、俺が入るのを今か今かと待ち望んでいるようだ。


このままだと、再びぎゅうぎゅう詰めの未来がやってくるだろう。


この手は使いたくなかったのだが、未来を変えるためだ。仕方ないのだ!



「え、え〜っと。ちゃんと1人で入れたら、明日ケーキ屋さんに連れてってあげるんだけどなぁ??」チラッ


ジャパ〜ンッ

「ニコは5つ食べたいっ♡」


ジャプンッ

「パルも5個で我慢しますねっ♡」


「ワフン??」」


ふむ。ニコちゃんとパルちゃんは作戦通り釣れたが、ルルちゃんとシールちゃんにケーキ屋さんと言っても意味不明だよね。


よし、それなら!!



「ニコちゃん、パルちゃん。ルルちゃんとシールちゃんと一緒に入ってくれたら、10個ずつ食べさせてあげるよぉ〜?」チラッ


「ルルっ!早くこっちに来てっ!!早く早くっ!!」


「シールっ!!あなたはパルの方に来て下さいっ!早く早くっ!!」


「ワ、ワフ〜ン、、。」」


渋々ではあるが、ルルちゃんとシールちゃんは2人の浴槽に入ってくれた。


これで俺も、炭酸風呂を堪能できるぞっ!!



シュワシュワシュワ〜ッ

「おっお〜っ!!気持ち良〜いっ♪これは(たま)らんっ♪」


こうして皆で炭酸風呂を味わった訳だが、さすがにのぼせてきてしまったので、サウナと露天風呂はまた明日にしよう。



皆でお風呂から上がり、新脱衣所でよく体を拭いて着替えを済ます。


リビングに戻ると、父と母がヒゲを三つ編みにしている爺さんと話していた。

恐らくこの爺さんが俺のお爺ちゃんで、タメ口の母に対し父は敬語なのを考えると、母方のお爺ちゃんなのだと思う。


でも、どこか見覚えがある気もするんだよなぁ。小さい時に会った記憶かな?



「おお!リュウなのか?随分と大きくなったようじゃ!ワシの事、覚えてるかのぅ?」


「え、えっと、、な、なんとな〜く?」


「ふふっ、お父さんったら。覚えてる訳ないでしょ?今日が初めましてなんだからっ♪」


くっ!会った事ないのに、『覚えてる?』なんて、ひっかけ問題すぎるだろっ!

無駄に気を遣って、『なんとな〜く?』とか言ってしまったよ、、恥ずかし!!



「改めて紹介するわね。この変な人が母さんの父親で、リュウのお爺ちゃんよっ♪」


「こらこら、母さん。陛下に向かって変な人なんて言ったらダメだろう。、、すみません、陛下。」


ん?今、気になるワードが入っていたような?



「ふぉっふぉっ♪ローラは昔からこんな感じじゃからな。、、リュウよ。ワシの名前は、メルグリッド・リュート・ナポリタン。君のお爺ちゃんじゃよーっ♪よろしくなのじゃ!」


「あ、、よ、よろしくね。ちょっと質問しても良〜い?」


「ふぉっふぉっ♪何でも聞いてくれて構わないのじゃ!」


「じゃ、じゃあ、お爺ちゃんの仕事って?」


「ん?ローラから聞いてないのじゃ?」


「うん。」チラッ


「あ、あははっ、、もう少し大きくなってから話すつもりだったのよ〜。ほ、本当よっ?」


「ふぉっふぉっ♪まぁ良い。ワシは一応、ナポリタン王国の王さまをやっておる。こう見えて偉いんじゃよ〜っ?」


ふむ。思い出したよ。どうりで見覚えがあると思った。

村の中央広場の真ん中に、国王陛下の石像があるもんね。



「じゃあ、母さんは次期女王さまってこと?」


「いやいや。母さんは継承権を放棄して父さんと結婚してくれたんだ。次期国王さまは、母さんの弟のメルザン王子だな。」


「城を出るからって、こんなに離れた村に来なくても良かったと思うんじゃがなぁ。」


「だって、王都のそばだと顔バレしてて色々と面倒になるから、こういう小さな村でのんびり過ごしたかったのよ。」


「ふむふむ。じゃあ最後の質問ね。どうしてこのタイミングでバラす事になったの?」


「ふぉっふぉっ♪急にパーティーをするから手伝えって連絡が入っての。その内容を聞いたんだが、ワシにだって出来ないこともあるのじゃ。」


「そっ。それで『リュウに会えるなら頑張っちゃうんじゃけどな〜?』なんて言ったのよ?ズルいわよね〜っ!?」


「し、仕方ないじゃろ!ケーキ屋の時も、作ってくれたらリュウの喜ぶ顔が見られるわよ?とか言ってたのに、会わせてくれる様子が全くなかったんじゃもん!」


ああ、こんな小さな村にあんな美味いケーキ屋さんがあるのは、若干違和感を感じてたのだが、母さんが作らせたのか、、。


ま、まぁおかげで美味しく頂けたから良いんだけども。



「色々聞けて良かったよ。ありがとう、お爺ちゃんっ♪」パチッ(上目遣いウィンク)


「ブフォッ!!お爺ちゃんはリュウのためならなんだってするのじゃ!!学校に入ったら、休みの日は王都の店、全部リュウの貸切にしてやるからのぅっ!!」


「わ、わー。嬉しいなー。」(棒読み


「むっふぉっふぉ!任せるのじゃ〜っ♪」


自分で言うのもなんだが、俺は母さん似でなかなか可愛らしい。初対面の人に美少女と思われる事も多々あるくらいだ。


そんな孫に上目遣いウィンクでお爺ちゃんっなんて言われたら、カッコつけたくなるのもわかるな。


しかし、王都の店を全て貸切とか、本当にやりそうで怖い。まぁ冗談だとは思うんだが、、。



「リュウの質問は終わったかしら?、、なら、今日の主役、ニコちゃんとパルちゃんから挨拶をもらってパーティー開幕よっ♪」


母さんは上座にニコちゃんとパルちゃんを連れて行き、一言ずつ挨拶をしてもらうようだ。


どうやら、ちゃんと人語を習得したのをお披露目するという意味のようだ。



「母さん、ニコは何を言えばいい?」


「あ〜、簡単な自己紹介で良いわよっ♪パルちゃんもねっ?」


「分かった。、、ニコはライオスキングの子供で、まだ14才。好物は肉と、今日食べたシュークリーム。リュウの妻として一生守り続ける。よ、よろしくっ!」


ふむ。色々とツッコミたいところだが、パーティーが始まってから聞けば良いかな。



「パルはシルバーウルフです。リュウさまに一生仕(つか)えていきます。歳は16才ですが、歳の差なんて、愛の力があれば乗り越えていけるから大丈夫です。よろしくお願いしますっ!」


こちらもツッコミどころ満載ですな。



「2人ともありがとうねっ♪頑張って完璧に話せるようになった2人を祝してっ、、カンパーイっ!!!」


「かんぱーいっ!!!」」」」」



皆で乾杯をして、祝賀パーティーが始まった。


恥ずかしそうに照れながら俺のところに来たニコちゃんとパルちゃんであるが、、さて、何から聞いてやろうかな。


と、特大骨つきカルビにかじりつきながら悩む俺であった、、。



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