62話 実はコスプレ?
「それにしてもリュウさん。家庭菜園でお魚まで作れるようになったんですか?」
「いやぁ、、俺もちょっと分からないんだよね〜。フーから、漁業権をくれるならって言われて、オーケーしたらって感じなんだ。」
「なるほどです。あっ、フグ天・イカ天・シャケ天おかわりですっ!!!」
「り、了解〜。」
「リュウっ♡ニコは、チキンカツと照り焼きチキンとフライドチキンっ♡」
「アタシは、お刺身と鉄火丼とマグロステーキなの〜んっ♡」
「はいはい、分かったから箸でお椀を叩かない〜。」
俺は皆のおかわりを作りつつ、この後の予定を考えてみる。
確か、身体測定は15:00までで、15:00〜17:00が各武器選択授業になっていたな。
「ニコちゃん達は何の武器の選択授業に行く?」
「ん〜?ニコは爪ーっ♪」
「アタシも爪なのんっ♪」
「私は剣ですねっ!!」
「うん、オネーちゃんはそれで良いと思うんだけど、爪って選択肢はない気がするんだよね〜、、。」
「リ、リュウ様。爪という武器の選択肢はございませんが、徒手空拳でしたらございます。拳具を装備して行うのですが、爪のような刃物が付いた拳具もございますので、そちらが良いかもしれませんね。」
と、寝室から出てきたアンナが、徒手空拳、、いわゆる素手での格闘術を勧めてきた。
ふむ。爪付きの拳具が存在しているなら、2人の練習にもなるか。
「じゃあ、ニコちゃんとチェリーは、その徒手空拳の方に行ってみる?」
「うんっ♡」はいっ♡」
「よしっ♪まぁとりあえず、15:00までは自由時間だから、のんびりしててね。俺はジュンナとナイトを連れて、母さんに事情を聞いてくるよ。」
「リ、リュウの母君と面談じゃとっ!?わ、妾は何の準備もしておらんのじゃ〜っ!!」
「大丈夫大丈夫っ♪あ、オネーちゃんにも手伝ってもらいたいなぁ。」
「私ですか?」
「うん!ちょろっと王国騎士団の前で、『醜い人間共よ。争いを止めよ!』的な事を言ってくれると助かるんだけど。」
「なるほどです!!あ、でも、家族にしか見えないんじゃ?」
「問題ない。ほっ♪天使復活っ♪」
「えっ、、ああっ!!てっ、天使様なのじゃっ!!はは〜っ!!」
「はわわゎ〜、、ど、どうか姫様だけはお助け下さい〜っ!!」
ニコちゃんがオネーちゃんにかけていた魔法を解いた途端に、ジュンナとナイトは床に額を擦り付ける。
「ふふっ♪人間よ、面を上げなさい。私は神に仕えし天空の使者。神の言葉を伝える。、、我の与えし大地で、醜い争いを行うなど、なんとも愚かしい。これ以上我の眼を汚すようなら、神罰を与えてやろう。、、確かに伝えたぞ?神は平和を望んでおられる。さらばだっ!」
「は、、ははーーーーっ!!」」ガクブルッ
「リュウさんっ♪どうでしたかっ!?今のセリフを言って、空へと飛び立っていく!!なんか舞台女優さんになった気分ですっ♡」
「うんうん!なかなか良い感じだと思う。まぁ、そろそろジュンナ達が可哀想になってきてるんだけどね?」
「あっ!す、すみません!!ジュンナさん、ナイトさん。」
オネーちゃんの迫真の演技を見て、ガクブル土下座をし続ける2人。
そんな2人に、オネーちゃんから声をかけてもらった。
「私は確かに天使ですっ!!でも、リュウさんの妻でもあります!!これからリュウさんと結婚しようと、本気で考えているなら、天使くらいで怯えていたらダメですよっ!!」
「ひっ!!ごめんなのじゃっ!ごめんなのじゃーっ!!はは〜っ!!」
「あ〜、、ジュンナ?オネーちゃんは確かに天使だけどね?コレは〜、、そ、そうっ!!コスプレっ!!」
「え、、?コ、コスプレなのじゃ?」
「そそっそうっ!!!コスプレなんだよぉ!?完成度が高すぎて、ちょっと引くぐらいの天使っぷりだけどね!?」
「そ、、そうじゃったのか〜っ♪妾はてっきり、本物の天使様が、おねしょに神罰を与えにきたのかと思ったのじゃ〜っ♪」
わざわざ神界からおねしょを怒りに来るかっ!
「リュウさん。コスプレって、、。」
「ごめんよ。そうでも言わないと、治りつかなかったからさ?」
「埋め合わせ、、楽しみにしてますからねっ!?」
「わ、分かってるよ。」
「じゃが、まるで本物の翼のようじゃなぁ〜?その輪も、宙に浮いてるようじゃし、、。」
「さっ最近のコスプレセットは、魔導具を使ってるからね!?」
「ほほぅ!!それは凄いのじゃ!!妾も後で貸してもらうのじゃーっ♡」
「そ、、そか。」
と、ジュンナもコスプレに興味を持ってしまったようだが、それは後回しにしておこう。
そんなこんなで、俺・オネーちゃん・ジュンナ・ナイトの4人で、家に居るであろう母に会いに行く。
「ただいま〜。母さんいる〜っ?」
「あら、リュウさんっ♡ワタシに会いにきてくれたんですねっ♡」
ムチューーッペロペロペロッモミモミモミ♡
リビングに入ると、トラミが出会い頭に激しい愛情表現をしてきたので、流れでEカップオッパイをモミモミした。
、、べ、別に俺が揉みたかった訳ではない。
オッパイに手を押し当てられてモミモミしないなんて、マナー違反だ!!、、と俺は考える。
「ぁあっ♡ワタシのオッパイ、いつでも触りにきて良いんですからねっ♡」
「そ、そう?じゃあ、ちょくちょく来るね?、、っじゃなくて!!母さんはどこかな?」
「ふふっ♡ローラさんなら、お城に行っていますよ?」
「あら、行き違いになったかぁ。」
「すぐ帰ってくると言ってましたから、少し待っていれば良いじゃないですかっ♡その間、ワタシのオッパイを楽しんでいればっ♡」
「それもそうだね♡」
「、、リュウさん。こちらの方は?」
「あっ、そうだったね。えっと、、こちらはトラミ。チェリーのママで、俺の妻でもあります!」
「トラミさん、、って、あのイラストで寝転がってる猫のですね!?」
「そうそう。」
「初めまして、天使様。ワタシはトラミですっ♡アナタからもリュウさんの魔力を感じますね。」
「あっ、私はオーネと申します。オネーちゃんと呼んで下さい。い、一応、リュウさんに夫婦の誓いを付けてもらいまして。えへへっ♡」
「まぁっ♪オネーちゃんはどちらに?ワタシはおヘソにっ♡」
「私は思い切って、○○○○○にしてもらいましたっ♡」
「っ!!?そっ、それは本当ですかっ!!?」
「はいっ♡見ますか?」
「ぜ、是非見せてくださいっ!!出来ればその時の状況も、詳しくっ!!」はぁはぁっ♡
「良いですよ!!まぁ、ここだと少し恥ずかしいので、お風呂場に行きましょうか?」
「そうですね!!早く行きましょうっ!!」
2人はリビングから出て行った。
何やら女子トークのようだったので、男の俺(精神的に)が口を挟むのは野暮というものだろう。
「ま、まぁその辺に適当に座ってて?」
「う、うむ。、、リュウよ。其方は今、何人の妻がいるのじゃ?」
「ん?あ〜、、一応5人だね。」
「5人ですか!?それも全て同性婚なのですよね?」
「え〜っと、今はそうなんだけど、前は違ったというか〜、、。そのあたりの話は、ちゃんと結婚してから話すよ。」
「わ、分かりました。それにしても、このソファー、、。素晴らしい座り心地ですね!!!」
「そうなのじゃ〜っ♡まるで雲に包まれてるかのようじゃなぁ〜っ♡」
「ふふっ♪気に入ってくれたみたいで良かったよっ♪」
スッ
「あら、リュウちゃんっ♡今日の朝、居なかったから寂しかったわっ♡」
「おかえり、母さん。ちょっとアイテムBOXに行ってたんだよ。、、でね?実は〜、、
王城から転移で帰ってきた母に、ピロシキ帝国との戦争の事や、ジュンナ達のことを話した。
「、、という訳なんだ。」
「ジュンナちゃんみたいな、小さな女の子まで巻き込んじゃうなんて、ひどい話よね?でも、もう大丈夫よっ♪母さんが今話してきたから、明日の朝には終戦の発表がされるんじゃないかしらっ♪」
「えっ!?どうして?まるで俺が、この話をしにくるのが分かってたみたいだよね!?」
「ふふふっ♡な・い・しょっ♡」
「そ、、そか。まぁでも、そういう事なら、ジュンナ達も安心してピロシキ帝国に帰れるね!」
「う、、うむ。それなんじゃが、、。」
「ん?どうかしたの?」
「妾は、リュウなしでは生きられない体になってしまったようなのじゃ、、。」
「僕もです。リュウ様がいない生活なんて、、。」
「は?」
「まぁまぁっ♡リュウちゃんったら、お姫様どころか騎士さんまで食べちゃったのかしらっ♡」
「いやいやいや!!え、、っと、2人とも?ちゃんと理由を聞いても?」
「うむ、、。妾はリュウの作った、あのエビ天が忘れられないのじゃっ!!チキンカツもっ、マグロ大トロ丼もっ、、全部美味しすぎたのじゃーーっ!!!」
「あ、、ああ、理解したよ。でも、そんな理由で祖国を出るなんて、どうかと思うよ?」
「あら?母さん言わなかったかしら?」
「うん?」
「終戦は、リュウとジュンナちゃんの結婚あっての事なのよ?」
「ええっ!?だってさっき、もう大丈夫よって、、。」
「それは、民の生活が悪くならないって意味ね。さすがに母さんでも、勝利目前の戦争を止めるのに、何の理由もなく止められないわよ。」
「そ、そりゃあそうだよね〜、、。」
「ええっ♪だから、明日からジュンナちゃんも学校に通うのよっ♪ナポリタン王国の文化や芸術、武術に魔術、、沢山お勉強してきてちょうだいねっ?」
「わ、分かったのじゃっ♪」
「では僕も一緒に!!」
「騎士さんはお留守番よ?学校に入れるのは、生徒・お付きのメイド・家庭教師だけだもの。イベント事の時は保護者と招待券を持った者が追加されるけど、護衛騎士はメイドが兼任することになってるわ。」
「し、しかし、、ただのメイドに、姫様を任せるなど、、。」
「ふふっ♪うちのメイドは普通じゃないわよ?、、シェリー。ナイトさんと手合わせしてあげなさい?」
「かしこまりました。」
「シェリー、、い、いつからそこに?」
「内緒でございます。ふふっ♡」
母が声をかけた瞬間、リビングの入口ドアの横に立っていたシェリー。
全然気づかなかったよ、、。まだまだ勇者への道は長いようだね。
「では、庭に出ましょうか。騎士様は愛用の剣をお使い下さいませ。怪我をさせてしまっては申し訳ないので、私はこちらの木剣を使うとしましょう。」
「ば、馬鹿にしているのか?僕はピロシキ帝国騎士団の団長だぞ!?」
「馬鹿にしている訳ではございませんが、そう感じてしまわれたのでしたら、申し訳ございません。しかし、リュウ様の奥様であるジュンナ様お付きの騎士様に、怪我を負わせたとなると、私のクビが飛んでしまいますので。」
「分かった。シェリーとやら、僕は貴様を斬り捨てるつもりでやる。後悔しても知らんぞ。」
「ええ、かまいません。」
皆で庭に出て、シェリーとナイトの立ち合いを、俺たちはカフェテラスから見守る。
「リュウよ。あのメイドは大丈夫かのぅ?ナイトの実力は確かなものじゃぞ?まぁ、リュウ達に比べたら綿埃みたいなものじゃが、、。」
「ん〜、、俺もうちのメイドが戦うのは初めて見るから、何とも言えないね〜。でも、多分大丈夫だと思うよ!」
そう。実際に剣を振るう姿を見るのは、今回が初なのだ。
一体どれだけの腕なのか、、楽しみで仕方ないねっ!!
俺は山盛りポップコーンを口に運びながら、立ち合いが始まるのを今か今かと待ちわびるのであった、、。




