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54話 妖刀・闇時雨




「リュウさん、2周目ですっ♪」


「おっ、ありがとねっ!といっても、一応目標は達成したからなぁ。」


「あ、あれ?初めの場所に戻ってきましたよ?」


「オネーさん。今のがタイムトラベルの力です。 」


「あ、、時間が20:06、、ですね。じゃあ本当に?」


「はい。通常ですと、行った先のリュウさんやオネーさんと入れ替わり、戻る時に記憶の上書きがされるのですが、この世界内でのタイムトラベルは少々違うようですね。」


「その話は俺も聞いておいた方が良さそうだね。」


「いえ、そこまで重要な話ではありませんが、予備知識程度に覚えておけば問題ないですね。この世界内のタイムトラベルですと、入れ替わりが発生せず、時間全てが戻るようです。」


「つまり?」


「つまり、23:59まで練習した記憶はそのままに、20:06の体に戻るという事です。例えば、0:00にこの世界に来て23:59までこの世界内で過ごしたとします。」


「ふむふむ。」


「そして0:00に戻れば、23:59まで過ごした記憶はそのままに、外の世界の時間も全て23時間59分前に戻るという事ですので、リュウ様が生存している間の未来はそれ以上派生しない、、簡単に言うと、未来を止める、、ということですかね。」


「う〜ん?いまいちよく分からないや。とりあえず、問題点だけ教えてくれるかな?」


「問題点、、そうですね。大きな問題ではございませんが、記憶だけが残るので、数年単位で連続使用すると、精神年齢だけが上がっていく。という事でしょうかね。」


「なるほどねっ♪別に気にするほどの事じゃなかったよ。あっ、入れ替わりが発生しないなら、20:06に戻ってから外に出れば?」


「はい。ゆっくり朝まで寝られるという事ですねっ♪」


「了解っ♪それなら、もう何周かするよ!オネーちゃん、パルメザン大森林を探索するよ〜っ♪」


「わ、分かりました〜っ!」


「いってらっしゃいっ♪」



2人で再びパルメザン大森林にやってきた。


とりあえず木を殴りながら、どの程度でどれほどの威力なのかを確認しながら進む事にした。


ちゃんと、オネーちゃんのリセット魔法の練習もしながらねっ!



「まずは、オネーちゃんから選んで良いよっ♪」


「そうですね〜、、。では、この『こ、ここには何も無いでござるニャ!!』に行ってみたいですね!!」


「あら?小さすぎて気づかなかったよ!!ニャーめ!!絶対に何か隠してるよね!?オッケーっ♪」


先日もらった地図を出し、オネーちゃんに行きたいポイントを選んでもらったのだが、アルナガラの滝の裏に小さく『こ、ここには何も無いでござるニャ!!』と書かれていたのを発見した。


早速2人で、環境破壊&環境再生しながら進む。



「う〜ん。これでも消えちゃいますね。」


「こればっかりは、繰り返しまくって覚えるしかないからね〜。あっ!メロン狩りポイントに寄ってから行こっか!」


「はいっ♪」


と、ちょこちょこ寄り道して、つまみ食いしながら目的地を目指した。




出発してから2時間でアルナガラの滝に到着し、問題の滝の裏を覗いてみる。


そこには幅2mほどの通路があった。



「リュウさん。これは怪しい雰囲気ですねっ♪」


「だねっ♪進んでみよっ♪」


2人で通路を進んで行く。


22kmほど進んだ所に、やっぱりありました。

洞窟です!!



「さて、何があるのか楽しみだね!!」


「はいっ♪ドキドキしますっ♡」


2人で洞窟に入り、奥へと向かう。

洞窟内は、火の魔力を蓄えた魔石が一定間隔で設置されており、行動するのに問題のない明るさであった。



「この先に、何か黒く輝くような魔力を感じますね。強すぎて形が分かりませんよ。」


「そうだね。一応、用心しておこう。」


俺たちは戦闘の可能性もあるとし、両手に剣を持って慎重に足を進めた。



「あ、、敵じゃなかったね。これはザルソバ国の武器で、確か、、カタナってやつだったと思う。」


「カタナですか?初めて聞きました。」


「俺も見るのは初めてだよ。確か、剣と違って片刃なんだよ。どれどれ、、。」


俺は剣を鞘に納め、木で作られた小さい平屋の前に置かれたカタナを手にした。


そのカタナは漆黒の鞘に入り、重さは10kg前後といったところだ。


鞘から抜くと、僅かに反った漆黒の刃が、妖しい輝きを見せる。


刃渡り140cmほどで、月下美人より気持ち長い。



「ふむふむ。斬れ味はいかがかな?、、うぉっ!!これは凄まじいね!!月下美人と同等だと思う!!!ニャーの奴、こんなお宝を隠し持ってたのか。」


「リュウさん、大丈夫なんですか?」


「まぁ、今のところは問題ないね。」


「でも、そのカタナの魔力が膨れ上がってますよ?」


「うん。鞘で抑えられてたって感じだね。」


俺はカタナを鞘に戻し、元の場所に置いた。

これはニャーに詳細を確認してからの方がいいと、直感的に感じたからだ。



「そろそろ時間だから、続きは3周目だね!」


「私はコレ、触れない方が良いと思います。なんて言うか、、生きてるような感じがするというか、、。」


「まぁ、ニャーに確認してみるよ!」


「そうですね。」





「お疲れ様です。3周目です!」


「ありがとっ♪、、あっ、ニャーっ♪」


「フニャッ!ご主人、拙者のケットシーじゃらしの術を受けにきたでござるニャっ♪」


「その前に、ちょっと聞きたい事があってね?」


「にゃふん?」


「ニャー、カタナって知ってるよね?」


ビクッ

「いにゃ〜?せせせ拙者は刀なんて初耳でござるにゃ〜っ?妖刀・闇時雨(やみしぐれ)なんて知らないでござるニャンっ?」ダラダラダラ、、


ニャーは滝のような脂汗を流し、あからさまに動揺している反応をみせた。


まぁ、カタナの銘まで口にしてるんだから、知らないって言う方が難しいぞ?



「その妖刀・闇時雨ってやつは、何か特殊な力があったりするの?」


「し、知らないでござるニャーっ!」


「ニャーが知らないなら、俺がもらっても良いって事だね?」


「だっ、駄目でござるにゃんっ!!」


「じゃあ、ちゃんと教えてくれるかな?」


「わ、、分かったでござるにゃ〜。妖刀・闇時雨は、使用者の魔力を喰らい、自らの攻撃力を上げるでござるニャ。普通の人間なら、3分で魔力切れになって失神するでござるニャン。」


「なるほどね。でも、それだけじゃないんでしょ?」


「そうでござるニャー。鞘に戻すまで手から離れにゃいでござるニャ。鞘に戻す前に魔力切れで失神したら、魔力の代わりに生命力を喰らうでござるにゃん。普通の人間だと、5分でミイラになるでござるにゃ。」


「ふむふむ。じゃあ、ニャーはどうしてそんなカタナを隠し持ってるのかな?」


「、、闇時雨は1度喰らった魔力の味を忘れないでござるニャ。また喰らいたくて付いてくるでござるニャン、、。遠くに捨てても、次の日には枕元にあるでござるにゃ。」


「あ〜、、なるほどね〜。それって、こういう事なんだね?」


ニャーと話していると、腰に違和感を感じたので目を向けた。


そこには先ほどのカタナ、、妖刀・闇時雨がスカートのベルトを通す穴に、無理矢理差し込まれていた。



「ご、ご主人!まさか、闇時雨を抜刀したでござるかニャっ!!?」


「そうだね〜。俺の魔力を喰らったから、あの斬れ味だった訳か。納得だよ。」


「よほど闇時雨に気に入られたでござるにゃん。普通なら死ぬまで離れないでござるにゃ。」


「ふむふむ。まぁ、抜かなきゃ問題ないんでしょ?」


「そうでござるにゃん。でも、付き纏われてると思うだけで、食欲が失せるでござるニャ〜、、。」


失せててアレなの!?50人前は食ってたよね!?



「まぁ、いざとなったら、鞘に入れたままへし折るよ。」


「フニャ〜、、拙者も色々試したでござるが、傷さえ付けられなかったでござるにゃ〜ん。」


「ま、まぁ、、ニャーはどちらかと言うと支援職だからね。」


家のお手伝いさん的な、、ね。



「ちなみに、オーに聞きたいんだけど、1000年後に闇時雨を置き去りにして戻ってきたら、どうなるかな?」


「問題なく置き去りに出来ますよっ♪」


「、、だってさ?」


「にゃふ〜っ!そうすると拙者の元に来るでござるニャ〜ン!!」


「あら?ケットシーの寿命ってどのくらいなの?」


「平均6000才でござるニャー。」


「ふむ。じゃあ、捨てる時は10000年後に捨ててくるよっ♪」


「フニャっ♪それなら安心でござるにゃんっ♡」


ニャーと約束を交わした俺であるが、捨てる前に色々試してみたいんだよね。


本気パンチでも無傷なのか?とか、煉獄の豪炎にも耐えるのか?とかね!



「まぁとにかく、これは頂いてくね!」


「フニャッ!どうぞでござるニャーっ♪」


「あ、あの〜、普通にアイテムBOXに置きっぱなしにするのはダメなんですか?」


「にゃん?拙者のにゃん術には、そんなの無いでござるニャ?」


「そ、そうでしたか。オーさん、その辺りはどうなんですか?」


「それも問題ないでしょう。僕らより強い魔力が、、つまり、リュウさんより強い魔力がないと、この世界から勝手に出るのは無理ですので。」


「なるほどです!!、、リュウさん、拉致監禁し放題みたいですよ!!!」


「い、、いや、そんな事しないよ。でもここに有ると、ニャーの所に行くだろうから、寮の部屋に持って行くしかないね。皆には触らないように言っておかなきゃなぁ。」



問題を皆の前に持って帰る事になってしまったが、今回の件、ニャーが最初から説明してくれていれば、最善の解決策を練る事ができたよなぁ、、。


と、自分の軽率な行動にも原因があるのは、言わないでおこうと、心に決めた俺なのであった、、。


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