表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/144

43話 いざ、学校へ!




今日は国立騎士学校の入学式。


相変わらずの賑やかな朝ご飯を済ませ、準備してもらっていた制服に着替えて出発の時間を待つ。



「まぁっ♡皆、よく似合ってるわ〜っ♡」


「そうかな?、、なんかスカートっていうのがイマイチ慣れないけど。」


「ニコは気に入ったっ♡ふふっ♡」


「リュウさまっ♡可愛すぎますっ♡」


「わ、私の次に似合ってるわね!?」


「早くお刺身食べたいのんっ♡」


と、制服を着ただけでも騒がしい俺たち。


白のワイシャツにワインレッドのベスト。それにワインレッド地に黒のチェック柄スカートというのが女生徒の制服で、入学式や卒業式などの行事の時は同色のベレー帽みたいなのを被る決まりらしい。


しかし、よく1日で俺(女ver.)の制服まで揃えられたね。感心するよ!


、、いや?まさか初めからコレを、、?


ま、まさかね。



「じゃあ、そろそろ行こっか!、、皆〜!行ってきまぁすっ♪」


「いってらっしゃ〜いっ」」」」」



俺・ニコ・パル・ミミー・チェリー・アンナ・バニー・シェリー・母・トラミの10人で学校裏の林に転移した。


誰かに見られると色々面倒だからね!


母とトラミは、我が子の入学式を観るために同行した。


こそこそと学校の正門に向かうのだが、凄い数の人、人、人、、。

俺たちは、林の陰から出るタイミングを計る。



「これだけいると、林から出るのもタイミングが難しいね。」


「そ、そうね。シェリー、お願いできるかしら?」


「お任せ下さいませ。」


そう言うとシェリーはフッと姿を消し、数秒後、、表通りから大声が聞こえた。



「きゃーーーーっ!!!!チカンよーーーっ!!!」


ザワザワザワザワ、、



「今よっ♪」


その叫びに合わせてスッと立ち上がった母は、何食わぬ顔で正門に向かう。


俺たちもその後に続き、林から出た。


表通りにいた人々はチカン騒ぎに釘付けで、俺たちが林から出てきたのに気づいた者はいなかった。



「ふふっ♪大成功ねっ♪リュウ、後でシェリーに何かしてあげてねっ♡」


「あ〜、やっぱりさっきの声って、シェリーだよね〜。了解だよっ♪」


シェリーのおかげで、何事もなく正門をくぐる事が出来た訳だが、ここからが問題である。


既に周囲の視線を集めまくっているのだ!!


「あれって、ローラ様よね?」とか、、

「ヤバい!!可愛すぎるっ♡」とか、、

「あ〜っ、あの御御足に踏まれたいっ♡」とか、、


とにかく目立ちまくっている。



「ね、ねぇ?ローラ様って、ナポリタン王国の第一王女様よね?」


「そ、そうだね?」


「お義母さんの名前って、確か、、。」


「そ、そうだね?ミミーの思ってるので合ってると思うけど、今はまだ騒がないでね?後でちゃんと説明するからさ?」


「わ、、分かったわ。絶対よ?」


「うん。」


ミミーにヒソヒソと話しかけられたのだが、事実を知って騒がれると、ますます注目されてしまうので、後で説明するということで何とか納得してもらった。



「それじゃあ、母さんとトラミは、先に講堂の方に行ってるわねっ♪」


「チェリー。周りの人を殺さないようにするのよ?」


と、校舎前で2人と別れた。

トラミが物騒な事を言っていたが、まぁ今さらの事なのでスルーしておこう。



「では、リュウ様方はこちらでございます。」


先導してくれるアンナの後に付いて、校舎の中へと進む。



「話しかけてこいよっ!?」

「お前が行けって!!」

「あぁ〜っ女神様〜っ♡」


などなど、教室に向かう途中も注目の的であった。



「ミミー様はこちらの教室でございます。」


「あっ、そうだったね。ミミーは魔法科だから、俺たちとは別教室なのかぁ。」


「ま、まぁ騎士科でも魔法実技の授業は一緒だから、またすぐ会う事になるわよっ!?」


「それもそうだねっ♪」


「リュウ様、ミミー様。陛下の(はか)らいで、寮が同室になっておりますよ?」


「そうなのっ!?」」


「はい。もちろんニコ様・パル様・チェリー様も同室でございますので、ご安心下さいませ。」


「そっかぁ!後でお爺ちゃんにもお礼言いに行かなきゃねっ!!」


「リュウ、陛下をお爺ちゃんって、、。やっぱりそうなのね?」


「ま、まぁその話はまた後でっ!ねっ!?」


「わ、分かったわよ。じゃあ、、。」


ぶすっと不満げな顔をしたミミーと別れ、隣の隣の、も一つ隣の教室に案内され、アンナ達と別れた。


どうやら、メイド達でも教室には入れないようだ。


まぁ、メイドを連れてきてるのは俺だけじゃないから、メイド達まで教室に入ってきたら、教室が溢れかえるもんね。



教室に入った俺たち4人は、前の黒板に書かれた席を探す。


席順は五十音順で、女:男 といった列が縦に3列、横に8列あり、1クラス24人のようだ。


俺たちは縦に、チェリー・ニコちゃん・パルちゃん・俺といった席順になった。


まぁ、家名が4人ともナポリタンだから、当然だよね。


一つ気がかりなのは、俺の隣の男の名前だ。


リチャード・ナポリタン、、。


多分、母さんの弟であるメルザン王子の子なんだろうけど、まさかの同い年とは、、。


なんか面倒ごとに巻き込まれそうだよね、、。



「ねぇっ!君、可愛いねっ♡良かったらこの後、僕が直々に剣を教えてあげるよっ!!」


「、、あっ、俺に言ったの?」


「ははっ♪そんなに可愛いのに、自分のことを『俺』だなんて、ギャップ萌え狙いかなっ!?」


「い、、いや。そういう訳じゃないんだけど。」


「まぁいいさっ♪で、どうかなっ!?僕と仲良くなっておけば、きっと君の為になると思うよっ♡」


「あはは。なかなか面白い事を言うね。理由を聞いても?」


「だって僕の家は伯爵だからね!!平民が僕の愛玩動物になれるなんて、、


スッ、、パラパラパラ、、


「リュウ?まだ殺さないの?」


俺が変な奴に絡まれているところに、2つ前の席から鋭利な爪が伸び、変な奴の前髪を斬り落とした。


そう、ニコちゃんである。


俺としては、この変な奴の戯言(ざれごと)をもう少し聞いていたかったのだが、さすがに入学式前に流血沙汰はまずい。



「ニコちゃん。爪をしまって?、、えっと伯爵家の君。俺の名前は知ってるかな?」


「ぇ、、ぃ、ぃゃ、、。」


「俺はリュウ。リュウ・ナポリタンっていいます。オーケー?」


「ぇ、、えっ!?ナっ、ナポリタンっ!!?」


「そっ。で、王族を愛玩動物にしようと(たくら)む君の名前は?」


「すっ、すみませんでした!!ど、どうかっお許し下さいっ!!!!」


大声で謝罪の言葉を叫びながら、俺の足元で土下座する変な奴。


ザワザワと教室中が注目する。


さて、、どうしたものか。


俺の次の一手で、これからの周囲の対応が変わってくると言えるだろう。


例えば、、

「許す訳ないでしょ?はい、死刑っ♪」


と言った場合、俺に話しかけてくる同級生はいなくなるだろう。



逆に、、

「オッケーオッケーっ♪むしろ愛玩動物になろうと思ってたところだよっ♪」


と言った場合、同級生どころか学校中の男が群がってくるだろう。



う〜む、、。難しい選択だな。

いや、愛玩動物になりたいってのは例えで使っただけだからね!!



「おい、そこのお前。僕の席で何をしている?」


「リュウ様に許しを乞うているところだ!!邪魔をするなっ!!」


「ほ〜う。面白い。僕にケンカを売ろうと言うのだな?」


「黙れっ!リュウ様っ、どうかお許し下さいませっ!!!」


「あ、うん。許す許す。俺がどうにかする前に、君の家は終わりを迎える事になるだろうからね。」


「えっ!?」


床に額を付けて土下座していた変な奴だったが、俺の言葉を聞いて顔を上げた。


そこには、金髪のイケメン男子がこめかみに血管を浮かび上がらせ、腕を組んでいる姿があった。



「あ、、リ、リチャード、、様。」


「ほう?僕を知っていたか。お前は確か、ジャーマン伯爵家の者だったな?」


「ひっ、、。」ガタガタガタ、、


「今死ぬか、一族ごと死ぬか、、選べ。」


スチャンッと腰の剣を抜いたリチャード。



はぁ。せっかくニコちゃんを止めたのに、このままじゃ流血沙汰じゃん!



「あ〜、、リチャード君?入学式前に流血沙汰ってのは、どうかと思うよ?」


「僕に口答えするとはいい度胸だな。名は?」


「リュウ・ナポリタンだよ。」


「リュウ、、だと?う、嘘ではないだろうな!?」


「嘘つく必要がないからね。」


「しかし、、いや、なぜ女?、、女装ではないのだな?」


「あ〜、、なるほど。誰かから俺の話は聞いていたのね?残念ながら正真正銘、超絶可愛い女の子だよっ♡」パチッ♡


「ブハッ!!!」」」」」ボタボタボタ、、



俺が上目遣いウィンクすると、教室中の男子が鼻血を噴き出しながら前屈みになった。

もちろんリチャード君も。あ、女生徒も。



「ま、まぁいい。リュウの顔に免じて、今回は許してやるとしよう。自分の席に戻れ。」ボタボタボタ、、


「あ、ありがたき幸せ!!リュウ様、本当にすみませんでした!!あと、、ご馳走さまでしたっ♡」ボタボタボタ、、



と、丸く(おさま)った訳だが、ある意味、流血沙汰に発展してしまったな。

今度から気をつけるとしよう、、。



ガラガラガラ、、

「え〜、、この1-Aの担任の〜、、って!なんで皆して鼻血出してるんだ!?流行ってんのか!?」


騒動が治まり、5分ほど経ったところで、担任の女教師が入ってきた。

、、が、俺たち4人以外が鼻にティッシュを詰めていたので、自己紹介が止まってしまった。


なんか申し訳ない。



「と、とりあえず、入学式前に保健室に寄って行くからな。で、、私がお前たちの担任、コウメだ。ウメちゃんとでも呼んでくれ。」


コウメ先生、、通称ウメちゃんは、この学校について簡単に説明してくれた。


この学校の生徒である限り、平民・貴族・王族など、身分は一切関係なく全生徒を平等に扱うと。


それは生徒同士も同様で、身分によるいじめや差別は徹底的に排除すると。


つい先ほど発生した事例も、これにあたると思うが、まぁ説明を受ける前だったのでノーカンだろう。



「、、と、まぁ今はこれくらいでいいか。この後入学式をしたら、今日は終わりだ。授業は明日からだから、自前の武器を忘れるなよ〜?」


「、、、。」」」」」


「返事は〜っ?」


「はぁいっ!」」」」」


「よろしいっ♪んじゃ、保健室経由で講堂へしゅっぱ〜っつ!」



皆でぞろぞろと教室を出ていく。


廊下で待機していたアンナ達だったが、3人とも鼻にティッシュを詰めていた。


もしかして、見えてた?

いや、、まさか、ね?


メイド3人組の理解不能鼻ティッシュに、妙な胸騒ぎを覚えた俺なのであった、、。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ