21話 クエストを始めよう
「じゃあ、お風呂に入ってくるね!」
俺はニコちゃんをお姫様抱っこし、パルちゃん・ルルちゃん・シールちゃんは俺の後に続く。
「今日は母さんも一緒に入ろうかしらっ♪ミミーちゃんも一緒に入るわよねっ?」
「えっ!?でっ、でも、リュウと一緒に入るなんて恥ずかしいっていうか、、。」
「あら?去年は一緒に入ってたじゃない?」
「そ、それはそうですけど、、。」
「じゃ、一緒に入りましょっ♪」
母は半ば強引に、ミミーの手を引きお風呂場へと連れて行く。
「えっ!?なんか、前に見た時と違いますよ?」
「ふふふっ♪リフォームしたのよ〜っ♪」
「母さん。リフォームって枠を超えちゃってると思うよ?」
「リュウっ♡早く早くっ♡」
「はいはい、今行くよ〜っ♪、、じゃ、先入ってるよ?」
「ええっ♪母さん達もすぐ行くわっ♪」
俺たちは先に浴室へと進む。
「リュウってば、1人だけ男なのに気にしなさすぎじゃないですか?」
「ふふっ♪子供のうちは一緒に入るのが普通なのよっ♪ほらほらっ、ミミーちゃんも気にしないでっ♪」
「あっ、わっ、きゃっ!」
母は、脱ぐのを躊躇っているミミーの服を、パッパッパッと素早く脱がし、あっという間に生まれたままの姿に変えた。
そこでようやく、ミミーも観念して母と一緒に浴室へと足を運んだ。
「わぁっ♪凄〜いっ♪」
「ふふっ♪色んなお風呂があるから、楽しんでねっ♪」
「はいっ♪」
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いつも通りニコちゃん達を順番に洗い、まずは普通の湯船に浸かった。
「ふ〜っ!気持ち良いね〜っ♪」
「ルルは炭酸風呂に行ってくるですっ♪」
「シールはジェットバスに行くですっ♪」
「ニコはサウナに行くっ♪」
「パルは滝湯に行ってきますねっ♪」
「うんっ、いってらっしゃい。俺は露天風呂に行ってこようかなっ♪」
「し、仕方ないわねっ!私もついてってあげるわっ!!」
声の方を見ると、体を洗い終えたミミーが、これ見よがしに仁王立ちしていた。
、、ミミーさん。見せたいのは分かったけど、入学までには治そうね?
「あら、露天風呂に行くなら、母さんも一緒に行くわっ♪」
「んじゃ、露天風呂を堪能しよう!」
俺はまだ露天風呂を見てないから、どんな仕上がりになっているのか、楽しみだねっ!
3人で浴場から露天風呂へ移動する。
「おおーーっ!!!」」
そこに広がるのは、石を組み合わせて作られた洗い場に、檜の香りが心を癒す湯船。
そして、、圧倒的解放感っ!!
、、これ、外から丸見えですよね?
「ふふっ♪どう?気に入ったかしら?」
「か、母さん?塀が無いように見えるんだけど、気のせいかな?」
「大丈夫よっ♪幻視結界を展開してるから、外からは家の外壁にしか見えないわっ♪」
「なるほど。幻視結界、、ね。」
また一つ試してみたい事ができたな!
明日の練習でやってみるとしよう。
「これは凄いわっ!!凄く気持ちいいっ♪」
と、ミミーは外に向かって仁王立ちをしている。
、、ミミーさん。入学までに、、(以下略
「はぁ〜、、。この熱めのお湯と肌寒い気温差のギャップが良いね〜。ふ〜、、。」
「リュウったら、お爺さんみたいよ?」
「いや〜。露天風呂の魅力を伝えたくってね?」
「そんなに気に入ったなら、学校の寮にも作っちゃおうかしら?」
「それは良いアイディアだね!でも、女湯を覗こうとするバカが出てくるから、それはダメだね〜。」
「ふふっ、それもそうねっ♪」
「うん。、、ミミー?そろそろお湯に浸かりなね?風邪ひくよ?」
「え、ええ。分かったわ。、、そうよね。明日も入ればいいのよねっ!」
「ミミー、、。頑張って治そうな?」
「えっ?、、あっ!べっ、別に見せたい訳じゃないわよっ!?ただ、風が当たってスースーして気持ち良かっただけなんだからね!?」
「そ、、そか。あっ、そういえば、いつの間にかシェリーが居なくなってるんだけど、どこか行ったの?」
「シェリーなら、さっき母さんが王都まで送ってきたわよ?連れて行くメイドや家庭教師を、登録しなきゃいけないからね!」
「なるほど!俺はてっきり、シェリーの事を忘れてたけど、ここまできて書き直すのが面倒なだけかと思ったよ!!」
「えっと?リュウが何を言ってるか分からないのだけど、ちゃんと手続きはしないとダメだからねっ♪」
「お義母さん。平民がメイドや家庭教師を連れて行くなんて、聞いた事ないですよ?変に目立った事をすると、貴族連中に目をつけられちゃいますよ。」
「ふふふっ、大丈夫よっ♪リュウを虐めようとしたら、母さんがそいつの家を潰してあげるわっ♪」
「そ、、そうですか。」
ミミーは冗談だと受け取ったようだが、多分本気ですよね?
だって、目が笑ってないもん!!ガクブルッ
俺はお風呂に浸かっているにもかかわらず、体を震わせるのであった。
「さて、、と。のぼせてきたから、先にあがるね!」
「ええ。母さんもあがるわ。ミミーちゃんはまだ入ってる?」
「あっ、私はもう少し入ってます♡」
「分かったわっ♪のぼせないようにねっ?」
「はぁいっ♪」
先に湯船からあがり、浴場に向かったのだが、一つ気になる事があったので、チラッとミミーの方を見てみた。
ああ、、やっぱりな。
ミミーは外に向かって仁王立ちしていた。
、、風邪ひくなよ?
脱衣所に入ると、ニコちゃん達は浴衣姿でマッサージチェアを楽しんでいた。
「ああああああ、、。」
というように、振動で震える声に喜びを覚えたようだ。
それにしても、浴衣なんてうちにあったっけ?
「あら、浴衣が気になるのかしら?」
「あ、うん。いつ買ったの?」
「あれはニコちゃん達が自分で作ったのよっ♪」
「そうなのっ!?凄く良く出来てるねっ♪」
「皆、頑張って作ったからね。後で褒めてあげなさいよ?」
「うんっ、もちろんだよっ!」
皆でリビングに戻り、明日の予定を話し合ってみる。
「さて!明日なんだけど、ちょこっと遠出をしようかなって思ってます。景色の良い所でお弁当を食べたりするのも、たまには良いかなって。」
「うんっ♡ニコは山に行きたいっ♪」
「パルも山に行きたいですっ♪」
「ルルもですっ♪」シールもですっ♪」
「ふむふむ。母さんはどう?山で良いかな?」
「ええっ♪ただ、近くの山となると、ミニマウンテンになるわよ?標高320mだから、すぐ山頂に着いちゃうわ。」
「まぁ、ピクニック気分を味わえれば、全然オッケーだよ!それにミニマウンテンなら、誰もいないだろうし。」
「そうね〜。あの山に登るのなんて、犯罪者くらいだものね。」
「うん!じゃ、明日の行き先はミニマウンテンに決まりね!」
「ミミーには聞かないの?」
「ああ、ミミーは魔法の練習が出来れば、どこでも良いんだよ。だから、ミニマウンテンでオッケー♪明日はニコちゃんも、魔法の練習する?」
「うんっ♡ニコも色々やってみるっ♪」
「だねっ♪あっ、ミミー。明日は皆で、ミニマウンテンに行こうかなって。良い?」
「ミニマウンテンね?分かったわ。明日は何の魔法を練習しようかしらっ♪」
お風呂から戻ってきたミミーに、明日の行き先を伝えてみると、思った通り魔法の練習が出来ればどこでも良いみたいだった。
「じゃあ、明日は早いから、そろそろ寝るとしますか。ミミーはどこで寝る?外?」
「何で外なのよっ!?わ、私もリュウと寝てあげても、、やっ、やっぱりお義母さんと寝るわっ!?おやすみっ!」
ミミーは顔を真っ赤にしながら、タタタッとリビングを出て行った。
やはり風邪ひいて熱あるんじゃないかな?
明日までに治れば良いんだが、、。
「ふふっ♪明日はリュウの部屋で寝かせてあげなさいね?」
「う、うん。」
「ふふふっ♪おやすみなさい。」
「おやすみ〜。」
ミミーに続いて、母とルルとシールもリビングを出て行く。
「それじゃ、俺たちも寝よっ♪」
「うんっ♡」はいっ♡」
俺達も2階の部屋へと移動し、ベッドに川の字で寝転がる。
「リュウさま。ミミーには母さまの話はしないのですか?」
「ん?、、ああ、王族だって事?」
「はい。学校に行くようになったら、いずれバレてしまうと思います。後でバレるよりも、リュウさまの口から聞いた方が、ショックは小さいかと思いますよ?」
「う〜ん。確かにそうなんだよね〜。まぁ、次にそれっぽい話になったら、言ってみるよ。」
「はいっ♪」
「それじゃあ2人とも!おやすみなさ〜いっ♪」
「おやすみ〜っ♡ん〜っ?」
「おやすみなさいっ♡ん〜っ?」
2人は目を閉じて顔を俺の方に向ける。
いわゆるキス待ちというやつだ。
俺はニコちゃんとパルちゃんに、おやすみのチューをした。
そして、3人揃って就寝、、。
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、、と見せかけて、俺は寝たフリ。
明日に備えて、やる事があるのです!
俺は2人を起こさないよう、そろ〜〜っとベッドから降り、月下美人とクラウ・ソラスを装備した。
さて、行きますかっ!!
と、俺は家から北へ徒歩40分に位置する、ミニマウンテンの麓へと転移してきた。
明日に備えて、やっておかなければならない事。それは、危険物の除去だ。
母さんが余計なフラグを立ててくれたから、恐らく遭遇する事になるだろう。
絶対防御壁を展開しているから、問題はないのだが、その慢心が仇となるかもしれない。
永続だと思っていたら、遭遇時にたまたま効果が切れちゃったり、、とかね。
だから、安全・安心なピクニックにする為、前もって討伐してしまおうという訳なのだ!
犯罪者もそうだけど、ミニマウンテンは人の出入りがほとんどないから、魔物もそれなりに増えてしまっている。
それも間引きしておこうと思います!
「よし、行くかっ!」
俺は1人、『夜な夜な討伐クエスト』を始めるのであった、、。




