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19話 魔力切れ




さぁ、どうだっ!!?



ステーキ肉は、表面に薄っすらと焼き色をつけただけに留まった。


ふむふむ。魔力不足の場合は、イメージした完成形に至る手前で、調理を止めた感じになるようだね。

この肉をビーフカツにしようとイメージして、全然魔力が足りてなかったら、パン粉をまぶしただけで止まる、、といった感じなのだろう。



「ありがとっ!やっぱり調理魔法は、微細な魔力コントロールが必要になってくるみたいだね。」


「そうみたいね〜。母さんも魔力コントロールの練習を頑張ることにするわっ!!」


「うんっ♪他に何か、すぐ使いたい魔法はある?」


「後はそうね〜、、。洗濯が楽になってくれると、嬉しいわね!」


「洗濯かぁ。それなら、アレが良いかなっ♪」


俺は、ミミーを洗濯した、スーパージェット水流の温水球をプレゼンしてみる事にした。



「これは魔力過多でも、水流が激しくなるだけだから、服がボロボロになるだけの被害で済むねっ♪」


「これは良いわっ♪」


「でしょっ!?30秒で醤油のシミから油汚れまで、キレイさっぱり落とせるからねっ!」


「でも、魔力不足だと発動しないのよね?」


「う〜ん。イメージする水流を弱目にして、魔力過多で水流の強弱をつければ良いんじゃないかな?」


「それなら母さんでも、すぐに使えるわねっ♪やってみるわねっ♪」


「うん!じゃ、ミミーの方も見てくるから、練習しててね?」


「はぁいっ♪」


洗濯魔法の練習を始めた母。


俺はミミーの元へ。



「ミミー。調子はどう?」


「ええっ、なかなか良い感じだと思うわっ!!」


「ふむふむ。じゃあ見せてくれるかな?」


「分かったわっ!いくわよーっ!?」


スッ、、スッ、、スッ、、スッ、、



「おおーっ♪かなりスムーズに出来るようになったね!!」


「ええっ!でも、今のはまだ序の口よっ!?いくわっ!!」


スッ、、、スッ



「えっ!?もしかして、ミミーの部屋まで行ってきたの!?」


「ふふっ、その通りよっ♪」


戻ってきたミミーは、行ってきた証拠として、枕を手にしていた。


まさかこの短時間で、約500mの転移をものにするとは、、。

魔法の才能に関して言えば、王国魔術師団に即入隊出来るレベルだと思うぞ!



「凄い凄いっ♪これだけ出来れば、ある程度の魔法なら使えると思うから、リルファイアくらいの小火から順に使ってみよっ!」


「分かったわ!」


そう言うとミミーは、3m先に焚き火程の火をつけ、それを消し、続けて1m程の炎をつける。さらに続けて、俺に見せたキャンプファイアーを使った。


ここがミミーの覚えている魔法の、最大火力だったわけで、ここから先は未知の領域となる。


ミミー自身もそれが分かっているからか、少し間を空け、意を決して未知の領域へと踏み出した。



そこに現れたのは、木造二階建て住宅があっという間に全焼するほどの、猛々しい炎柱であった。


恐らく、火属性の上級魔法に位置する、インフェルノと同等の威力だと思われる。



「はぁっ、はぁっ、、ど、どうだったかしら?」


「凄かったよ!!上級魔法レベルの威力だったもんね!!6歳でこれだけの魔法が使えるのなんて、ミミーくらいだよっ!!」


「ふ、ふふっ♪私の目の前に、もっともっと凄い6歳が居る気がするわ?」


「い、いや、、まぁ俺以外ではミミーしかいないと思うよっ!」


「ありがとっ♡少し疲れ、ちゃっ、、たわ、、。」バタッ、、


ミミーは意識を失い、その場に倒れ込んだ。

これが魔力切れによる失神なのだろう。


俺はミミーを抱きかかえ、母の部屋に転移させた。


どうやら空間転移は、本人以外だけでも転移させられるようだ。

まぁ、魔法陣を使った転移も、複数人の魔術師が一緒に転移するわけじゃなく、魔法陣の中にいる者だけを送るのだから、出来て当然か。


、、ミミーで実験した訳じゃないんだからねっ!?



「母さん。洗濯魔法はマスターしたみたいだね!」


「ふふっ♪明日からの洗濯が楽しみだわっ♪」


「洗濯の次は何かある?」


「そうね〜。後は掃除かしらね〜。」


「ふ〜む、、掃除かぁ。確かに、家全体が一瞬でキレイになれば、めちゃくちゃ楽になるよね。」


「ふふっ、無理そうなら別にいいわよ?」


「いや。方法ならあるんだけど、母さんの魔力で足りるか分からないって感じなんだ。掃除するたびに失神してたら、倒れて危ないし、余計に時間もかかるだろうし、、。」


「母さんの心配をしてくれるのねっ♡じゃあ、1度だけ試してみて、失神しちゃうようなら諦めるわっ♪今ならリュウが一緒だから、失神しても安心でしょ?」


「そうだね。じゃあ、試してみよう!使う魔法は、時間逆行魔法だよ!」


「えっ?そ、それは母さんも失神しちゃいそうな予感がするわ〜、、。」


「だよね。でも、範囲を限定、、例えばリビングだけに使うとかにすれば、消費魔力も少なくなるから、とりあえず試してみよう!」


「そうね。じゃあ、部屋ごとに使っていって、どこまで使えるか試してみるわねっ!」


「うん!それで、時間逆行のイメージの仕方なんだけど、今回の目的は掃除だから、少し変わってくるんだ。」


「というと?」


「えっと、俺が使ってる時間逆行は、物質・生物問わず、全てのものが対象にできて、そのものを構成する分子が、元の姿に戻るまでをイメージしてるんだよ。」


「なるほどね。初めにリュウが、再生って言葉を使ってたのは、イメージの仕方からとったのね?」


「そう。だけど掃除に使うとなると、溜まった(ほこり)とかを消すってイメージだから、少し違ってくるんだよね。」


「そうなるわね〜。なら、時間逆行魔法じゃなくて、『リセット』に改名すれば良いんじゃないかしら?」


「あっ、それ良いねっ!!リセット魔法っ!!うんっ、ぴったりだよっ!!」


「ふふっ♪じゃあ、リビングをリセットしてみるわね?」


「うん!」


母は新築時のリビングをイメージし、リセットを行った。



「ふぅ、、。リビングだけなら、まだ大丈夫そうね。」


「じゃあ続けて、キッチン・お風呂・各部屋・廊下・玄関・屋根・外壁・庭の順でやってみよっか♪」


「ええっ!」


と、俺の言った順にリセット魔法を繰り返す母であったが、屋根をリセットしたところで失神した。


まぁ、リセット魔法を使う前に、転移やら洗濯魔法やらで魔力を使いまくっていたんだから、しょうがないと思われる。


それがなければ、家全体の掃除も可能だろう。

後で教えてあげるとしよう。



俺は母を部屋へと転移で送り、ここからは自分の練習に入る。


魔力遮断フィールドは問題なく使えたから、次は防護フィールドを使ってみるとしよう。


イメージするのは、どんな衝撃も跳ね返して対象を護り抜く、目には見えない光の壁。


、、いや、待てよ?


これだと物理的な攻撃しか跳ね返せないからな。


これに魔力遮断フィールドの効果も合わせてしまえばいいのか。



と、俺はイメージし直す。


どんな物理攻撃も、どんな攻撃魔法も、、全ての攻撃を跳ね返す、目には見えない光の障壁。


対象を永続的に護り続ける、最強の壁。


俺は魔力を極限まで高め、試しに自分を対象として発動してみた。



「ふむ。体感的には変化なしって感じだなぁ。どうやって試せば良いかね〜。」


効果を体感するために、何か良いアイディアはないかと考えてみる。


あっ!良い方法を思いついたぞ!!



俺は自分の部屋に転移し、月下美人を手に庭へと戻ってきた。


そう。良い方法とは、斬れ味抜群の月下美人で、自分を攻撃してみるというものだ。


失敗したらめちゃくちゃ痛いだろうが、その時はリセット魔法を自分にかければ問題なし!


その痛みがトラウマになって、戦うのが怖くなってしまうかもしれないが、その時は勇者を諦めて料理人になるとしよう。



「よ、、よし。いくぞっ!!」


左腕に狙いを定め、月下美人を振り抜く!!!



ガキンッ!!!



「うぉっ!!!」



振り抜いた右腕は、その勢いを反対方向に向けられ、大きく弾かれた。

これにより態勢を崩して倒れ込んでしまったのだが、斬りつけた左腕には無傷であった。



「は、、ははっ!これは凄い!!聖剣ですら跳ね返すとかっ!!皆にもかけておくべきだね!!」


空間転移が成功した時のように、大興奮の俺は、リビングに転移した。



「では、ニコ様。この物理法則を用いた場合、力点にかかる重量をお答えください。」


「それだと作用点にかかる割合が30%だから、、7.4kgっ!」


「はい、正解でございます。」


「やったっ♪」


何やら難しい話をしているようだが、少しばかりお邪魔させて頂くとしよう。



「皆、ちょっと良いかな?今から皆に、魔法をかけようと思いますっ!」


「リュウはやっぱり凄いっ♡ニコが守るつもりだったのになっ♡」


「まぁ、妻を守るのは夫の役目だからねっ♡」


「リュウ様。今なんとおっしゃいました?妻、、ですか?」


「あ〜、シェリーはまだ知らなかったか。実は昨日、ニコちゃんと結婚したんだ。一応、お爺ちゃん公認でね。」


「国王陛下が認めたとなると、何も言えませんね。計画を練り直す必要がありますね、、。」


「計画?」


「ええ。私の計画では、専属家庭教師になって仲良くなり、ゆくゆくは愛しのリュウ様と、、。いえ、何でもありません!!」


「そ、、そか。まぁとにかく!今から使う魔法は、きっと皆を守ってくれると思う。その名も、、えっと、絶対防御壁!」


「凄そうな魔法ですねっ♡さすがはリュウさまですっ♡」


「パルちゃん、ありがとねっ♡効果としては、どんな攻撃も跳ね返すって感じなんだけど、まだ物理攻撃しか試してないから、まだ無茶はしないようにね!」


俺はこの場にいる、ニコちゃん・パルちゃん・ルル・シール・シェリーを対象に、絶対防御壁を展開した。



「あっ、それと!一応永続的にかかってるはずだけど、その辺はまだ確証がないから、朝起きたら腕にシッペでもしてみてね?」


と言った途端に、皆が自分の腕にシッペをし始めた。



「わぁっ♪弾き返されましたですっ♪」ルル

「きゃっ!跳ね返されたです〜っ♪」シール

「ひゃあっ♡凄い凄いっ♡面白〜いっ♡」ニコ

「わゎっ♪リュウさまっ、凄いですっ♡」パル

「わっ!!これは凄いですね!!」シェリー


皆、何度もシッペを繰り返し、跳ね返されるたびに喜びの感想を口にする。



「ふぅ、、。この魔法は、さすがに魔力消費が大きいみたいだね。残りの皆は、、また、後で、、。」バタッ


俺は魔力切れで失神してしまった。



初めての魔力切れ失神ではあるが、意外と心地良い気分だな、、と、何かに目覚めてしまいそうな俺なのであった、、。



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