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16話 ミミーの癖




家の庭に転移で帰ってきた俺は、ちゃんと冷凍魚の山が届いているのを確認した。


家に入り、母を連れて庭に戻ってきた。



「リ、リュウ?こんなに買ってきたの?」


「いや〜、色々あってね?あっ、お金は使わなかったから返すね!」


「お金は使わなかったって、どういう事よ?この量よ!?100万GLDでも足りないわよっ!!?」


「ですよね〜、、。まぁちゃんと説明するから、まずはこの魚達を運ぶね。どこに運べば良いかな?」


「わ、分かったわ。じゃあ、地下の冷凍庫に運ぶわ。2人じゃ何時間かかるか分からないわね、、。ニコちゃん達にも手伝っても、、ら、、リュウ?今のは何かしら!?」


「ちゃんと説明するって。だけどあまり人には知られたくないから、家の中でね?でも、その前に冷凍庫を見てからにしよう。」


「そ、そうね。」


俺は母とキッチンから階段を降りて、地下の冷凍庫にきてみた。



「よし、ちゃんと送れてたね!」


「本当に送れてるわ、、。早く説明してちょうだい!」


「ま、まぁ冷凍庫の中で説明するのは辛いから、リビングで話すよ。」


と、リビングに戻ってきたわけだが、ニコちゃん達が見当たらないのに気づいた。



「ニコちゃん達は何してるの?」


「今は母さんの部屋で、裁縫の練習をしてるわ。女の子なんですもの、裁縫くらい出来なきゃねっ♪」


「確かにね!それで、さっきのは見てたから分かると思うんだけど、物質転移魔法だよ。」


「物質転移の魔法なんて聞いたことないわよ!?それに、詠唱だってしてなかったじゃない!!」


「えっと、これは人類の常識を、根本から否定する事実なんだけどね?魔法を使うのに、わざわざ長ったらしい詠唱なんて必要なかったんだ。魔法名もね。」


「、、どういう事?」


「そうだなぁ、、。あっ、じゃあこのコップに水を注いでくれる?」


「分かったわ。、、水の精霊よ。我が魔力を糧とし、その力を発現せよ。ウォータ!」


母が詠唱と魔法名を口にし、指先をコップに向けると、何もないコップの上から水が現れ、コップを水で満たした。



「今のが人間の常識でしょ?これが非常識。、、え〜っと、水〜っ!」


俺はもう1つのコップに水を注いで見せた。


現象としては母の魔法と全く同じだ。まぁ、母の使ったウォータをイメージしたんだから、同じじゃなかったら困るんだが、、。



「、、全ての魔法がそうだと言うの?」


「うん。で、俺が勝手に無詠唱魔法って名付けたんだけど、無詠唱魔法を応用すると、こういう事だってできるんだ。」



ススッ、、



「こ、ここって、、。」


「うん。去年の夏に来た島だよ。さっきの魚は、ここで釣って、物質転移で庭に送ったんだ。とりあえず戻るね?」



ススッ



「今のは空間転移魔法。まぁ、空間転移は魔法陣使ってなら存在してるから、そこまで驚かないと思うけどね。」


「、、リュウ。あなた、自分がどれだけ凄いことをしてるのか分かってないみたいね。その無詠唱魔法の原理は知らないけど、魔術師団長にだって勝てると思うわ。」


「いやいや、さすがにそれは無理だよ?」


「リュウ、本当は?」


「えっ?ほ、本当だよ?」


バンッ!!!

「リュウっ!!!!」


「はい、ウソつきました。多分一瞬でナポリタン王国を無に出来ます、ごめんなさい。」


「は?魔術師団長に勝てるかどうかの話をしてたのよ?」


「あっ、そっ、そうだったね!ギリッギリ勝てるかなぁ〜?」


「、、、。」


「はい、ごめんなさい。」


「ちゃんと説明してくれるんじゃなかったのかしら?」


「そ、そうだったね。えっと、今日、ミミーが魔法の練習に使ってる所に連れてってもらって、魔力遮断フィールドの魔法が展開されてるって言うから、炎属性の魔法を使ってみたんだ。ヤバそうだったから即消したんだけど、多分アレは、発動させてたら魔力遮断フィールドなんて関係なしに、ナポリタン王国くらいなら無にしてたと思う。」


「魔力遮断フィールドを破るなんて、そんなの無理に決まってるじゃない。」


「信じられない?」


「それはそうよ!母さんだってそれなりに魔法の勉強はしたもの。」


「じゃあ、魔力遮断フィールドも使える?」


「もちろんよ。母さんの魔力じゃ、そこまで大きなのは無理だけど、この家くらいなら展開出来るわ!」


「じゃあ、試してみる?発現して即消せば、周りに被害はないからさ。まあ、ニコちゃん達もいるから、リビングにだけ展開して、母さんはキッチンから見ててくれる?」


「分かったわ。、、光の精霊よ。我が魔力と引き換えに、全ての魔法を防ぐ光の盾となれ!魔力遮断フィールド!!」


フォーンッとリビング内に魔力遮断フィールドが展開された。


これなら、無になるのは床だけだからな!



「じゃ、やるね?」


「ええ。」


母さんがキッチンに移動したの見て、俺はさっきのドラゴンをイメージする。


意識を集中し、魔力で煉獄の豪炎を形作る。


右腕を上に向け、一気に解き放つ!!!



ゴゴゴゴゴゴ、、グガアァアアァッ!!!!


頭上に再び現れた漆黒のドラゴンだが、リビングに合わせて体長5mほどであった。


しかし、体は小さくても効果に変わりは無いようだ。


俺を中心とした半径1mの外の床は消え去り、魔力遮断フィールドもビキビキと悲鳴をあげる。


俺は魔法を解除し、ドラゴンを消した。



「母さん、信じてくれたかな?多分、発動させなくても後3秒あれば魔力遮断フィールドはぶっ壊れて、ナポリタン王国は滅亡してたと思うよ。」


「、、そ、そうね。疑って悪かったわ、ごめんなさい。」


と、母は底の見えない大穴を覗きながら言った。



「このままだとリビングでくつろげないから、直しちゃうね!」


「えっ!?、、い、今のもリュウがやったのよね?」


「うん。なんでも再生(仮)だよっ♪元通りになったでしょ?」


「そ、そうね。でも、再生魔法じゃないわね。再生は小さな物でも、直るまでに時間がかかるもの。さっきの穴ともなれば、1000年はかかるわ。」


「ふむふむ。」


「『ふむふむ』じゃないわよっ!」


「えっ!?なんで!?」


「ちょっと待ってなさい!」


母は冷凍庫からサンマを持ってきて、三枚に下ろして皿に乗せて俺の前に置いた。



「さっきの魔法を使ってみなさい?」


「う、うん。」


俺はサンマの三枚下ろしになんでも再生(仮)をかけた。


次の瞬間!


皿の上で元気に跳ねるサンマが現れた。



「ほ、ほら。なんでも再生、元通り!」


「今のは再生じゃなくて、蘇生って言うのよ?まぁ蘇生も、体が三枚になってたら即死だから、蘇生も違うかしらね。なら、時間逆行魔法でどうかしら?」


「ふむふむ。確かに、時間を逆行させてる感じはあるね。それ採用っ♪」


「それにしても、色々とおかしな事になってるみたいね?」


「そうだね〜。あ、ちなみに母さんも無詠唱魔法使いたい?本気で使ったりしなければ、とっても便利だよ!」


「教えてくれるなら、母さんも使いたいわよ〜っ♪リュウが使うのを見てたら、詠唱してた自分が恥ずかしく思えるわ。」


「確かに。まぁ教えると言っても、特別な事は何もないんだ。要は、結果をイメージして、魔力でそれを形にするって感じだね。」


「結果をイメージ、、魔力で形作る、、。何となく分かった気がするわ。えっと、こうかしら。、、水ーっ!」



バシャーンッ!!!



「ちゃんと出来たね!まぁ、、ね?」


「そ、そうね。ごめんなさい。なかなか加減が難しいわね。」


リビングを水浸(みずびた)しにした母ではあったが、すぐさま無詠唱魔法を行使できたのはさすがだと思う。


俺は時間逆行魔法を使い、びしょびしょになったリビングを元通りにした。、、もちろん俺と母さんもね!



「母さんもリュウと一緒に、魔法の練習をした方が良いわよね?」


「そうだね〜。今までは、詠唱+魔法名=魔法威力っていう図式が当たり前だと思い込んでたから、詠唱と魔法名を口にすれば無意識に加減出来てたけど、無詠唱魔法だと際限なく発動しちゃうからね!」


「それを聞くと、少し怖くなってくるわね、、。」


「うん。だから、まずは失敗しても周りに被害が出にくい、転移魔法から練習すると良いかも。俺も転移魔法で、魔力コントロールって言えばいいのかな?微妙な力加減が出来る様になってきたところだもん。」


「分かったわ!これに関しては、リュウの方が大先輩なんだから、色々アドバイスしてよねっ♪」


「了解っ♪、、それじゃ、午後は魔法の練習って事で!」


「はぁいっ♪、、そろそろお昼ご飯にしましょうかっ♪リュウはニコちゃん達を呼んできてくれる?ミミーちゃんも起きてたら一緒にご飯にしましょっ♪」


「うんっ!あっ、俺はアジとカツオのお刺身が食べたいなっ♪」


「ふふっ♪分かってるわよっ♪」


母はキッチンへ向かい、お昼ご飯の支度を始めた。とはいっても、ニコちゃん達用のトンカツは揚げるだけの状態だから、揚げながら魚料理をするって感じだ。



俺は母の部屋の前まできて、ちゃんとドアをノックして、反応を待つ。

よくあるラッキースケベという現象を、未然に回避するためだ。



コンコンコン、、

「リュウだけど、入っていーい?」


「どうぞ〜っ♡」


ニコちゃんの可愛らしい声が聞こえてきたので、俺はドアを開く。



「、、なんでニコちゃん達はパンツ一丁なのかな!?ミミーも。」


「ふふっ♡リュウが好きなのはどのパンツっ?」


「えっと、、リュウさまの好みが知りたかったので。選んでいただけますか?」


「わっ、私は別に、リュウの好みなんて興味ないけど、、そ、そうっ!室内ではパンツ一丁じゃないとダメな病気なのよっ!!」


「そ、、そか。う〜ん、パンツの好みなんてよく分からないけど、ニコちゃんのオレンジ×白の(しま)パンは可愛いね。で、パルちゃんの黒レースの透けパンは、えっと、凄くセクシーだけど、学校に履いていくのはナシで。ミミーは、学校でパンツ一丁にならないように、露出癖を治して下さい。」


「可愛いって言われちゃったっ♡」

「セクシーって言われましたっ♡」

「露出狂だと思われたわ、、。」


「あっ、ルルとシールも服を着るようにしたの?」


「はいっ♪シールは、パルが人型になれたのは、人の行動を真似しようと頑張ってたからだと思うです!だからシールも人を真似するですっ♪」


「ルル的には、(あるじ)に好意を抱く事がカギになると考えるです!パルは主が好きなのを隠さずさらけ出してたから、ルルも全面的にアタックするですっ♪」


「そ、、そか。とりあえず、お昼ご飯だから、ちゃんと服を着てきなね?特にミミー、露出癖を治すには、苦しくても我慢する事が大切なんだからね!」



ニコちゃん達に服を着てから来るように伝え、先にリビングへと向かった。


しかし、まさかミミーに露出癖があったなんて知らなかったな。


まぁ、人の癖にとやかく言うのもどうかと思うが、さすがに学校内をパンイチで歩き回っていたら、停学くらいはくらうだろう。


辛くても、頑張って治そうぜ?俺も協力するからなっ!?


と、心に決めた俺であった、、。



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