冒険者
「とりあえず、街に向かいましょう。その甲羅を持って……無くなってるんですけど……」
「ああ、俺がしまった」
「そうなんですか……もうなんか、驚かなくなってきましたよ……」
ラナがため息をついている。
「あー、それでは街に向かってくれるか?」
「わかりました……はぁ……」
疲れた様子のラナと、街に向かう。しばらく歩くと大きな壁が見えてきた。『鷹目』で確認すると、何人か衛兵がいるのが見えた。
「あそこです。通行料が少しかかりますけど、今回だけ私が負担します」
「ありがとう。あー、通行料はいくらくらいなのだ?」
「一律100ノルです。大体ですけど、50ノルで一食食べられて、500ノルで一泊食事付きの宿に泊まれます」
通貨の単位や値段の相場まで教えてくれた。
「ちなみに、その甲羅は多分1万ノルを超えますね」
「そんなに!?」
「ええ。あの魔物はかなり強いです。だから、それくらい当然です」
「そうなのか……」
そうこう話しているうちに、壁の前に着いた。ラナが200ノルを支払ってくれたので、壁の内側に入ることができた。
中には活気のある街が広がっていた。
「こっちです」
ラナに連れられ歩いていくと、比較的大きな建物の前に着いた。
「ここが冒険者ギルドです。早速ですけど、冒険者になっちゃって下さい」
そう促され、中に入る。『冒険者になりたい方はこちら』と書かれている方向に向かって歩いていくと、カウンターに着いた。
「冒険者になりたいんだが……」
「わかりました。では、こちらに手をかざして下さい」
受付嬢が差し出してきた水晶板に手をかざす。軽く水晶板が光ると、何やら文字がでできた。一応日本語なので読める。
「えー、クス マトリさんでよろしいですか?」
「はい」
「では、試験を行います。ついてきて下さい」
受付嬢について歩いていくと、開けた場所に出た。何人か冒険者らしい人たちがいる。
「彼らと戦って下さい。制限時間内に彼らを倒すか、彼らが合格と言えば、冒険者になれます」
「分かった」
「では、始めます。……開始!」
合図と同時に、冒険者の一人に向かって拳を放つ。反応できずに崩れ落ちた。ちなみに、『パワー増強』『速度上昇』『掛ける2』を使用している。そのまま振り返りざまに、切りかかってきた一人を殴り倒し、回し蹴りで最後の一人を倒した。
「終了です。マトリさん、冒険者として頑張って下さいね」
「ああ、ありがとう」
そう言って俺は、カウンターの方に戻った。いつのまにかさっきの受付嬢が前に回り込んでいた。
「冒険者の証明になる、プレートです。紛失したら、再度冒険者の登録をやり直す必要がありますので、気をつけて」
「承知した。ありがとう」
こうして俺は、晴れて冒険者になった。
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