異世界転移!
前回までのあらすじ
VRゲーム『ヴァルハラの園』を、サーバーダウンまでプレイしていた真鳥。ゲームはついにサーバーダウンを迎える……が、いきなり真鳥は昼間の草原に立っていた。
周辺が、とても明るい草原に変わっていた。
「……え?」
思考停止を起こしてしまったため、俺は間抜けな声を出してしまう。頬をつねろうとして、硬いものに顔が覆われているのに気付いた。
川を見つければ、水面で反射した自分の顔を見れるのではないかと思い、川を探す。幸い直ぐ近くに小川が流れていた。
水面を覗き込む。ゲームで見慣れた、嘲笑うような仮面が見えた。
「オ・マ・エ・カ……」
頰が引き攣っている気がする。体を見ると、肘までの長さのゆったり系コートに、ゆったり系ズボンを履いていた。『ヴァルハラの園』で使っていたキャラクターそのものの格好だった。
「あれか、な○うとかで読んだことがある、異世界転移ってやつか……」
もし異世界転移なら、まずゲームで使えた力が使えるかを確かめたほうがいいだろう。
(スキル『空気押し出し』)
ブォン!
ゲームでよく使っていた攻撃の、弱化を放つ。かなり強い風が起きたのがわかる。手をむけた方向の草が一斉に倒れた。小枝も吹き飛んだようだ。
(それじゃ、アレも使えるかな)
次のスキルのチェックに入る。
(スキル『飛行』)
体がふわりと浮き、足が地面から離れた。
「ウォォォォ!」
現実世界で飛んだことに興奮して叫んでしまう。5メートルほど上昇し、地平線を望む。所々森のような場所が見えた。
「最後はこれかな」
(スキル『飛行』解除。スキル『空気押し出し』『バネ化』『パワー増強』『掛ける2』)
空気を押し出す力に加え、押し出すときに全身をバネ化して押し出す勢いを強くし、そしてパワー1.5倍を二回掛ける。これで、多少地面を削れるはずだ。
ドゴォッ!!
風圧で地面を抉り、土と草が吹き飛ばされる。予想より広い範囲が吹き飛んだ。
「合わせ技は使えるか……じゃあ、多分大丈夫だ!」
そう言って俺は『飛行』を使い、空を駆け上がった。
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『久須 真鳥』を、「名前 苗字」と読むと『真鳥 久須』→「マトリックス」となります(笑)。




