出会い
「おい!佐藤あんたいつまで寝るつもり?いい加減起きないと手が飛んでくるかもよ?」
先生は静かに怒りをあらわにする。
「別に人に迷惑かけてるわけじゃないですし、ほっといてくれませんか?いい加減しつこいですよ!そんなんだから彼氏の一人もで...ぶふっ!」
俺は嫌味を言おうとしたが最後まで言い切れなかった。そして溝内が痛い。
「君、後で職員し...」
「あの沼川先生、そこの男子私に任せてもらっていいですか?」
先生が俺に何か宣告してこようとした瞬間その宣告を遮らんとする女の声が右後ろの席から聞こえる。
「おっ!仕事のできる委員長任せたよ!」
先生は面倒を押し付けるようなの言い草でそう言った。
「ありがとうございます」
「ちょっとそこの男子廊下に出なさい!」
彼女は殴るようにそう言いながら俺を力強く指差した後、後ろの扉を無駄に音を立て開閉し教室を後にした。
教室の人間は俺を含めて一斉に彼女の方を二度見する。
学年1の美女が殴るような言葉を口にした後あんなにも怒りをあらわにしたのだ。リアクションとしては当然だった。
俺はめんどくさいと思ったが、さすがにあの怒り用を見てしまうと足が勝手に動いてしまった。
そして彼女とは対極の方法で教室を後し廊下に出た。
「真面井さんなんだよそんな怒って、俺が何かお前に迷惑でもかけたか?」
俺はビビっていることを気づかれまいと少し強めの口調で彼女に問う。
「そんなことどうでもいいから放課後生徒指導室に来なさい」
カツアゲでもするのかというような口振りでそう言い放った彼女。
「行くわけ...」
そう言いかけた俺の手にいきなり柔らかい何かが触れ、俺は言葉を詰まらせると同時に赤面した。
「来ないなんて言ったらあなた明日どうなるかわかってるわよね?いや、明日ばらすとしてあさってから学校来れないんじゃないかなー?」
「わかった行くから」
俺は投げやりにそう言った。
「よろしい。じゃあ放課後ねっ!」
彼女はウインクをしながらそう言い教室へと戻る。少し恐怖を感じるウインクだった。
「はー」
自然とため息が出てしまう。
俺は頭を抱えながら教室へと戻る。
「沼川先生すみません時間をとらせてしまって、でもこれで彼は更生したと思いますよ」
教室に入ってくる最中の俺の行動を制御するかのような目で俺を睨みながらそう言った彼女は静かに着席する。
「すみません。もうしません。すべて俺が悪かった。どうか許してください。」
誰かに言わされているようなトーンでそう言い浅めに頭を下げ、先生に謝る。
「お、おう。次はないと思えよ」
先生は俺が誤ってきたことに少しびっくりしたようだった。
自分の席へと向かっている最中に何か強い視線を感じた俺はそちらを見ると真面井さんが信じられないほどニコニコしてこちらを見ていた。
少し怖いくらいだったがあんなことをばらされるぐらいなら生徒指導室に行く方がいいと決意を決めた俺は席に着く。
そして放課後が訪れた。
右後ろの真面井さんの席を見てみるとそこに彼女の姿はなかった。
掃除に行ったのかと思った当番表に彼女の名前はなかった。
俺は慌てて支度をし、一つ上の階の生徒指導室へと向かうべく階段へと向かった。
「おい佐藤、そんなに急いでどうした?お前ニートだろ」
いつものようそう言いにやにやした顔でこちらを見ながら絡んできた。
正直高校生に向かって言う言葉ではないが俺は絡んでくる沼川先生に対して何か親近感を感じていた。正直その理由は全くもってわからない。
馬鹿にされているのかもしれないが、俺にはそうは思えなかったのだ。
「俺に声なんてかけてないでさっさと男の一人でも見つけてきたらどうですか?もう三十路なんですし」
正直先生の相手をしている暇はなかったがなぜかそういう挑発するような返事をしてしまう。
「お前次ないって言ったの聞いてなかったかー?」
指を鳴らしながらそう言った先生
「すっ、すみませーん」「俺今あなたとつるんでる暇ないんでさよならー」
手が飛んでくる前に謝りその場を後にし、生徒指導室へと向かう。
「コンコン」
ようやくついた生徒指導室のドアをノックする。
しかし、返事がなかったので俺はドアを開ける。
「うふふ、来てくれたのね」
「あんなことされて来ないわけないだろ、面倒なことしやがって」
「何が面倒なことだったのかしら?あなたこうでもしないと来なかったでしょ」
「なぜそこまでして俺をここに呼んだ?」
「そんなの決まってるじゃない、あなたを私色に染めるのよ」