099話 ◇◆魔王会議③◆◇
「カーミラ、あぶない!」
魔王リーシャが急いで飛び出すが間に合わない——。
他の魔王達も気がつくがやはり一歩遅い。
「お前がいなくなれば1票分少なくなる。 進軍は決まりだな」
刃物を持った何者かはそう言いカーミラに刃物を刺した——。
「あれ……? 手応えがない」
刃物を持った何者かは手を見るとそこに刃物はない。
「な…何が起きた?」
刃物を持った何者かが周りをよく見ると刃物だけではなくそこにある金属が宙に浮いていた。
そう、刃物を持った何者かにいち早く気付いた俺が——スキル”磁場吸引”を発動させていたのだ。
「お前の顔を拝ませてもらうわ」
吸血鬼カーミラは刃物を持った何者かの布に手を当てた。
カーミラは布を掴む事ができたが、顔を確認する前に逃げられてしまった。
「ふぅ……。カーミラ……じゃなくて魔王リーシャ様が無事で良かった」
俺は急いで言い直して咳払いをした。
「そういえば先程カーミラと聞こえたけど。 お前はリーシャだよな?」
妖魔の魔王ゴーストが言った。
「そういえば、さっきリーシャが大声で叫んでしまったな……」
俺は心の中で呟いた。
「気のせいだと思いますよ。 そんな事より先程の者は ”お前がいなくなれば1票分少なくなる。 進軍は決まりだな” と仰っていました。 と言う事はあの刺客を送り込んだのは進軍派のどなたかではないのかしら?」
カーミラは進軍派の魔王達を睨んだ。
「おぉ、こわいこわい」
ゴブリンを統べる魔王デッカは半笑いに言う。
「むしろ、あのような事で命を落とすようではこの会議に参加するに値しないだろ」
妖魔の魔王ゴーストも続けて鼻で笑いながら言った。
「あの……すみません……。 揉め事は別のところでやっていただけますでしょうか……」
エルフのマインは弱々しい声で言った。
「いや、好きなように言わせてあげよう。 あいつら自分達が疑われている——この状況に気づいてないかもしくはただのバカだ。 相手にするだけ無駄だぞ」
アザゼルはそう言い魔王ゴースト、デッカ、ケルを睨んだ。
「そ、そんな事より話し合いをどうするかだべ」
獣人達の魔王ケルは額の冷や汗を拭きながら言った。
「ふぉっふぉっふぉ、なんだか皆さんピリピリしてますな」
「あの……龍族の長様で合っていますか?」
エルフのマインが尋ねた。
どうやら今まで見たことがないらしい。
「そうじゃな。 儂が龍族の長”黄金龍”のプロメじゃ」
「アリサ。 プロメさんってどんな龍なの?」
俺はアリサに尋ねた。
「私も分かりません。 私も”黄金龍”を直で見たことなかったので——実在してる事に驚いています」
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