097話 ◇◆魔王会議◆◇
——魔王会議当日——
「すまんな、それでは頼んだぞ……」
「はい、どうなるかは分かりませんが出来る限り頑張ります」
吸血鬼カーミラはピシッと服装を正した。
「お邪魔しました。 それでは行ってまいります」
俺たちは魔王城アモンから出て魔王会議の会場へと向かった——。
「さて……。 わしも地上に行き大聖母マリア殿と話をしないといけないのう……」
そう言い魔王アイムは地上へと出かける準備を始めた。
——魔王会議会場——
「普通地上にしないとかありえないべ」
獣人達の魔王ケルが牙をブラシで手入れしながら言った。
「そもそも堕天使ってここに住み着いてるだけで、魔族じゃねーだろ?」
ゴブリンを統べる魔王のデッカが呆れた様子で言った。
「ふむ、俺達には発言の権利がないと?」
堕天使アザゼルがデッカを睨んだ。
「弱いものいじめはやめてやれよ。 こいつら今魔力がないらしいべ」
「ハハハ。 地上人に返り討ちにあったのは笑うよな。 災厄がきいて呆れる」
妖魔の魔王ゴーストが小バカにしたように笑った。
「ふん」
アザゼルはグッと手に力を入れ地面を思いっきり殴った。
--ビキビキッ
と音が鳴り地面に罅が入る。
「魔力がなくともお前ら如き素手で殺せるぞ?」
アザゼルはそう言うとドカッと椅子に座った。
あの戦いの後、様々な方法を試したが——堕天使アザゼルと堕天使アポリオンの魔力は回復する事は叶わなかった。
彼らもナル同様、魔力が無いなりの戦い方を模索したようだ。
「あのぅ……喧嘩はやめましょう……」
エルフの長で肩書きだけは魔王扱いのマインが弱々しい声で言った。
「あーあ、魔王リーシャにしろ、そこにいるマインにしろ。 どうしてこう女の魔王は威厳がないかね。 もっと叫ぶように声を張れよ」
デッカはまた呆れた様子で言った。
「ふっ、所詮はゴブリンだな。 叫ぶことしか能がない」
アザゼルも呆れた様子で言った。
「なんだと? てめぇ……」
「それにそこの女エルフとお前が戦ってみろ。 勝負は一瞬で決まるぞ。 言葉には気をつけるんだな……ククッ」
アザゼルは笑いながら言った。
「それより……今回魔王アモンさんの代わりに魔王リーシャ様が来るらしいのですが……」
エルフのマインがキョロキョロと周りを見る。
「お待たせしました」
代理で来た吸血鬼のカーミラが挨拶をした。
俺達は怪しまれないように、カーミラ、リーシャ、ナル以外のメンバーは変化のスキルを使って適当な魔族の姿をしている。
「ん? この魔力……気のせいか」
アザゼルは俺の方を見たが、どうやら気付いてはないようだ。
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