091話 ◇◆薬の調合◆◇
「ゴホッゴホッ」
「クロさん、なんだか咳がひどくなってませんか!?」
アリサは俺の方を見ながら心配そうに言った。
「失敗か……」
俺はそう言い——急いで収納袋に手をいれた。
すると少し経ち、おじいさんの咳は止まった。
「ん?」
よく見ると——みるみると、おじいさんの顔色が良くなっていく。
セータはおじいさんの呼吸を確かめ胸に耳を当てる。
そしてセータが目から涙を流し——。
「クロさん、おじいちゃんが……! おじいちゃんが治りました! 僕……僕やりました!」
そう言い、セータは泣きながら俺に抱きつく。
「セータ、君は凄いよ。 おじいさんが治ったのはセータが頑張ったおかげだ」
俺は先程、袋から取り出したポーションを背中に隠した。
「はい! 皆さん本当に有難う御座います!」
セータは安心したのかずっと泣いている。
「本当によかったですね……グスッ」
ミーチェも感動のあまり泣いている。
「魔王様、あの少年凄いですね。 魔族にもあの歳で薬を調合出来るのはそうそういませんよ」
「そうね、魔力がいくら高くても出来る事じゃないわ。 彼のおじいちゃんを治したいって思いが完成させたのよ」
魔王リーシャはフッと微笑み、セータの方を見ながら言った。
その後、俺は背中に隠したポーションをそっと袋の中に入れた。
ーーー
「クロさん、昨日ポーション作ってましたけど——どうするつもりだったんですか?」
アリサは尋ねた。
「もしセータが調合に失敗して薬の効果が出なかったら、ポーションをセータのおじいさんに飲ませるつもりだった。 セータの頑張りに水をさしたくはないけど一応ね」
「そういうところ、クロ様らしいですね」
フラワーは少し顔が赤くなりながら言った。
「でも、彼ーー薬を完成させましたね」
アリサはニコッと笑顔で言った。
「あぁ、今回の事はセータ自身の成長に繋がったんじゃないかな」
「そうだな。 別れ際に言ってたよ。 おじいちゃんみたいな——病人を治す薬を作れる調合師に絶対になるってね。 絶対になるからその時は、会いに来てと言われちゃったよ」
「立派な調合師になるといいですね……セータ君」
アリサは段々と小さくなるセータの家を見ながら言った。
俺もセータの家を見ながら——。
「モンスターのいる洞窟に子供1人で入ろうとしたんだ。 おじいちゃんを治すためにね。 普通は出来る事じゃない。 セータは絶対になるさ」
と俺は呟いた。
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