088話 ◇◆スライム◆◇
「穿てーー”雷槍”」
アリサが放った槍〈グングニル〉がモンスター達を一気に吹っ飛ばす。
「アリサ気合が入ってるな」
「そりゃ入りますよ! この前もクロさんと一緒に戦えると思ってましたけどフレイムのバカと一緒に戦っていたのですからね。 クロさん私は左側を蹴散らしますね」
「俺も気合入れないとな」
俺は収納袋から術書を取り出した。
ペラペラペラとページをめくり
「あった。 これだ」
「”我の魔力を形取り顕現せよ”ーー”竜剣”アドラメルク」
魔力を形取った大きな剣が具現化され俺はその剣を握りしめた。
そのまま竜剣アドラメルクを思い切り俺はーー振り下ろした。
すると、無数の斬撃が飛びモンスター達を襲った。
辛うじて躱したモンスターもいたがーー岩に弾かれた斬撃がそのまま躱したモンスターを追撃した。
「さすがクロさん。 こっちも負けてられませんね」
ーーー
--ピチャピチャ
何か足音ではない何かが近づいて来ている。
「ミーチェこれは何の音かしら? 笛?」
「え? 今は私吹いてませんよ?」
「じゃあこの音は……?」
ピチャピチャと水の様な音が徐々に近づいて来ている。
「私、様子を見て来ます」
ミーチェは駆け足で音のする方へと行った。
「ちょっと、待ちなさい。 次は慎重に行動しないとーーまたひどい目にあうわよ!」
「ったく……」
魔王リーシャはミーチェの後を追いかける。
そしてミーチェに追いついた時リーシャは目を疑った。
「ふええ……助けてください。 グスッ」
スライム状のモンスターに襲われているミーチェの姿があった。
「この子、笛も刀も効かないんですぅ……あうぅぅ」
スライムに身動きを封じられているミーチェ。
「もう、本当にミーチェは世話が焼けるわね!」
「”水魔法”ーー”アクアスプラッシュ”」
そうリーシャが唱えるとドドドドと水が流れる音がした。
リーシャは魔力で水を形成し、ミーチェにへばりついていたスライムを洗い流した。
「ありがとうございます。 もうダメかと思いました」
ミーチェは泣きながら言っている様だがーーずぶ濡れで、泣いてるのかどうかが分からない。
「それよりミーチェ。 私の上着貸してあげるから着替えなさい。 ずぶ濡れだしさっきのスライムに捕まっていた部分の服が溶けてるわよ」
「あわわわわ!」
ミーチェは真っ赤になりながら急いでリーシャの上着を受け取り、羽織った。
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