085話 ◇◆転移魔法◆◇
カッと宝箱が光る。
「うわ! ま、眩しい」
俺達は急いでまぶたを閉じた。
そして宝箱から光が消え、俺達はおそるおそる目を開けた。
「あ、あれ? ミーチェ? リーシャ?」
ミーチェと魔王リーシャの姿がどこにも見当たらない。
「おーい? どこかに隠れているのか?」
俺達はミーチェとリーシャを呼ぶが返事が返って来ない。
ーーその頃
「いたたたた」
「大丈夫ですか? リーシャさん。 それにしても…ここはどこなのでしょうか?」
「洞窟の奥の方みたいだねミーチェ。 さっきの宝箱、転移魔法みたいね」
「転移魔法?」
ミーチェは首を傾げながら尋ねた。
「ある条件が満たされれば”物や生物”を強制的に転移させる魔法よ。 魔法陣と違って発動時間はないけど、発動条件を満たせば強制的に発動する魔法よ。 逆に言えば満たせなければずっと不発のままって事ね」
「リーシャさん……という事は私達、まんまと転移魔法に引っかかったと言う事ですか?」
ミーチェは目が少しうるうるとしている。
「宝箱を開けるのが条件だったのだと思うわ。 悔しいけどそういう事になるわね。 けどね悔しがっても仕方がないわ。 クロ達を探しましょう」
「リーシャさんって子供みたいな時とーー大人みたいな時がありますよね……」
「そう? 私は常に大人だと思うけど」
リーシャはミーチェの肩をポンポンと叩きながら
「まぁこんな洞窟なんて事ないわよ。 探検と思って出発よ! 行くわよ!ミーチェ!」
テコテコと小さい歩幅で歩き出す魔王リーシャであった。
ーーー
「クロさん、どうします?」
「ちょっとテレパシーを使ってみるよ」
俺は耳に手を当て話しかける。
「……ミーチェ! リーシャ! 聞こえる?」
返事がない。
その後も俺は呼びかけるが返事がない。
「もしかしてここって……」
クロは小さい雷魔法を洞窟に当てた。
洞窟はバチンッと音を立てた…がーー洞窟の壁は傷ひとつ付かない。
「この洞窟……魔力を無効化するのか……」
俺はぽそっと言った。
「違いますよ、クロさん」
少年のセータは口を開いた。
「無力化するのではなく弾いているのです。 さっきの大きな音も無力化されているわけでは無く弾かれているのです」
「それはどう違うのです?」
アリサは首を傾げた。
「無力化だと初めから存在しなかったかの様に消えて無くなるのです。 一方この壁は狙った場所とは違うところに魔力が弾かれているので一応発動はしています」
「壁を越えてテレパシーを発動しても別の場所に弾かれるからテレパシーがミーチェとリーシャの元に届かないという事か」
俺は頭を抱えながら言った。
「そう言う事になりますね」
「クロさん、この前リーシャさんに貰ったネックレスは使えないのですか?」
「ネックレスの光も魔力だから壁に当たったら別の方向に弾かれてしまうよ」
完全に手詰まり状態の俺達。
「どうか合流するまで無事でいてくれよ」
俺はぽそっと呟いた。
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