082話 ◇◆酔ってないですよ!◆◇
「なんれすって(なんですって)? フレイムもう1回言ってみらさい(みなさい)! あなたをケチャンケチョンにしてあけますよ(あげますよ)ーー」
フラフラしながらアリサは言った。
「おいおい、アリサ酔ってるのか? 落ち着けって。 クッちゃんは凄い! だけど俺のがもっと凄い! って言っただけだろ?」
フレイムは落ち着かせようとアリサをなだめる様に言う。
だがむしろ逆効果な事にフレイムは気づいていない。
「なんれすか(ですか) 酔ってないれすよ(ですよ) クロしゃんのが何倍もすこいんれすよ!(凄いですよ) 訂正してくらさい(ください)!」
アリサはポカポカとフレイムの肩を殴っている。
「ごめんごめん、アリサ」
「きちんと、クロしゃんに謝ってくだしゃい」
「アリサだいぶ酔ってるな。 ごめん、ちょっと部屋で休ませてくるよ」
俺は席を立ちアリサの元へ行った。
「ちぇ……。 逃げられちゃったか。 でも私がデートを誘おうとするなんてね、フフ」
マールはそう言いながらグラスを回した。
ドカッとマールの隣に指揮官のカラスが座る。
「おじさんと飲んでもつまらないわ」
「まぁまぁ、そう言うなって」
カラスは笑いながら言った。
「初めて会った時の試験の時に比べてーー今日は随分と人間らしい顔しているな」
「人間らしいって何よ」
「前は何考えてるか分からない冷たい印象だったが、今は分かりやすい女の顔してるぞ」
「あの子、最初会った時は絶対落ちると思ってた。 だから私が変身のスキル使ってる事とか気まぐれで教えたの」
「確かに、見た目はただの少年だもんな」
「それが気づいたら私の命の恩人になってたわ……。 なんだか悔しいけど彼、凄いわよ」
「確かに俺もーー最初は気にも留めていなかったな」
カラスはマールの方を見て言ったーー。
「でもお前がそういう事を言う様になるとはな。 そっちの方が驚きだよ」
寝ているアリサを俺は起きないようにそっとおんぶした。
普段のアリサならこの展開は大いに喜んでいただろう。
「クロしゃん、えへへ」
俺はアリサの顔をチラッと見たーーアリサは目を瞑って気持ち良さそうにしていた。
「アリサ、完全に寝てるな」
「ふぅ……」
俺はアリサが起きない様に寝室のベッドまで運んだ。
「それにしてもアリサのやつーーなんて顔して寝てるんだ」
アリサの気持ち良さそうに寝ている寝顔を見てクロはクスッと笑う。
「なんだか、俺も眠たくなってきたな……」
俺は近くの椅子に座りうつらうつらとしてしまい——。
--チュンチュン
「ちょ、え? クロさん!? どうして私の部屋に?」
俺はアリサの大きな声で目が覚めた。
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