081話 ◇◆酒場◆◇
「フラワーもお疲れ」
俺は席を移動し、フラワーの元へ行った。
「はい、私も皆さんの役に立てたでしょうか……」
フラワーは言う。
「当たり前だよ。 フラワーも一生懸命戦ってくれたおかげだ」
クロはフラワーの肩をポンと軽くたたきながら言った。
「そういうところ……ずるいですよねクロ様」
「そ、そうか?」
何がずるいのか俺はいまいちピンと来なかった。
「君、ウチのフラワーをこれ以上魅了しないでくれる!?」
短剣からニュッと顔を出す花の妖精フィオーレ。
「別に何もしてないだろう」
俺は水の入ったコップを口に運びながら言う。
「……いやいやしてるでしょ、君はじめて入った時フラワーに魅了したんだって? フラワーに聞いたよーー」
「え? 目の前で見せただけだよ。 フラワーが綺麗って言ったから。 確かに発動する時の”光”綺麗なんだよね」
「え?? そうなの?」
フィオーレは口をぽかんとして言う。
「そうだよ、なんで??」
「いや、フラワーのあの様子って魅了のせいじゃ無くて、素だったんだね……」
「あの様子?」
俺はフィオーレに質問する。
「いや、なんでもないよ。 何かお邪魔したみたいだし僕はーー戻るよ」
そう言いフィオーレは短剣に戻っていった。
なんだか少し申し訳なさそうに見えたのは気のせいだろう。
「あ、クロさん! ここに居たんですね!」
ミーチェがグラスを持って走ってくる。
ドタッと音がしてミーチェの方を見るとーー。
「あっ……」
コケたのだろう。コップが頭の上に逆さ向きでーーミーチェの髪から床にポタポタと水滴が落ちている。
「うぅ……。 着替えてきます。 私もお話したかった……」
目をうるうるとしながらミーチェはその場を離れた。
「ちょっとこっち」
”来て来て”とでも言いたげに手を振るマール。
「これが終わったらまた離れ離れになるんだから。 私とも飲んでよ、クロ」
「いいよ、ちょっとまって」
俺はマールの元へ行った。
「これが終わったらお父さんのところに顔出すつもり」
「そっか、あのおじいさんも喜ぶと思うよ」
「本当にクロには感謝しかないわ。 お父さんの伝言もそうだし、さっきの堕天使の攻撃ーー私もし発動してたら躱せなかったもの」
「本当に怪我が無くてよかった」
「そ、そう?」
マールは髪を耳にかけながらお酒を飲む。
「それで、今度なんだけどお礼したいから2人で、デート」
顔を真っ赤にしながらマールが言いかけた時ーー。
ダンッとジョッキを勢いよく叩きつける音が聞こえた。
応援してくださる方もし良ければ
広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に。
皆様の応援が励みになります。




