073話 ◇◆魔王様とナル◆◇
ナルはそれから彼女に会う様になり——それがナルの唯一の楽しみになった。
それから名前を知り、彼女が次期魔王の事——色々な事を教えてくれた。
だけど、ナルは自分が魔法を扱えない事はどうしても言えなかった。
彼女に軽蔑される、嫌われる……想像しただけでも——とても耐えられなかった。
だが、ナルは隠し事をしている事も同じくらい苦しく、とうとう彼女に打ち明けてしまった。
「あなた、あんな顔してたのそれが理由なの?」
「うん」
「魔法が使えないから何? 魔法が使える魔族しか価値がないの? 違うでしょ」
「え?」
予想外の答えにナルはびっくりしてしまった。
「あなたウチで働きなさい。 そんなつまんない事で悩んでるような弱い心を鍛えてあげるわ」
「でも……俺」
「あーもう。 どうせ親とかそういう事で悩んでるんでしょ? あなたの事を大事にしない親なんてーー気にしないでいいわよ! 何なら私が会いに行ってやるわよ!」
そう言い、彼女は家に殴り込みナルの両親にーーナルが魔王の城に行く許可を取りに行った。
親も恥さらしがいなくなると快く承諾した。
それから彼は魔王を守れる様に努力をした。
彼は命の恩人である彼女を守れるくらい強くなると誓ったーー。
——
ナルは堕天使アスタロトの指目掛けて発砲する。
どす黒い光を発していた指を大きく振りーー躱す堕天使アスタロト。
「チッ、魔法を放つ暇はないか」
「魔法など使えなくても戦える」
「お前、動きが早いな」
ナルが銃剣で素早く突くが、紙一重で堕天使アスタロトは躱す。
「惜しいな。 ギリギリの所で、お前の攻撃は躱せてしまう。 いつまでお前のスタミナが持つかな?」
アスタロトはピンピンとしているが、ナルの動きが少しずつ鈍くなっている。
「アスタロトのやつ遊んでますね」
堕天使サマエルが2人の戦いを見ながら呟く。
「もう! この魔戦士の軍団きりないわね。 次から次へと」
後衛にいる魔王リーシャがため息を吐きながら魔法を連打で放っている。
「これ前衛の人達の援護する余裕なさそうね」
フラワーは短剣をぎゅっと握りしめ——
「私、まだ何も力になれてない……」
と呟く。
短剣からひょっこり顔を出す妖精フィオーレ。
「妖精のーー僕の力を貸してあげるよ。 こう唱えてご覧」
フィオーレはフラワーに耳元で囁いた。
フラワーは大きく息を吸い唱えた。
「”花の精霊フィオーレ”汝の力を我に示せ」
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