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072話 ◇◆ナルの武器◆◇


「来ますよ。 クロさん」


 アリサが堕天使と魔戦士の軍勢に指を差す。


「あぁ、1人黒い羽が生えているやつがいるな。 あれは堕天使だろ」


「こいつらは私に任せてください!」


「アリサ俺も手伝うぞ!」


 フレイムがアリサの隣で構えた。


「え? 結構です。 人の獲物取らないでください。 そこら辺で炎でも吹いて遊んでてください」


「本当は力貸して欲しいくせに」


 アリサはため息をついた後ーーフレイムと一緒に構えた。


「分かった。 無理はするなよ2人とも」


「ゴガアアアアアア」


 魔戦士の軍勢がアリサとフレイム目掛けて殺到する。


「ナル、俺達はあの堕天使のところに行こう」


「御意」


「なんだか、こっちに来ているな」


 アスタロトは気配を感知し構えた。


「私から行きます」


 側近のナルがそう言うと、スーツの中に手を入れ何やら銃の様なものを取り出した。


「チッ、銃使いか」


 アスタロトに照準を合わせるナル。


「だったら、近づいて戦うまでだーー」


 アスタロトはナルに急接近した。

 ナルはフッと笑い、アスタロトの首元目掛けて銃で突く。

 (すんで)の所で止まるアスタロト。


「あいつ銃で近接戦闘をするつもりか?」


 否ーーよく見ると、銃の先端部に刺突に特化した針状のようなものが付いていた。

 ナルが持っていたのは銃ではなく、銃剣だったのだ。


「お前、そんな武器使ってるのか。 魔族のくせに」


「魔族のくせにーーとは心外ですね」


「そうか? 普通に魔法を使って戦えばいいだろ?」


 アスタロトの指の先端にどす黒い光が現れる。


「フッ、魔族は魔法など使えて当然とでも言いたげだな……」


 ーーナルの子供時代ーー

 魔族は魔法が使えて当然。

 だが、ナルは魔法が使えなかった。

 どうやら、体質的な問題らしく魔力はあるが魔法が使えない体らしい。


 魔法が使えないのは、魔族として恥ーー。


「あなたなんて生まれてこなければ良かったのよ」


「お前は我が家の面汚しだ。 二度と俺の前に顔を見せるなよ」


 両親はナルを嫌っていた。


「こいつ、魔族なのに魔法が使えないんだぜ」


「まじかよ、俺らも使えなくなったら嫌だから置いてこーぜ」


「二度と俺たちに近づくなよ」


 同年代の魔族達もナルの事を遠ざけーー毛嫌いしていた。

 彼は、生きる理由を無くしていた。

 いつ死んでもいいと思っていた。

 そしてもう何もかもどうでもいい……。

 彼は限界になり、飛び降り自殺をしようとしていた時ーー。


「ちょっとーーそこのあんた! そんな所で何してるのよ!」


 紅い綺麗な瞳をした女の子が目の前にいた。


「あんた、顔が死んでるわよ。 ほら、私の大好きなビスケットでも食べて元気出しなさい」


 その子がくれたビスケットは甘くて、ビスケットを手渡してくれた彼女の顔はとても天使の様な眩しさだった。

 彼女が魔王の娘で次期魔王という事は、その時はまだ知らなかった。




 

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