069話 ◇◆花の妖精◆◇
「クロさん……堕天使——私見た事ないです」
「アリサ、俺もだから大丈夫だ」
「私は見た事あるわよ」
魔王リーシャが言う。
「魔王様のお城にも1回訪れましたもんね」
「そうそう、大勢で来てほんと迷惑だったけど”おもてなし”してあげたわよね」
「お城を透明化させてただけじゃないですか。 居留守と同じですよ魔王様」
「うっさいわね。 無駄に魔力消費したのだから”おもてなし”で合ってるわよ」
その後も指揮官カラスの説明は続いた。
初日目と言うことでそこまで多くはないと本人は言っていたけど。
「今回はこのくらいにしてまた明日集合してもらう。 各自ーー宿の部屋を借りているから使ってくれ」
「なるほど。 さすがに初日目集まってすぐに出発だったらかと思っていたよ」
「そうですね。 これからどうしますか? クロ様」
「そうだな。 明日に備えて皆ーー体を休めよう」
フラワーは自室でお花の花弁を撫でながらベッドに座っている。
「堕天使って強いのですかね……。 心配です。 メンバーの中で一番足手まといなのは自分です……」
そう言いフラワーはお花を置き、ドアを開け少し席を外した。
--ポワポワ
「喉渇いてきたのでお水をとってきたのですけ……。 え?」
フラワーはびっくりしてコップの水を溢す。
目の前にお花は無く、羽のついたーー小さな小人の様な姿がベッドの上にあった。
「おい、そこのお前」
「私ですか?」
「この部屋に他の人はいないだろう」
「そうですね。 あなたは? 一体なんですか?」
「僕か? 僕は、花の妖精フィオーレだ」
「フィオーレさん、僕って言ってるけど見た目女性に見えますよ……」
「妖精に性別はないの! そんな事はどうでもいいの!」
「は……はぁ」
「君が毎日毎日魔力をちょっとずつ私(お花)に注いでいたでしょ?」
「え? そんな事していませんよ。 夜に少し撫でていただけですが……」
「そうなの? 無意識に魔力を注ぐなんて、君やるわね」
「は……はぁ」
フラワーはイマイチなんの事か分からないがーーとりあえず頷いた。
「あなたが魔力を注いだおかげでこうして妖精になれたの! あなた魔力の流れがすごく綺麗ね。 あなたちょっと何か武器は持ってないの?」
「武器ですか? 短剣ならありますけど……」
フラワーは短剣を取り出す。
「ちょっとその短剣を貸して」
そう言うと妖精は短剣の中に吸い込まれていった。
「えっ? フィオーレさん!?」
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