068話 ◇◆少年の正体◆◇
--コツコツコツ
俺と同い歳か——あるいは歳上であろう女性が俺の前に立つ。
「君も来たんだね」
「あれ、どこかで会ったことあるのかな? ごめん、覚えてないんだ」
「あぁ、ごめんごめん。 この姿だと分からないよね」
女性はみるみると小さくなり気がつくと3人目の合格者の少年になった。
「え!? 君って女性だったの!?」
少年は先程の女性の姿に戻り——
「そうよ、こっちが本物の姿だわ」
「その地図手書き?」
女性は地図を持っていた。
「そうね。 私地図とか配られても一度自分の字と図に書き直すの。 場所も覚えられるし、おすすめよ」
「どこかで見たことある字と図だな……。 あっ!?」
俺はおじいさんから貰った試験会場の——地図を取り出す。
「これを書いたのも君だね?」
「えぇ、そうよ。 どこでそれを……」
「マールさん、あなたのお父さんからこれを貰ったんだ。 そして”そのお父さんから娘へ”伝言があるんだ」
「”お父さんはーーいつでも待っとるぞ”」
「そう言っていたの?」
「うん、今度時間がある時にでも顔出してあげたら?」
「えぇ……。 教えてくれて有難う。 ……お父さん——」
言えて良かった。
俺には、女性が誰にも見えないように顔を隠しながらも泣いていた様に見えた——。
「おじいさん、ちゃんと伝えたからね」
俺は心の中でおじいさんに報告をした。
「そろそろ集まったみたいだな」
元試験官のカラスが一言、発する。
「俺の事を知っている者もーーそうでない者もいるだろう。 それに俺より実力がある者も多いと思う。 だが今回の災厄からの防衛は俺が指揮をする。 指揮官のカラスだ。 宜しく頼む」
指揮官のカラスは淡々と話を続ける。
「今回の災厄は堕天使の襲来だ」
「堕天使?」
「そうだ。 堕天使は神の被造物でありながら、神に反逆しその罰によりーー天界を追放された天使達の事だ。 その堕天使が大勢押し寄せてくる。 君達に迎撃してもらいたい」
「堕天使って何か弱点とかあるのかい?」
「そうだな。 今のところは弱点は見つかっていない。 だが君達ならば必ず迎撃できる」
「堕天使なんて初めて見るぜ」
フレイムは両手で拳を作りーー軽くぶつけ合った。
「フレイムが居たら緊張感がなくなるな」
「え? クッちゃん緊張してたの?」
「クロさんが緊張してるわけないでしょ!」
「俺はクッちゃんと話してんだよ。 何怒ってんだよアリサ」
「怒ってないです」
「アリサお前可愛げがないな。 ほんっとー」
「なんですか!? 可愛げがないってどういう事ですか!」
「人に可愛いと思わせる部分にかけてるって意味だよ」
「むぅ。 そういう意味で訊いたのではありません!」
龍達は皆——こういう感じなのかな……。
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