065話 ◇◆小さい頃の約束◆◇
「災厄がくるのか」
災厄と言ってもどれほどの規模なのかも分からない。
今回の試験にエントリーしたのは俺だけだったからアリサ達は連れて行けないと思っていた。
だが、連携などの都合もあり10人以下なら仲間を呼ぶのはいいらしい。
「厄災が来るって言っても……うちのメンバーに居るんだけど、大丈夫なのかな……それよりイリーニャさんの”彼”がどこにいるんだろう……おじいさんとの約束もあるし」
ーーシュン
「クロ、君も今回の災厄呼ばれるんだろ」
勇者のユウトが瞬間移動してきた。
「いきなり出てくるなよ。 びっくりするじゃないか」
「ごめんごめん、どうなのか心配になってね……」
「なぁ、ユウトって騎士学校の知り合いとかいないのか?」
「騎士学校か……。懐かしいな、俺ーー勇者になる前は騎士してたから騎士学校通ってたよ」
「イリーニャって子知ってる?」
「なんで君がその名を……? まぁ後で訊こう。 イリーニャはね、誰にでも優しく頑張り屋さんで本当に可愛い僕の唯一の初恋の子だよ」
「え?」
「本当に小さい頃にお婿さんになるーーって約束もしてたけど、厄災に巻き込まれて、もうこの世にはいないんだ」
「……」
「笑えるだろ。 こんなに色んな人を救ってる僕は、一番大切だった人を救えてないんだ。 会えるなら会いたいさ……」
「ユウト!」
イリーニャが大声で呼び抱きつく。
「イリーニャ!? な、なんで……?」
「数日前に会ったんだ。 幽霊の姿の彼女と。 魔力がなくて尽きそうだからテイム して欲しいって頼まれてさ。 どうしてもユウトに会いたかったんだろうね。 だからテイム したんだけど……」
「彼女は死んだはずだろ?」
ユウトは目をゴシゴシと擦る。
夢ではなく目の前にイリーニャがいるのである。
「テイムの契約した最初だけ魔力供給してたけど、もう俺からの魔力は受け取ってないんだ。 その時の、俺の魔力供給の量が多かったみたいで、こうして目の前にイリーニャさんがいるんだと……思う」
俺自身——正直信じられない現象が起きているのである。
テイマーに蘇生スキルはない。
もしかすると、”彼女のユウトに会いたい”という想いが奇跡を起こしたのかもしれない。
「イリーニャ……」
「ユウト……」
「イリーニャさん、俺からのお願い訊いてくれるかな」
「私はあなたにテイム されたのよ……。 それにユウトに会わせてくれた。 約束通り何でも言うことを聞くわ」
「なら、イリーニャさん」
「はい」
「ユウトをしっかり支えてあげて。 見守りたいって言ってたよね? 小さい頃の約束、ユウトも覚えていたよ——」
「え?……いいのですか?」
「クロ……本当にいいのかい?」
「ユウト……一番大切な人を今度こそ守りきれよ」
「クロ、有難う」
イリーニャとユウトは抱き合いながら互いに涙を流す——。
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