062話 ◇◆グングニル◆◇
「すまん。 初耳だわ。 俺、龍のこと自体あまり詳しくないから」
俺は笑いながら答えた。
フレイムは一瞬止まる——。
「なんだそれ。 龍の事、詳しくないのに一緒に行動してるとか面白すぎるでしょ」
「全然面白くないだろ……」
「龍と知った後もタメ口聞いてくる人間とか久しぶりだわ。 本当にクッちゃん面白いな」
「他にもタメ口する——人間いたのか」
「勇者とか言ってた気がするな」
「ユウトか……。 あいつなら、友達感覚で話しかけてきそうではあるな……」
それから気がつけば長い事フレイムと話していた。
その日の夜中に俺は皆のいる宿に帰ったのだが——フレイムと長い間話で盛り上がった事と試験の疲れもあり、そのまますぐに寝た。
ーーー
「クロ! 大丈夫?」
ん、ここはどこだろう。
クロが見上げると白い雲のようにーー何処までも続く病室の天井があった。
「ん……。 これはなんだろう。 また懐かしい声がするな」
男の人と女の人の声がする。
何処か懐かしい声だ。
「俺を呼んでる……? でも何か悲しそうに呼んでる」
そんな悲しそうに呼ばないでくれ。
「クロ……。 クロさん! クロさんーー」
ーーー
「クロさん、ほんっとあなたって人は!」
次の日の朝ーー目が覚めるとアリサが顔を近づけている。
「むぅ。 なんで行くの言ってくれなかったんですか!」
「すまんすまん、仲間同士で争いたく無かったから1人で参加したんだよ」
「もういいですよ、クロさんはまったく」
「そういえばアリサ——」
俺はアリサに棒状の物を投げた。
「っちょ、えっ? なんですかこれは!?」
「グングニルって言う伝説の槍の武器らしい。 北欧神話の戦争と死の神オーディンがーー使ってたとされる武器らしいぞ。 アリサ、一応竜騎士だろ? これあげるよ」
「え? 私にですか?」
「プレゼントいやか?」
「いえ、すっごく嬉しいです。 家宝にします。 全然乙女にあげるプレゼントとは思えないですが大事にします」
「そんなこと言うならあげないぞ?」
「むぅ。 うそですってば!」
そう言いながらグングニルに頬をすりすりするアリサ。
--ドタドタドタ
「クロ様が帰ってきているって本当ですか!?」
フラワーとミーチェも俺の部屋に駆けつけた。
「あぁー! またアリサさん先に独り占めしてる!」
「独り占めって何よ!」
「ほんっとクロが帰ってきた瞬間うるさい人達だわ」
「魔王様もあの騒いでるのに混ざらなくてもいいのですか?」
「べ、別に混ざりたいわけじゃないわよ!」
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