060話 ◇◆3人◆◇
その少し後に、
--カツカツカツ
と足音が聞こえたのである。
「これで全員かな?」
試験官のカラスが来たのだ。
カラスは人数を数え始める。
「いやいや、待て待てーーさすがに早すぎないか?」
俺はついツッコんでしまった。
それも仕方ない。
まだ始まって数時間も経っていないのだから。
すぐに1次会場から、ここに向かい始めても間に合うかどうかも怪しいところだ。
「いや、早くはないぞ。 いつもこのくらいの時間だ。 一瞬俺の時計が壊れたのかと思ったぞ」
カラスは時計を見て、時間を確認しながら言った。
「それにお前は時間の期限を言っていなかったはずだぞ……?」
「言われてないからなんだ? 言われた事しかできない奴は要らないし、伝説の武器をあげる価値もないと思うぞ」
試験官のカラスは話を続ける。
「こんな問いに時間をかけるようではダメだな。 問い自体はすぐ解ける奴もいるだろう。 だがその後の罠やモンスターを警戒し何日もかけここにくるものもいる」
カラスは真剣な顔つきになりーー。
「あえてはっきり言おう。 そいつらは自分で慎重だとでも言いたいのかもしれないが、何日もかけて待機しその間にモンスターや賊に襲われる可能性は? 災害に巻き込まれる可能性? 事故にだってあう可能性もあり得る。 待機すれば確実に成功するーーなんてないんだよ」
「待機していたらいけないのか?」
先程までとは違いフレイムは真剣な顔で質問をする。
「お前は災厄などの大きな災害が来た時に弱まるのを待つ為に待機するような連中に命を預けれるのか?」
「それは……」
「ハッ。 その場に応じて迅速に対応できる奴ではないとこの先、早死にする。 それに俺は言ったか? 待機しろなんて言ってないだろ? 思い出してみろ」
「”各自自由に行動してくれ”ーー」
「あっ……」
確かにその通りかもしれない。
自分で迅速に行動できないものはーー危険な任務や依頼、仕事についても無駄死にするだけだろう。
「すまんな。 お前達は関係ないのに少し説教じみた話をして」
落ち着いた口調になり話を続けるカラス。
「さて、今回はとんでもないやつらが残ったみたいだな。 本当はこの後も試験を続ける予定だったが、その必要もあるまい」
「とんでもないやつら?」
「やはりあの少年只者ではないのか。 フレイムの炎の火力も凄かったもんな……」
「武器はランダムだ。 文句は言うなよ。 後で奪うなどは自由だけどな。 ガハハハハ」
「今回は、最後の試験。 いつもの殺し合いはさせないんだね」
少年はカラスに近づきーーぽそっと囁いた。
「そうだな、3人しかいないから仕方ない。 それに3人共、ここ何回かで1番の実力者と言ってもいいだろう。 お前はリピーターだけどな」
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