054話 ◇◆目標◆◇
奴隷オークションの捕まってた人達を逃した後ーー先程の銃を打たれたおじさんの仲間が来たようだ。
その後奴隷オークションを仕切っていたケミカル達は逮捕されたらしいーー。
--カチャカチャ
俺達は、奴隷オークションの一件の後ーー魔王リーシャの要望もありレストランに来ていた。
「はぁ……。 もう本当疲れたわよ」
「魔王様は最後に誘導しただけではありませんか?」
側近のナルがまた余計な事を言うのである。
「誘導はともかく、こっち側は待機だったでしょ。 あんな胸糞悪いオークションをずっと見てたから疲れただけよ」
「そういえば、なぜクロ様の知り合いの方は捕まってたのでしょう?」
「マヤの事か。 アーサーと一緒にいたはずなんだけどね」
「2人共、弱いからじゃないんですかね」
アリサはスプーンをくるくると皿の上で回しながら言った。
--バンッ
店の扉が開くとそこには息切れをしている女がいた。
「クロ……。 あなた本当にクロなの?」
「そうだけど。 どうしたの」
「本当にごめんなさい」
「なんで謝るの。 俺が皆の足を引っ張っていたのは事実だ。 別に謝らなくていいよ」
謝罪に対し自分でもちょっと意地悪な返事をしたなと思う。
だが、本当の事を言っただけだと自分に言い聞かせる。
「今日、クロがオークションにいた時ーー私を見捨てるって思ってたの。 けどあなたは私を助けてくれた。 本当にかっこよかったよ」
「……」
「あれ、どういう感情の顔ですの?」
魔王リーシャは小さい声で尋ねる。
「照れてるの隠してる顔だと思いますよ」
フラワーは笑って答えた。
「クロ。 あなた、本当は強かった……。 いや、みんなの倒したモンスターを嫌な顔一つせず運んでたーーあの時からずっと強かったのね」
マヤはぽそっと俺に言った。
「私ね。 クロみたいな強い女になるわ。 それが目標になったの」
「そっか、まぁ頑張れよ」
「マヤさん、こんな冷たい感じで言ってますけどクロさん照れてるだけなんで、気にしないでいいですよ」
アリサは呆れたように言う。
自分が目標なんて目の前で言われたら普通、誰でも照れるだろ!と俺は心の中でツッコんだ。
「そういえば、アーサーとはどうするの?」
「うーん、アーサーの事は好きだけど。 今のままのアーサーだったらちょっと考えものよね……。 今回のもアーサーと一緒に居たいと思って無理にメンバーを増やそうとしーー自分が暴走したのが原因だし……」
「そんなに一緒に居たいならペアでやればいいんじゃないのか?」
「私達にそんな実力……」
「でも強い女になるってさっき言ったじゃないか」
「それはそうだけど。 そうね……。 うん。 私アーサーと真剣に向き合ってみる」
「やっぱりクロさんいい人だよな」
アリサはフフッと笑いながらデザートのアイスを頬張った。
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