表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/140

053話 ◇◆取り出し口◆◇


「くっ、貴様よくも余計な真似を」


 ケミカルはかなりご立腹なようだ。

 無理もない、商品に目の前でーーおめおめと逃げられたのだから。


「それと……俺の手を離した方がいいよ」


「お前は、バカなのか? 手を離したらお前が何かするのだろう?」


 ケミカルは俺の腕を離さない。


「上を見たら言ってる意味がわかるんじゃないか?」


「上だと?」


 ケミカルは上を見上げる。

 すると、頭上には大きな袋の取り出し口があった。


「これってどんなものでも収納できる便利な袋なんだけど」


「それがどうした」


 ケミカルは小馬鹿にしたように袋の取り出し口を見る。


「いやこの状況で出したらどうなるんだろうなって」


「それこそバカな話だ。 俺は今ーーお前の腕を持っているんだぞ。 バカでかいものを落としてみろ。 巻き添いになるだけだ」


「はぁ……。 誰も大きいものを落とすなんて言ってないだろ。 ビート!」


「ガアアアアアアアアア!!」


「な…なんだ。 この大きさのスノウ・ウルフ……いや本当にスノウ・ウルフなのか!?」


「ありったけの氷をこいつにプレゼントしてやれ!」


「わかりました! クロ様、巻き込むけど大丈夫ですか!?」


「はやくやるんだ!」


 ーーーゴオオオオオオオ

 パキパキッと氷漬けになるケミカル。


「ビート、お前余計な心配しやがって。 俺の体力の多さ忘れたのか?」


「そうでしたね。 申し訳ありません!」


「それにしても偉いぞ! 経験値をーー後でたっぷりあげるからな!」


「いえ! 結構です!」


「え? お前大好物だったじゃないか?」


「つまみ食いばかりしていたらレベル上がってしまいまして……。 これ以上ーー上がらなくなってしまったんですよね」


「ビート……。 それつまみ食いって量じゃないぞ」


「レベルカンストして気がついたら、見た目も少し変わってしまって……」


 よく見ると額には傷があり、毛の色も少し濃い水色になっていた。


「後、もう一つ出来る事が増えたのですがーーこれは割と地味なので期待しないでくださいね……」


 そう言うとビートの体がみるみる小さくなっていく。


「ビート……お前」


「こんな風に変身出来るようになりました!」


 目の前には水色の髪の少年が立っていた。


「擬人化じゃないか!」


 俺はあまりのびっくりに腰を抜かしそうになった。


「ビート、お前……。凄いじゃないか! 本当はもっと褒めたいところだけどーーとりあえずここから離れよう」


「分かりました!」


 俺は耳に手を当てた。


「……聞こえる? 大丈夫なの? おーい」


 魔王リーシャが声をかけている。


「……あぁ今終わった。 そっちは今どうしてる?」


「……ケミカルが慌てて出品会場から姿を消したから行動を起こしたと思ってね。 私達も東側に来たの。 そしたら裏口の方から沢山の人やーー色んな種族の人が出てきたから、誘導して逃してあげたわ」


「……そうか。 有難う!」


「……まぁあなた達3人も無事で良かったわ。 お腹すいたからクロ何か奢りなさい」


「相変わらずだな、うちの魔王様は……」


 俺は笑いながら呟いた。




下にある☆☆☆☆☆是非応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ