051話 ◇◆分かれ道◆◇
マヤを引っ張ってた男。
左側から右側の通路に行っていたという事はーー右側はオークションの出品会場なのだろう。
「……今分かれ道で来た方が収容所だろう。 今は収容所に行くべきだ」
「……クロ様、私達が収容所に行くのでクロ様は右に行ってください」
「……2人で行く気か?」
「……私とフラワーさんなら大丈夫です」
「……分かった。 気をつけるんだぞ」
クロとフラワー達はそれぞれ別の道へ行った。
「……フラワーさん あれ見てください」
--ガチャ
「お前達の番はもう直ぐだ。 このオークションが終われば外に出られるぞ。 よかったな」
「奴隷なんていやよ! はやくここから出して!」
「くそっ……。 もう終わりだ」
「うぅ……」
--ペッ
「出たいなら勝手に出ればいいさ。 鍵は俺様が持ってるんだ。 檻でも壊して出るんだな。 ガハハハハ」
見張りの男が笑いながら奴隷達に唾をかける。
「……あの見張りの人が鍵を持ってるみたいですね」
「……そのようね」
「……ミーチェさん、あの人が油断してるところを狙いましょう」
ミーチェは頷く。
「……そろそろでしょうか? どう思いますかミーチェさ……。 あれ?」
気がつくとミーチェはーー既に見張りの男の前に立っていた。
「おい、お前どこから入ってきた?」
ミーチェは耳から手を離し
「ちょっとお手洗い探してたら迷ってしまいまして……」
と答えた。
さすがに無理がある。
フラワーは身を潜めながらため息をついた。
「おいおい、そんなわけないだろ? この中に入れる事自体おかしい……。 いや、お前まさか逃げ出した奴隷か?」
ミーチェは何の事か分かっていないがとりあえず頷いた。
「なるほどな、お前ほどアホな奴隷は初めてだぜ。 わざわざ自分から帰ってくるなんてよ」
見張りは笑う。
何の話をしているかわからないが明らかに舐めている様子。
チャンスだと思い、ミーチェはーー七色の笛を懐から取り出し、口元に当てる。
そして息を大きく吸いーー
「ーー黄の音色!」
「うわあああ。 や、やめろ! なんだこれ! うるせぇ!」
見張りの男が耳を押さえた。
「ぎゃあああ」
黄の音色は強烈な音を放ち相手の動きを止める。
あと、奴隷の方々、巻き込んでごめんなさい。
ーーと心の中でミーチェが解説と謝罪をした。
「……私、黄の音色初めて聞いたけど。 そういう効果だって先に教えてくださいよ——!」
フラワーも鼓膜が破けそうになるくらい大きな音に、とっさに耳を押さえた。
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