045話 ◇◆呼び方くらい◆◇
ーーー
「……あれ、僕は?」
「ーーお、シオン目が覚めたか」
「あれ、僕はいつの間に」
「さっき毒が回って倒れてたんだよ。 毒に回復薬効くか分からなかったけどーー大丈夫そうだな」
「レナ王女は……?」
「ここにいるわよ!」
袋から出る第3王女レナ。
「いきなり袋の中に入るように頼んでごめんな。 怖くなかったか?」
「全然怖くなかったわ。 袋の中にスノウ・ウルフがいて楽しかったわ。 人懐っこいワンちゃんみたいにペロペロって、フフッ」
レナは楽しそうに答える。
「そういえばスノウ・ウルフが袋の中のものを食べてたわよ。 少しだけど」
「ビートのやつ……説教だな」
「なぁ、シオンこれからどうするんだ」
「わからない、とりあえず体が動かないし。 もう疲れたよ休ませてくれ」
「あぁ、ゆっくり休むといいよ」
◻︎
「それにしてもクロ様が無事でよかったです」
フラワーが笑顔で呟いた。
「それにしても、クロさん。 私達が駆けつけた時にはもう倒してるのやめてもらえませんか? クロさんのかっこいいところ見たいのに!」
アリサは不満そうに言う。
「私なんて笛と刀、全然試せてないんですよ!」
ミーチェが泣きながら刀を振っている。
相変わらず、ふにゃふにゃな太刀筋だ。
「私は色々な、お店回れて満足だったわ」
「そうでしょうね。 店員さんに、値下げ交渉を胸ぐら掴んでしてましたもんね。 あれは脅しです魔王様」
「ナルあんたはうるさいから黙ってなさい」
「御意」
「あの後シオンさんに聞いたんですよね? 王妃様の事」
「あぁ聞いたよ」
「レナさんには伝えなかったのですね」
「伝えるか悩んだけど、レナが変に罪の意識を持たなくていいようにしたかった」
「なるほど…知らない方が幸せな事ってありますもんね」
「クロー!ありがとね!」
第3王女のレナが笑顔で手を振っている。
「また顔見せに来なさいよ! 一緒に酒場行く約束忘れないからね!」
「あぁ約束は守るよ!」
「ねぇ、クロさん達呼び捨てしあってましたよね」
「あぁ、そうだね」
「むぅ。 クロさん知らない!」
「もぉ! すぐに女の人にいい顔するんだから!」
フラワーは頬を膨らませた。
「私まだ呼び捨てにしあってないのに……」
ミーチェの涙が頬を濡らす。
「全く、いちいち呼び方くらい気にしないでもいいでしょうに」
「ではこれから魔王様のことをおばあさまと呼びますね」
ナルはフッと微笑みながら言った。
--ゴツッ
「何か言ったか? ナルよ」
「グフッ……何も言ってません」
下にある☆☆☆☆☆是非是非応援お願いします!




