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035話 ◇◆アリサと勇者◆◇



「ハハハ。 ちょっとごめん。 さすがに本物の魔王だとは思わなかったんだ。 それにしても△日は過ぎてるよ? 一体何の用がーーあって魔王はここに来たのかい?」


 こんな小さな子が魔王だという事が、いまだ信じられないのだろう。


「なんださっきの大きな音は!?」


「・・・!」


 先程の斬撃の音に気付いた兵隊と勇者カナは、ユウトの元へ来た。


「何って特に理由はないぞ? もう用件は済んだからな」


 魔王リーシャは言う。


「なんだこの子は?」


「兵隊さん達逃げたほうがいいよ。 この子、魔王だから」


 ユウトはそう言い、兵隊達が前に行こうとするのを止めた。


「先程も言っただろう。 私はもう用はないと。 もうここに危害を加える気もさらさらない。 それにだ。 むしろ私より用事がありそうな子がいるのだけど?」


 リーシャはアリサの方を見る。


「勇者カナはお前だな?」


 アリサはカナの方にゆっくりと近づく。


「・・・」


 カナはゆっくりと剣の柄に手を当てる。


「一つだけ質問をしてやる。 なぜ貴様は私を不意打ちで殺そうとした?」


「・・・正面は嫌い。 ユウトに1回も勝てた事がない。 だから私は基本裏を取るーーそれだけ」


 カナは剣を抜くと構えた。


「わかった。 もうお前と話す気はないし。 お前の顔を見ることもないだろう」


 --ゴロゴロゴロ

 空を雷雲が囲んだ。


「はぁ……」


 こんな大勢の前でーー勇者を殺されたらアリサは今後どうなるかわからない。


「悪いけど、この戦い止めさせてもらうよ」


 俺はアリサとカナの間に立った。


「クロさん、邪魔しないでくださいーー」


「・・・!」


 カナは俺に向かって走ってきた。


「クロさん、危ない!」


「はぁ あの時ゼラとか言うゴロツキに複製してて本当に良かったよ」


「 スキル 磁場吸引 発動 」


『スキル磁場吸引は、半径1km以内の金属を使い手のーー両手に集める事が出来ます』


 ゴロツキのゼラはこのスキルを使って財宝などを集めていたのだろう。


「おわ! 何だ吸い込まれる! 俺らの剣が!」


 兵隊たちの鎧や剣。

 勇者の剣やフラワーやミーチェの武器。

 その他、街の金属全てが俺の両手に集まる。


「すまないけどーー剣は没収だ。 アリサお前も怒るのはわかる。 だけどこの子は剣がなければ何もできない。 落ち着くんだ」


「そんな簡単に許せるはずがないですよ!」


「でもここで勇者を殺したら俺たちと一緒に旅は出来なくなるよ。 それでもいいのかい」


 俺は真剣な表情でアリサに言った。


「………。 そんなのずるいですよ。 クロさんにずっとついていきますからって私、言ったじゃないですか」


 気のせいかもしれないが少しアリサが泣いていた気がした。

 アリサは俺にギュッとしがみついた。



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