034話 ◇◆やっぱり子供っぽい◆◇
俺は聞き間違いかと思った。
「私はずっとこの城に引き籠っていました。 ですがーー地上の世界を直に見たいと思っていたのです」
魔王は話を続ける。
「あなたのような強いお方をーーずっと探していましたの。 私の護衛が出来る人を」
「外の世界を自分の目で見てみたい気持ちもわかるけど。 そこの側近さんが許してくれないんじゃないのか?」
俺は側近ナルをそっと指差した。
「あの子は自分も着いていってもーー問題がないなら構いませんと言っていたわ。 護衛お願い出来ないかしら?」
「んー……。 護衛は無理ですね。 何だか雇われたみたいで気が乗らないのです。 仲間として一緒に旅をしたいと言うのでしたら良いですよ」
俺はもうどうにでもなれーーと思い提案をした。
「………。 むしろ仲間に入れていただけますの!?」
魔王は心が躍っているようだ。
俺は、ほっとした。
——もしさっきの提案が無礼にあたり揉めたなら。
ここは間違いなく戦場になっていただろう。
俺はそれを阻止するため迷わずここの2人や城にいる魔族、モンスターをテイムしていただろう。
だがそんな事をすれば他の魔族の反感を買い、戦争の可能性だってあった。
「俺は魔王様の意思を尊重するが、まだお前を信用したわけではないぞ」
側近のナルは俺の耳元で言った。
「魔王、こいつテイムして二度とーー喋れないようにしてもいいかい?」
「せっかく仲間になったんだものリーシャと呼んで。 ナルは日頃からうるさいですし。 さっき私の年齢も言ってたもの。 自由にしていいわよ」
「私は魔王様の分の荷造りをするのでこれで失礼します」
ナルは逃げるかのようにその場を離れた。
「はぁー、冗談だよ」
俺は口を尖らせながら言った。
「スフィアに戻らないと皆ーーまだ魔王が攻めてくるって思ってるだろう」
◻︎
——スフィア——
「心配したよ。 どこ行ってたんだい!?」
勇者ユウトが俺に近寄る。
「ほー! ここがスフィアか! なかなか暑い島だね」
魔王リーシャは初めての外に大はしゃぎだ。
「ってあれ!? そこの2人は? クロって魔族の仲間だったのかい?」
ユウトは剣を構える。
「え? 魔族は魔族だけど。 この子魔王だよ」
「いかにも、この私が魔王リーシャ・ジャックである!」
魔王が自慢げに言う。
「何だか城を出た途端、子供みたいになったな」
俺は心の中でそう思った。
「さすがにそんな事を急に言われても信じられないよ。 さすがに嘘が下手すぎるんじゃないのかい?」
--ザンッ
「あまり調子に乗るなよ。 小童が」
魔王リーシャはユウトを睨むと斬撃を放った——。
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