033話 ◇◆魔王様◆◇
「よくぞいらっしゃいました。 あなた方が客人とのことでよろしいですか?」
城の前に門番が立っている。
「この門番さん、大きいですねー」
ミーチェは見上げた。
「そうだな。 敵に侵入させない為にここにいるのだから、この人達はとんでもなく強いと思うぞ」
「何をおっしゃいますか。 レベルカンストしているテイマー さんに賢者さんーー雷龍さん、それに……あなたには何か眠っている力がありそうですね」
フラワーをじろじろ見る門番。
「何にも眠っていません!」
フラワーは頬っぺたを膨らませた。
「そのような方々に強いと言われましてもーー皮肉にしか聞こえませんな。 ハッハッハ」
もう1人の門番が笑いながら言う。
「どうぞ中へ、お入りください」
◻︎
——魔神城 魔王の部屋——
「ようこそ、いらっしゃいました」
「あなたが魔王様ですか……って子供!?」
俺はびっくりした。
目の前にはルビーのような綺麗な瞳にーー赤髪の12〜15歳くらいの、小さな魔王がちょこんと立っていた。
「貴様、魔王様に向かって無礼だぞ! この方は308歳だ! それを子供などと、死にたいのか!」
魔王の近くで立っていた魔族が答える。
「ナル。 あなたレディーの年齢を、人前で言うのはどうかと思いますよ? 死にたいのですか?」
「申し訳ございません!」
ナルは背筋を伸ばして謝罪をした——。
コホンと咳払いをし、話を続ける魔王。
「話が脱線しましたね。 私は魔王リーシャ・ジャック。 魔王でもリーシャでも好きなように呼んでいただいて構いません。 わざわざこちらにお越しくださった事、心より感謝申し上げます」
魔王はペコリと頭を下げる。
「俺はクロ・エンジュ。 何で俺をここに呼んだのです?」
「私は、このお城から見ていましたよ。 あなた達が病院なるものをモンスターを利用して作っているのを」
「なるほど。 モンスターをテイムし、医者にして病院を作ったことに不満を持ったのか」
俺は静かに構えた。
「私は一目で、あなたに夢中になったわ! あなたのスキル面白いわね。 モンスターをお医者に見せ使役する」
魔王は俺の肩をぶんぶんと揺さぶりながら嬉々として話を続ける。
「そんなの普通のテイマーでも不可能です。 テイムした後、変化までさせるなんて」
「魔王様もう少し落ち着いてください」
側近のナルが小さい声で言った。
--コホンッ
魔王リーシャは少し恥ずかしそうにーー咳払いをした。
「これは失礼。 ここからが本題なのですが」
俺は真剣な顔になり魔王の言葉をじっと聞いた。
「私を護衛してください」
「え?」
俺は予想外の言葉に驚きを隠せなかった——。
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