032話 ◇◆夢◆◇
「クロさん魔王城ってどっちの方角ですか?」
「ここから南の方角に真っ直ぐだ。 ほらあそこの大きな山があるだろ。 あの方角に飛んでいけばいいよ」
「わかりました」
「もう完全に傷は治ったみたいだな。 良かったよ」
俺はアリサの背中を撫でながら言った。
「傷は治りましたけど、私ずっとクロさんに着いて行きますからね。 そしてそのまま……」
アリサは龍の姿になってもーー相変わらず赤面状態。
「クロ様、魔王ってどんな方だと思いますか?」
フラワーは想像を膨らませながら尋ねる。
「そうだな。 あの手紙を見るに優しそうなイメージがついたけどな」
「えぇ? あんな脅しを書いておいてですか?」
「本当に危害を加えるつもりなら何も書かないで奇襲すると思うんだよな」
「正々堂々とするのが、好きなタイプとかですかね? どっかの勇者みたいに」
アリサはため息をつきながら言う。
あの勇者が、なんだかアリサは苦手なようだ。
「私はあの勇者さんはいい人だと思いますけどね」
「ミーチェさんは寝ずに患者の手当てしてたもんな。 少し似てるところがあるのかもしれないな」
「どこも似てないですよー! 勇者さんみたいにたくさんスキル使えないですもん!!」
ミーチェは少し泣きそうになる。
◻︎
「クロこっちにおいで」
「ん?なんだここ」
「クロ! あっちを見てみなさい。 東京タワーが見えるだろう。 お父さんは小さい頃、いつもあれを見ていたんだ」
「ん? お父さん……それに東京タワーって何。 ここはどこなのだろうーー」
「クロこっちへおいで」
「なんでお父さんの顔が見えないんだろう……なんで」
ーーー
「クロさん! クロさん!」
「ん? あれ?」
「もうすぐで着きそうですよ」
アリサが指で城を指しながら言う。
いつの間にか、俺は寝てしまっていたようだ。
「なんだか大事な夢を見た気がしたんだけど」
「何を見たのか、思い出せないな………」
「それにしても魔王城に着くまで何も襲われなかったのか」
俺は不思議そうに言った。
「何を言ってるんですか? 私とフラワちゃんとミーチェちゃん。 クロさんが寝てる間、戦ってたんですよ?」
「それにしてもーーここら辺の魔族って弱いんですかね?すぐに逃げ出しちゃいましたけど」
ミーチェは笛を試したかったのであろう。
少し不満そうに言う。
「俺が寝てる間、皆戦っていたのか……。 ありがとう」
「頑張っていましたもんね! クロ様、ゆっくり休めましたか?」
「あぁ、思い出せないけど何か懐かしいものを見た気がするんだ」
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