031話 ◇◆魔王城ヴァルハラ◆◇
「こんな事が——書かれているのですが。 そもそもテイマー自体珍しいですし、上位職のレベルが上限まで上がっている方なんて居ないですよ」
兵隊長はため息をつきながら、手紙をテーブルに投げる。
「確実に俺のことじゃないか」
俺は心の中で呟いた。
「なるほどな。 これは初めからここを襲うつもりだったのかもしれないな」
「・・・来たら迎え撃てばいい」
勇者カナはこの土地の地図を見ながら言った。
「クロさん、僕の勘で強い人だと思って呼んだけど、巻き込んですまない。 もし魔王が来てもクロさん達は僕が守るから」
「なるほど、勇者は俺のレベルとか見えていなかったのか。 勇者の勘って恐ろしいな」
俺は心の中で呟いた。
◻︎
「はぁ。 思ったより長かったな。 アリサ達に一言、言っておけばよかった」
「あー! いましたよ! クロ様ーー探したんですからね」
フラワーは俺のもとに走りそのまま抱きついた。
「そういえばカナって勇者は見つけました?」
「あぁ、見つけたし会ったけど。 それより先に皆急いで荷造りしてくれ。 今から急いで出発しないといけない」
「どうかしたんですか?」
アリサは不安そうに質問する。
「ちょっと色々あってね、行きながら説明するよ。 時間がないんだ。 △日まであと3日しかない」
「行くってどこに行くんですか?」
「ーー魔王城ヴァルハラ」
「え? 魔王の城ですか? しかもヴァルハラって言えば今から飛んで行っても2、3日かかりますよ?」
「だから皆、急いで準備してくれ」
俺は宿に着くとせっせと荷造りをはじめた。
その様子を見たアリサ達も急いで荷造りを始める。
◻︎
ーーー魔王城ーーー
「ーーあなたは来ると思いますか? ナル」
「魔王様、僕は来ないと思いますよ。 人間と協定を結んでない我々を人間が信用するとは思えません。 それに本当にそのようなテイマー がいるのかすらーー怪しいと思っています」
いかにも側近らしい格好をした男の魔族が答えた。
客人以外で魔王の部屋を唯一出入りする事が、許されている魔族である。
「確かに。 私もこの目で見るまではいるのかは、わかりません」
魔王リーシャは本を読みながら話す。
「もし来たとして、手荒な行動を取った場合は」
--パタン
「ええ、その場合はやむを得ません。 殺してしまいなさい」
本を閉じながら答えた魔王リーシャ。
「御意」
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