029話 ◇◆一触即発◆◇
——とある森——
--プツップツッ
「よいしょ。 よいしょ」
少女が木の実を拾っている。
「あれ?なんだか動物達がいつもより居ない気が……?」
少女は不思議に思う。
いつもならチュンチュンーーと鳥の声が聞こえたりするものだ。
--シーン
「どうしたんだろ。 なんだか不気味だわ。 早く木の実を採って帰りましょう」
少女は急いで木の実をバスケットに詰める。
「キーヒヒヒ」
振り向くと少女のすぐ後ろにーーゴブリンが5体程集まっている。
「キャアアア」
少女はいきなりの事でびっくりし叫んだ。
もうどうしようもない。
終わったと思い目を瞑っているとーー
--ザシュッザシュ
少女が目を開けると血まみれの剣を持った女が立っていた。
その女の足元には、先程のゴブリン達が背中に一太刀、大きな傷がつきーー血を流しながら倒れている。
「・・・大丈夫ですか?」
女が少女に手を差し出す。
「あ、あの。 ありがとうございます」
少女はペコっと頭を下げ、女の手をとる。
「・・・ここの森は最近モンスターが多いから気をつけてね」
少女の頭を撫で撫でする女。
「・・・私ここの土地勘がなくてね。 街まで案内頼めるかな?」
「はい! でも少し近くの川に寄って行きませんか? ちょっとその血まみれの格好で街は…」
「それもそうだな」
女は剣の血をピッと払いながら頷いた。
◻︎
「そういえばアリサって、いつの間にか他の人達と話せるようになってたよな」
「え? そりゃ擬人化してて人の言葉が話せなかったらーー意味がないじゃないですか? 擬人化すればきちんと話せますよ」
「擬人化って想像以上に便利なんだな」
「まぁ擬人化出来るのは、よほどレベルの高いモンスターもしくは初めから使える龍などーー伝説とされてる生き物ですかね」
アリサは得意げに答える。
「へぇー他にも初めから擬人化できる生き物いるのか」
「いますよ。 もしかしたら既に会った事があるかもしれないですけどね」
「確かにな」
ーーー
「それでね、あそこが大きな商店街なんだよ」
「・・・なるほど」
少女と手を繋いだ女が俺たちの横を通り過ぎる。
「アリサ、今の見たか?」
俺は少女と手を繋いだ女の持っている剣を見ながら言った。
「んえ? すみません匂いに耐えきれずここにーー」
アリサはハンバーガーの出店で並んでいた。
「はぁ。 先に行ってるからな。 買ったら来いよ。 フラワー達もアリサを待ってあげてくれ」
「わかりました」
フラワーとミーチェは笑顔で答えた。
◻︎
「・・・ちょっと待ってください」
「どうしたのお姉ちゃん」
「・・・今あまり会いたくない方が見えたので——」
「え?」
--ザッ
「やぁ、久しぶり! そんな事言わないでよ。 同じ勇者じゃないか」
瞬間移動して目の前に現れた勇者ユウト。
「え? 勇者様?」
少女が驚く。
「そうだよー。お姉さんも僕も勇者なんだ」
少女に撫で撫でしながら笑顔で答えるユウト。
「・・・何か用ですか」
「カナ。 君だって分かっているだろ。 その剣を渡せ」
「・・・どうしてですか」
「君は敵対していないモンスターを殺しすぎた。 協定を結んでる魔王から直々に苦情が来たんだ。 別の勇者候補に渡すそうだ」
「・・・いやです」
カナはーー剣の柄に手を当てる。
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