027話 ◇◆スフィア◆◇
「さっきは色んな人がいましたね」
なんだかソワソワした様子のアリサ。
本当はアリサもーー水龍オルカと話がしたかったのだろう。
「先程はごめんなさい。 オルカが居てつい……」
ミーチェが申し訳なさそうに謝る。
「何年もあってない友人と会えたら俺だって同じ事してる。 だから気にしないで」
まぁバレなかったのは不幸中の幸いといったところか。
あの状況で、俺がバレたら色々気まずい雰囲気になっていただろう。
「一番意外だったのは、ディヴァインがあんな事を考えてたんだな」
◻︎
「おいおい、大丈夫かよ。 じいさん荷物持つよ」
青年がおじいさんの荷物を持つ。
「ありがとう……。お主すごく綺麗な剣を持っておるな」
「あぁ、これか? 大層な剣じゃないよ。 むしろ僕は捨てたいくらいだよ」
「そうなのかい?綺麗な剣だと思うが」
「こんなものがあるせいで使命だの、世界の命運だの。 知らねーよって言いたくなるよ」
「ふむ」
「だけどさ、助けた時に思うんだ。 僕が勇者を辞めたらこの防げた犠牲も——防げなくなるんだなって」
「ほほほ、お主ーー勇者だったのか。 どおりで笑顔が眩しくて心の優しい青年だと思ったわい」
「じいさん、お世辞言っても何もでないよー?」
「勇者どの、有り難う。 これからどこかに行くのかい?」
「あぁ、ちょっと悪い噂聞いたから——スフィアって島に行こうと思ってるんだ」
「勇者殿きをつけての」
「ありがとう」
勇者はおじいさんに手を振り——そのままその場を離れた。
◻︎
「皆、次はどこにいくかわかる人いるかな?」
俺はニコニコしながら質問をした。
「まぁ、難しいか。 この前のーー買い物中にヒント出した暑いところだよ」
「ハイハイ、スフィアって島でしょ」
アリサはコーヒーを混ぜながら答える。
「え? なんでわかったの」
「勇者が居たんですって。 新聞に書いてあったし。 その新聞クロさん見てたでしょ? 私その様子をたまたま見てたもの」
ちょっと赤くなりながら言うアリサ。
「はぁ、アリサさんたまたまじゃないですよね?」
フラワーは呆れたように言った。
「むぅ。 そんな事はどうだっていいのよ。 行くなら早く行きましょ?」
「暑い島ーー楽しみですね」
サングラスをかけ浮き輪を持ち、水着を着ているミーチェがいた。
「ノリノリだけど川にも海にも行かないからな」
「ガーン」
ミーチェは石のように固まった。
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