021話 ◇◆涙脆いミーチェ◆◇
「へぇー。 あなた水龍オルカちゃんと一緒に遊んでたのね」
「オルカちゃんは、最初は引っ込み思案だったのだけれどいつの間にか明るい性格になっていったわ」
「オルカちゃん人間の友達が出来た——って話をしていたけど、あなたのことだったのね」
「アリサさん、もしよければミーチェって呼んでもらえませんか?」
「うーん、ミーチェちゃんならいいわよ」
「ガールズトークに花咲かせちゃって——」
と俺は呆れたように言った。
「いいじゃないですか。 2人とも楽しそうですし」
「そうだな」
「……それに、いつもアリサさんが話していますけど、本当は私だって隣でクロ様とお話がしたいんです」
フラワーはもじもじと俺の手を握りながら言う。
「え? フラワー、お箸買いたい?」
「もぉ! そんな事、一言も言ってません!!」
フラワーは頬っぺたを膨らませた。
◻︎
「そういえば、お医者さん達は今何をされてるのですか?」
「あぁ、その事を話してませんでしたね」
俺は立ち止まりそのまま目の前の建物を指差した。
「え!? これは一体なんですか?」
「まぁまだ完成してはいませんが、病院って建物ですね」
俺の故郷にはあったけど、ここら辺には無かったから疑問に思うわけだ。
「病院っていうのは、さっきのお医者さんが診察しやすいように施設が整ってる場所だわ」
アリサが首を突っ込んで答える。
近くのゴブリンを20体程、複数同時テイムしていたクロ。
「力仕事だったので数は多いです。 怖いかもしれませんが、モンスターも悪い奴ばかりではないのですよ」
「なるほどね、今のうちにモンスターに慣れさせるわけね」
アリサが心の中で呟く。
「これが完成すれば、もうミーチェさんは無理してまで病気を治さなくてもいいですよ」
「……ありがとうございます」
アリサは泣いているミーチェの背中を優しく撫でた。
◻︎
「あのクロさん……」
「どうしたんだ? ミーチェさん」
「あの、私もクロさん達の旅について行ってもよろしいですか?」
俺は少し考えた——。
「ミーチェさんを連れて行くと危険に巻き込んでしまうかもしれない」
俺は悩んでいると
「このままだと、また別の【過激派】タリスカーの信者に襲われるかもしれないよ」
アリサがミーチェの隣に立ち、頭を撫でた。
「確かに、一緒にいた方が安全か。 よしわかった! これからよろしくね」
俺はミーチェに手を差し出した。
ミーチェは涙を拭きながら、クロの手を取り握手を交わす。
「よかったねミーチェちゃん」
「はい! ありがとうございます!」
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