020話 ◇◆教会の包囲網◆◇
「何があったんだ?」
「これを見て、クロさん」
アリサは新聞を広げクロの前に置く。
——ミーチェ タリスカーの寄付金に手を出す——
「さすがに誰でも嘘だってわかるだろ」
「はい、ここの近くの方や【穏健派】ニッカの方々は暴動に参加してないそうです」
アリサは不安そうに言う。
「ニッカの人達は、無実を晴らしたりはしてくれないのか?」
「そんなことをすれば、【過激派】タリスカーに連れて行かれて死罪でしょうね」
「なるほどな」
俺は、タリスカーやニッカに対して腹立たしく思った。
しかしニッカの人が死罪にでもなれば、それこそ戦争が起きてしまうのはーー俺も分かっていた事だ。
「シロ兄ちゃんもニッカの1人。 なら止めるはずなのに動かないのか」
俺は髪をくしゃくしゃとした。
つい苛立ちを見せるが、俺は必死に冷静になろうとした。
誰も助けに来てないなら仕方がないーーと俺は立ち上がった。
「近くに滞在してて良かったな。 まだ準備していることは終わってないけど、とりあえずミーチェさんを助けよう」
「クロさんなら、そう言うと思ってましたよ」
「とは言ったものの、あの人数どう対処して行こうか。 何も準備してないし……」
俺は何かいい方法はないか考える。
ーーだが時間はあまりない。
既に教会の柵を乗り越えようとしている人も出てきている。
「人を傷つけることになったとしても、やむなしだ………!」
俺は外に飛び出し教会に向かって叫んだ。
「修道女ミーチェは、ここにいるクロ・エンジュが預かった! お前ら、俺から取り返してみろよ!」
俺の横にはミーチェの姿があった。
「なんだとぉ!?」
「てめぇ! ぶっころしてやる!」
「ふざけんな!」
「こっちにその女をよこしやがれ!」
教会を取り囲んでいたタリスカーの信者は、次々に俺とミーチェの元へと飛び掛かった。
「予想以上に簡単に釣れたな………」
俺はため息をつき
「全員釣れたし、もう教会を巻き込むことはないな。 変化を解くぞ」
「いつでもどうぞ」
ミーチェの姿をしていた女性はーーむくむくと大きくなった。
全身、雷を帯びた龍が住民達の目の前に立っていた。
「があああああああああああああ!!」
--バチバチッ
アリサは大きく咆哮し、住民に向かって雷の狙いを定めている。
「ひいいいいいい」
住民達は突如現れた龍に、怖がって足がすくんでいる。
「おい、お前らこの龍にーー雷を当てられたくなければ二度とこんな事をするなよ? わかったか?」
◻︎
「本当に有難うございます。 命を助けていただいて」
「ミーチェさん大丈夫ですよ。 感謝はアリサに言ってあげてください」
「アリサさん本当に有難うございます。 まさかアリサさんが龍だなんて思いもしませんでした」
「いいわよ別に。 どうせ怖がって話しかけたくないけど、イヤイヤ言ってるんでしょ」
アリサはツーンとした態度をとっている。
「私は小さい頃、龍とよく遊んでいたので別に怖くないですよ」
「え!? なんて龍!?」
ツーンとしていたアリサは、その一言で手のひらを返したようにーーキラキラと目を輝かせてミーチェを見ている。
「アリサさんって意外とチョロいんですかね・・?」
「見たらわかるだろ」
俺はアリサを見ながら言った。
「まぁクロ様は、女心はわからないんですけどね」
フラワーは俺には聞こえない声で笑いながら呟いた。
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